○大阪府古文化紀念物等保存顕彰規則
昭和二十四年三月二十五日
大阪府教育委員会規則第八号
大阪府古文化紀念物等保存顕彰規則を次のように定める。
大阪府古文化紀念物等保存顕彰規則
第一条 本府下の史跡名勝天然紀念物及び古美術品等であつて、史跡名勝天然紀念物保存法、国宝保存法、又は重要美術品等保存に関する法律によつて指定又は認定されているものを除き、保存顕彰の必要があると認められるものは、所有者又は管理者の申請若しくはその同意を得て大阪府教育委員会(以下委員会という。)が史跡名勝天然紀念物あるいは重要美術品としてこれを指定することができる。
前項の規則によつて指定されるものの種類と要目とは、別記のとおりとする。
第二条 前条の指定を受けようとする者は、次の事項を具して委員会に申請しなければならない。
一 種類
二 名称
三 所在地、地目、地積(地籍図添付、但し古美術品には不要)
四 所有者の住所、氏名
五 管理者の住所、氏名
六 性質、形状、構造数量
七 現状(写真添附)
八 由来、徴証、伝説又は作者と伝来
九 その他参考となる事項
第三条 委員会がこの規則によつて史跡名勝天然紀念物あるいは重要美術品の指定をしたときには、大阪府公報に告示し、同時にその旨を所有者又は管理者に通知する。
第五条 この規則によつて指定した史跡名勝天然紀念物、重要美術品等であつて、滅失又はき損したときは所有者又は、管理者から委員会に届出なければならない。
第六条 委員会がこの規則によつて指定したものでも保存顕彰の必要がなくなつたと認められるときには、その指定を解除する。
第八条 委員会はこの規則による標識建設費又は保存施設費の一部を補助することがある。
第九条 委員会はこの規則により指定したものの台帳を備える。
附則
1 この規則は、公布の日から施行し、昭和二十三年十一月一日から適用する。
2 大阪府古文化紀念物等保存顕彰規程(昭和二十二年一月大阪府令第二号)によつて現に指定されているものは、この規則によつて指定されたものとみなす。
別記
種類及び要目
第一 史跡として指定されるものは次のとおりである。
一 都城址、宮址行宮址、その他皇室に関係の深い史跡
二 社寺の史跡及び祭し信仰に関する史跡であつて重要なもの
三 古墳墓及び著名な人物の墓並びに碑
四 古城址、城砦、防塁、古戦場、国郡庁址その他政治軍事に関係の深い史跡
五 聖びよう、国学、郷学、藩学文庫又は是等の跡その他教育学芸に関係の深い史跡
六 薬園址、悲田院址その他社会事業に関係のある史跡
七 古関址、一里塚、窯址、市場址その他産業交通土木等に関する重要な史跡
八 由緒のある旧宅園池、井泉、樹石の類
九 貝づか、遺物包含地、こうご石その他人類学、考古学上に重要な遺跡
十 外国及び外国人に関係のある重要な史跡
十一 重要な伝説地
第二 名勝として指定されるものは次の通りである。
一 著名な公園及び庭園
二 著名な橋及び堤防、築堤
三 著名な花樹、鳥獣、魚虫の名所
四 著名な奇石
五 著名な峡谷及び急流、深いふち
六 著名な滝
七 著名な湖沼
八 浮島
九 松林のある砂丘、砂しであつて著名なもの
十 著名な海岸島その他景勝の地
十一 著名な風景を眺められる特殊の地点
十二 特色のある山岳、丘陵、高原、平野、河川及び温泉地
第三 天然紀念物として指定されるものは左のとおりである。
(一) 動物に関して保存しなければいけないと認められるものは次のとおりである。
一 現在日本に存在する著名の動物であつて世界の他の部分にまだ発見せられていないもの
二 比較的近世まで世界の他の部分にも存在したが以後段々その数が減少し、現在はわずかに日本にばかりその遺類が発見されるもの
三 日本の領域、領海に存在し近頃になつてようやくその跡を断とうとしているもの
四 日本特有の産でなくても東亜の動物としてその保存が望ましいもの
五 著名な動物の繁殖地又は渡米地
六 日本に発見せられる各種の象、さい、しか等の巨獣及びその他著名動物の遺物発見地
七 山地、平地、池地、森林、湖沼、海浜、河海、島、どうくつ等にすむ特有の動物あるいは動物群全部
八 日本特有の畜養動物
九 家畜以外の動物であつて海外から我国に移殖せられ現在野生の状態にある著名なもの
(二) 植物に関して保存しなければならないと認められるものは次のとおりである。
一 森、著しい並木、名木、巨樹、老樹
二 代表的原始林、まれに見る林相
三 代表的高山植物帯
四 珍奇な植物の所在地
五 著しい植物の分布の境界を示している所
六 培養植物のまれに見る原産地
七 野生の樹木であつて著しい奇態を現わしているもの
八 絶滅せんとしている植物
九 池泉、湖沼、河海等に生ずる水草類、も類、せんたい類、地衣等であつて珍奇なもの
十 ほら穴内又は滝つぼに固有な植物の発生している所
十一 でい炭地であつて固有なでい炭形成植物の盛に発生している部分
十二 海岸又は河湖の岸辺の砂丘であつて固有な砂防植物の発生している所
十三 湯泉の水源並びにこれから流出する熱水又は温水中に固有な下等植物の盛に発生している所
十四 固有な原野植物群落
十五 らん類、しだ類、おもと類、つる植物、地衣、せんたい等盛に発生している土地又は是等の植物の多く著生している林樹
十六 陸地に遠くない島であつてその植物区系の特異なもの
十七 現に希少となり又は希少となるおそれがある野生の有用植物
(三) 地質鉱物に関して保存しなければならないと認められるものは次のとおりである。
一 岩石及び鉱物の露出
二 鉱物存在の状態
三 鉱物の成因を示している状態
四 地層の曲り
五 断層裂け目陥落
六 地層の整合及び不整合
七 ほら穴
八 火山岩の種々の構造
九 温泉殊に間けつ泉及びその他の火山現象並びにその沈でん物
十 ゆう泉冷鉱泉
十一 風化及び浸しよくに関する現象
十二 でい火山
十三 隆起海岸
第四 重要美術品として指定されるものは左のとおりである。
一 絵画
二 彫刻
三 建造物(石造物を含む。)
四 文官
五 典籍
六 書跡
七 刀剣
八 工芸品
九 考古学資料
(標識の様式)
備考
一 標識の大きさ及びその柱は建設の位置と記載文の長短とを考慮して適当に調製すること。
二 柱に記載する番号はそれぞれ史第何号若しくは重美第何号のごとくすること。
三 標識は素地のままに墨書すること。ペンキ塗、ペンキ書等はいけない。
四 建設の場所は成るべく見やすい所を選ぶこと。
五 費用は自弁とする。