○共同住宅における犯罪の防止に関する指針

平成14年9月17日

大阪府公安委員会告示第127号

大阪府安全なまちづくり条例(平成14年大阪府条例第1号)第16条第2項及び大阪府行政手続条例(平成7年大阪府条例第2号)第34条の規定により、共同住宅における犯罪の防止に関する指針を次のように定め、平成14年10月1日から実施する。

共同住宅における犯罪の防止に関する指針

第1 目的

この指針は、大阪府安全なまちづくり条例(平成14年大阪府条例第1号)第16条第2項及び大阪府行政手続条例(平成7年大阪府条例第2号)第34条の規定に基づき、共同住宅についての犯罪の防止に配慮した構造及び設備の基準等を示すことにより、共同住宅における犯罪の防止を図り、居住者の安全を確保することを目的とする。

第2 適用範囲等

この指針は、新築される共同住宅のほか既存の共同住宅をも対象とするが、事業者、所有者又は管理者に対し、規制を課すものではなく、あくまでも自発的な対策を促すものである。

第3 犯罪の防止に配慮した共同住宅の構造及び設備の基準

犯罪の防止に配慮した共同住宅の構造及び設備の基準は、次のとおりとする。

1 共用部分

(1) 共用出入口

 周囲からの見通しが確保された位置にあること。

 共用玄関は、各住戸と通話可能なインターホン及びこれに連動した電気錠を有した玄関扉によるオートロックシステムが導入されたものであることが望ましい。

 共用玄関にオートロックシステムが導入されている場合には、共用玄関以外の共用出入口は、扉が設置され、当該扉は自動施錠機能付きの錠が設置されたものであること。

 共用玄関にあっては人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度(10メートル先の人の顔及び行動が明確に識別でき、だれであるか明確に分かる程度以上の照度をいい、平均水平面照度(床面又は地面における平均照度をいう。以下同じ。)がおおむね50ルクス以上のものをいう。以下同じ。)、共用玄関以外の共用出入口にあっては人の顔及び行動を識別できる程度以上の照度(10メートル先の人の顔及び行動が識別でき、だれであるか分かる程度以上の照度をいい、平均水平面照度がおおむね20ルクス以上のものをいう。以下同じ。)が確保されたものであること。

(2) 管理人室

共用玄関、共用メールコーナー(宅配ボックスを含む。以下同じ。)及びエレベーターホールを見通せる位置又はこれらに近接した位置にあること。

(3) 共用メールコーナー

 共用玄関付近からの見通しが確保された位置にあること。

 人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度が確保されたものであること。

(4) エレベーターホール

 共用玄関付近からの見通しが確保された位置にあること。

 人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度が確保されたものであること。

(5) エレベーター

 かご内に防犯カメラが設置されたものであること。

 非常の場合において、押しボタン等によりかご内から外部に連絡し、又は吹鳴する装置が設置されたものであること。

 かご及び昇降路の出入口の戸は、外部からかご内を見通せる窓が設置されたものであること。

 かご内は、人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度が確保されたものであること。

(6) 共用廊下及び共用階段

 周囲からの見通しが確保された構造等を有するものであることが望ましい。

 人の顔及び行動を識別できる程度以上の照度が確保されたものであること。

 共用階段は、共用廊下等に開放された形態であることが望ましい。

(7) 自転車置場及びオートバイ置場

 周囲からの見通しが確保された構造等を有するものであること。

 チェーン用バーラックの設置等盗難防止に有効な措置が講じられたものであること。

 人の行動を視認できる程度以上の照度(4メートル先の人の挙動、姿勢等が識別できる程度以上の照度をいい、平均水平面照度がおおむね3ルクス以上のものをいう。以下同じ。)が確保されたものであること。

(8) 駐車場

 周囲からの見通しが確保された構造等を有するものであること。

 人の行動を視認できる程度以上の照度が確保されたものであること。

(9) 歩道、車道等の通路

 周囲からの見通しが確保された位置にあること。

 人の行動を視認できる程度以上の照度が確保されたものであること。

(10) 児童遊園、広場、緑地等

 周囲からの見通しが確保された位置にあること。

 人の行動を視認できる程度以上の照度が確保されたものであること。

 塀、さく、垣等は、周囲からの見通しが確保されるもので、死角の原因とならないものであること。

2 専用部分

(1) 住戸の玄関扉

 防犯建物部品等(防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議が公表している防犯性能の高い建物部品目録に掲載された建物部品等、工具類等の侵入器具を用いた侵入行為に対して、騒音の発生を可能な限り避ける攻撃方法に対しては5分以上、騒音の発生を許容する攻撃方法に対しては、騒音を伴う攻撃回数7回(総攻撃時間1分以内)を超えて、侵入を防止する防犯性能を有することが、公正中立な第三者機関により確かめられた建物部品をいう。以下同じ。)の扉(枠を含む。)及び錠が設置されたものであること。

 ドアスコープ等及びドアチェーン等が設置されたものであること。

(2) インターホン

 住戸の玄関の外側との間の通話機能を有するものであること。

 管理人室が置かれている場合にあっては管理人室との間の通話機能を、オートロックシステムが導入されている場合にあっては共用玄関の扉の電気錠と連動し、共用玄関の外側との間の通話機能を有するものであることが望ましい。

(3) 住戸の窓

 共用廊下に面する住戸の窓(侵入されるおそれのない小窓を除く。以下同じ。)及び1階に存する住戸の窓のうちバルコニー等に面する窓以外の窓は、防犯建物部品等のサッシ、ガラス(防犯建物部品等のウィンドウフィルムをちよう付したものを含む。以下同じ。)、面格子その他の建具が設置されたものであること。

 バルコニー等に面する住戸の窓のうち侵入が想定される階に存する窓は、防犯建物部品等のサッシ、ガラスその他の建具が設置されたものであること。

(4) バルコニー

 どい、手すり等を利用した侵入の防止に有効な構造を有するものであること。

 手すりは、見通しが確保されたものであることが望ましい。

第4 居住者の安全を確保するための管理対策

共同住宅の居住者の安全を確保するための対策は、次のとおりとする。

1 設置物、設備等の整備及び維持管理

(1) 防犯設備の点検整備

オートロックシステム、インターホン、防犯カメラ(モニター、録画装置等を含む。)、防犯灯等の防犯設備について、適正に作動しているかを定期的に点検整備すること。

(2) 死角となる物の除去

共用廊下、共用玄関等に物置き、ロッカー等死角となる物を置いている場合は、これらの物を除去し、見通しを確保すること。

(3) 植栽の樹種の選定及び位置の配慮等

植栽は、周囲からの見通しを妨げ、又は侵入者が身を隠せないように、樹種の選定及び植栽の位置に配慮するとともに、繁り過ぎて死角が生じないよう定期的なせん定又は伐採を行うこと。

(4) 屋外機器の適切な場所への設置

屋外に設置する機器については、侵入の足場とならないように適切な場所に設置すること。

(5) 防犯器具等の普及

ピッキング及び破壊に強い錠前、侵入警報・警戒装置、防犯ブザー等の防犯器具等の整備を促進すること。

2 居住者等による自主防犯体制の確立等

(1) 管理組合を中心とした自主防犯活動の推進

共同住宅の居住者による管理組合を結成し、当該共同住宅内又は付近の共同住宅において、侵入盗、女性又は子どもに対する強制わいせつ等の犯罪が発生した場合には、速やかに犯罪情報等を居住者に提供し、管理組合を中心としたパトロール等を実施する等の自主防犯活動を推進すること。

(2) 管轄警察署との連携

管轄警察署との連携に努め、ファクシミリ等による地域安全情報の取得及び情報交換を図ること。

第5 その他

1 既存の共同住宅の改修においては、建築関係法令等との関係、建築計画上の制約、管理体制の整備状況、居住者の要望等を踏まえ、この指針に示す項目の適用について検討する必要があり、対応が極めて困難な項目については除外する。

2 この指針は、社会状況の変化、技術の進展等を踏まえ、必要に応じて見直すものとする。

共同住宅における犯罪の防止に関する指針

平成14年9月17日 公安委員会告示第127号

(平成20年5月1日施行)

体系情報
第5編 生/第6章 安全なまちづくり
沿革情報
平成14年9月17日 公安委員会告示第127号
平成20年5月1日 公安委員会告示第60号