生活文化部と改革プロジェクトチームの議論(概要)

更新日:2023年5月19日

日時  平成20年4月25日(金曜日)16時30分から18時00分

場所  第一委員会室

 
【生活文化部】
 生活文化部からは、文化振興財団運営事業費(財団法人大阪府文化振興財団)、文化情報センター・現代美術センター、上方演芸資料館(ワッハ上方)、文化芸術活動の支援、大阪21世紀計画事業推進費(財団法人大阪21世紀協会)、男女共同参画施策、公立大学法人大阪府立大学運営費交付金、青少年育成施策、私立高等学校等授業料軽減助成、私立幼稚園経常費補助金、私立高等学校等経常費助成、私立学校退職金財団・教職員共済事業補助金、私立高等学校等教育振興助成費、私立専修学校等振興助成の各項目について、部として説明したい。

【生活文化部】
(「文化振興財団運営事業費」等文化施策について、資料に沿って説明)

【改革PT】
 全体として大変な見直しであり、ご苦労をおかけする。
 まずセンチュリー(文化振興財団運営事業費)については、先ほど部長から補助金の削減に努める旨の説明があったが、その検討内容を見た上で、議論していきたい。
 文化情報センターについては、大阪文化の情報発信のため2つの引き続き実施するということであるが、大阪文化再発見事業の主催講座の参加人数が3,400人ということであり、これぐらいの人数でどう情報発信ができるのか疑問であることから、廃止としたものである。
 現代美術センターについては、江之子島での新展開については、議論させていただきたい。
 上方演芸資料館については、現地存続で経費節減を図るということであるが、文化施策の予算総額17億のうち、センチュリーが4億、ワッハが4億、21世紀協会が3億等で計約12億と、ある意味いびつな形になっていることから、経費のかからない移転という案を示した。部の方で家賃の値下げに向けて努力されるということであるが、その結果を見た上で議論していきたい。
 芸術文化振興補助金については、50万円とか100万円といった補助金額であり、どの程度の効果があるのか疑問である。
 市町村文化振興支援事業については、本来市町村の責任で行うべき事業と考える。
 大阪楽座事業についても、効果について疑問ということで廃止とした。
 21世紀協会については、先ほど部長から説明のあったプロパー職員の人件費への配慮についてご指摘があったが、今後、協議させていただきたい。

【生活文化部】
 大阪文化再発見事業だが、啓発事業とは異なり文化に対する理解が深まることで実施しているものである。事業費400万円で参加一人あたり、約1,000円ということであるが、今後効果検証していきたい。また、いびつとの発言があったが、今まで講座とか実施しても意味がないということでカットされた結果である。50万円とか細かい事業であるが、効果というのは金額だけではない。大阪府が支援するという姿勢に意味があり、50万円以上の効果はある。市町村については、文化に対しまだまだ事業として専門的に行う仕組みが整っていないことから、支援しているものである。

【改革PT】
 かつてどれぐらい文化予算があったのか調べてみたところ、昭和55年の文化振興予算は3.6億円、税収が約7,000億円弱で今の半分位なので、文化予算を換算すると、約7億円ぐらいになる。結局、ワッハとか予算がかかっている大きな事業が後から出てきたので、このような施設の維持管理等お金のかかる事業を整理しないと、他の文化に予算を回す余裕はなく、また文化振興基金も限界となってきている。

【生活文化部】
 バブル前は、行政が文化事業にあまり力を入れてこなかったという反省のもとに、文化振興基金を100億円積み立て、一般財源を活用せずに文化事業を進めてきたものである。
 センチュリーやワッハについては、府民にどれだけ根付くか長い時間をかけて見ていく必要がある。施設については作った者に責任があり、基金についても一般財源がないということで取り崩されるなど、このような非常事態の中でなるべく補助金の縮減に向け努力はしていく。
 またそもそも文化として何をすべきかについては、昭和62年に始めて文化課ができて、文化行政という概念ができた。これよりも前と比較するのはおかしい。今回、文化振興の意義と行政のミッションということを整理した。自分たちのまちに対して愛着を持つとか、地域を活性化させていくことが都市の魅力につながっていくということで文化行政を行っている。
 センチュリーについては、クラシックになぜこれだけお金を費やすのかという議論は確かにあると思うが、クラシックは世界中に高い評価を受け洗練された芸術であること、ポピュラー音楽などいろいろな音楽の基本となっていることや、舞台芸術にも影響を与えていることから府民が触れる機会を与えることが非常に重要であるとの判断から20年間育ててきたものである。
 ワッハ上方についても、道頓堀に芝居小屋がありそれにより栄えて府民が楽しんでいたという空気がある土地で、上方演芸という大阪固有の文化をどうやって府が守り育てていくかという視点で作られた施設であり、その場所に選択したものである。
 文化芸術には様々な分野があり、文化情報センターで出会った人がネットワークを作り、交流を続けてその後の活動に頑張っていただくことに対し、促進しているものである。
 また事業費が少しで効果があるのかということであるが、府民の自主的な活動に府が応援していく姿勢が我々の仕事である。

【改革PT】
 オーケストラについては、この財政状況の中でこれほどの予算を投入することができるのかと考える。
 ワッハ上方については、有する資料の伝承については否定していない。またホールについては、府が引き続き維持していく必要があるのかということを問題提起している。経費についても、家賃やホールにかかっていることから、提供するサービスについても精査する必要がある。お金をかけない形での存続をお願いしたい。

【生活文化部】
(「男女共同参画施策」について、資料に沿って説明)

【生活文化部】
 PT試案ではドーンセンター事業は廃止、DV相談のみ府の事業として継続することとされており、また、男女共同参画推進財団も20年度廃止とされている。
 現在、男女共同参画課11名、財団11名の22名で施策を推進しているが、財団が廃止になっても、理事長が1名減になるだけで体制は変わらない。
 今後、男女共同参画施策として何を行うべきか再構築した上で、事業の担い手を検討すべき。相談カウンセリング、情報処理、NPOの育成・指導のノウハウがある財団を存続させて実施した方がよいのか、それとも男女共同参画課で実施した方がよいのかを考えていくべき。
 またドーンセンターを多機能化することにより、例えば消費生活センターを入居させるとなれば、今の民間ビルの賃借料が節減されるので、その財源を男女施策に充当するなどできないか相談したい。

【改革PT】
 男女施策についてはDV相談事業以外は廃止というPT案に対し、事業を絞って実施していくという案が示されているが、今後議論していきたい。 
 財団については、府の施策を代替している法人については、直接執行することによって行政責任のありどころを明らかにするという基本のもとで廃止とした。部長が主張した事業内容を見た上で判断したものではない。これも施策とあわせて議論したい。また施策の重点化という案を示されているが、何から撤退するのか。今実施しているものすべてを実施していくように見える。

【生活文化部】
 今までは一般的な啓発学習をはじめ、国際交流事業、文化表現事業などウィングを広げて実施してきたが、これを精査し、男女間や女性特有の問題でお困りの方のセーフティネットとしての相談機能、女性の社会参加やワークライフバランスの実現、DVやセクシュアル・ハラスメントへの対応を中心に行っていきたい。

【生活文化部】
(「公立大学法人大阪府立大学運営費交付金」について、資料に沿って説明)

【生活文化部】
 大学教員には優秀な方が多いことから流動性が高いため、運営費の削減には大学にとって辛いものがある。また知事が示した「中期目標」のもと努力を重ねてきたにもかかわらず、府の財政非常事態によりさらに削減努力を強いられ、今までの削減は何だったのかという非常に強い思いが大学にはある。
 大学の自主的な努力による具体的な削減額については明らかではないが、大学の検討結果を待ちたい。

【改革PT】
 独立行政法人という性格上、自ら新しい考え方のもとで取り組まれ、それについて否定はしない。額は示せないということであるが、われわれとしてはこの額での削除を行っていただけるものと理解している。
 また大学の経営上の自律性を高めるための新たなルールについては、なるほどと思うので、これから一緒になって研究させていただきたい。

【生活文化部】
 今置かれている大学の立場であるが、厳しい大学間競争を戦っているという現実がある。また府立ということで、私立大学にはない府域に対する地域貢献を担っている。その中で従前の研究レベル、流動性の高い教員の資質を確保しつつ、今日の命題に答えていくというのは非常に難しい状況になっている。さらに独立行政法人化したことにより、この3年間でかなり教員の意識も変化し、組織も活性化している。これはまさに独立行政法人化したことの成果が表れているものといえ、そこに無理な削減を課せば、職員一人ひとりの士気が消沈するといったこととなることから、そのような職員の意識に対し配慮願いたい。

【改革PT】
 府本体についても大幅な削減をお願いしていることから、大学についても同様に削減に向けご検討いただきたい。

【生活文化部】
(「青少年育成施策」について、資料に沿って説明)

【生活文化部】
 青少年活動財団は、人間関係トレーニングや非行立ち直りなどの自立支援事業、青少年団体のネットワークの中核機能を果たしている。今後、これらの専門性やネットワークの活用を図りながら、真に効果的な事業執行のあり方を検討していく。また、仮に廃止する場合でも財団の清算に向けた労働法制などの検討を行うとともに、他の出資法人を含めた廃止に係る課題に対する府の整理方針との整合を図る必要がある。
 チャイルドサポート事業については、始めたばかりであり、府内小学校における授業実施率を20年度時点で100%にすることをめざすため、まだ事業効果は確認できていないが、ぜひ実施していきたい。
 また青少年活動財団については、仮に廃止した場合、70人のプロパー職員の処遇をどうしていくのかという問題があるため、これについても検討していただきたい。

【改革PT】
 法人の見直しに伴うプロパー職員の処遇については、まだ結論を出していないが、かつて法人を見直した時に全庁的な検討組織を設け、職員の再就職についての情報収集や求人の確保といったことを行ってきたので、今後も検討していきたい。法人の中にも再就職をサポートする組織を作っていただきたい。また労働法制については、法務相談したい。

【生活文化部】
 青少年育成のため頑張ってきた職員も多いのでぜひともよろしく。

【生活文化部】
(「私立高等学校等授業料軽減助成」等私学助成について、資料に沿って説明)

【改革PT】
 高等学校等授業料軽減助成であるが、公私間で対象者のバランスが配慮されていないこと、所得階層間で縮減額が逆転しているといった指摘については、今後、協議していきたい。また育英会の問題についても検討していきたい。
 私立幼稚園の問題については、保育所にかかる個別の補助金については今回見直しを行っている。この財政状況の中では、それぞれの方にご負担をお願いしたい。
 高校経常費助成等については、平成20年度の国標準額を基準に検討すべきとの指摘であるが、これについては今後検討していきたいが、府の職員人件費についても見直しを行う予定であるので、同様の負担をお願いしたい。
 私立学校退職金財団・教職員共済事業補助金については、PT案の全国最低水準の見直しでお願いしたい。
 私立高等学校等教育振興助成費については、設置者において負担すべきものと考える。
 私立専修学校等振興助成についても同様の負担をお願いしたい。なお、20年度における15%見直しの実施との関係については、再検討したい。

【生活文化部】
 幼稚園については、PT案の「公立学校の経費節減を踏まえ」とあるが、公立幼稚園は削減の対象にはなっていないことからすれば、まったく削減の根拠がない。また経営規模の小さい幼稚園で経費削減となると、保育料に転嫁するしかない。また先生の年収は29歳で300万円ということで、公立幼稚園に比べても低い中で、さらに削減を求めれば人材の確保は非常に難しくなる。このような幼稚園の対応能力の問題からするとPT案には無理があるし、「改革基本姿勢」の中の補助団体の対応能力は加味すべきと言っているではないか。
 また、高中小で標準教育費との対比で10%、30%削減という計算をしているが、幼稚園で同様の計算をすると、削減はゼロになるのでは。
 同じことが専修学校高等課程にも言える。住民税非課税世帯等年収500万円までの世帯が半数以上である。この高等課程に通学されている方の中には、中学校で不登校を経験するなど様々な課題を抱えている生徒もおられ、専修学校高等過程できめ細かく対応することによって元気に学習活動ができている面もある。専修学校高等過程は、そういう意味でセーフティネットの機能を果たしている。
 経常費助成を10%削減すれば、経費削減などの対応にも限界があり、極めて厳しい状況になると危惧する。また現状では、卒業後90%の生徒が進学・就職につながっており、卒業までの間、カウンセリングや別室登校などきめ細やかな教育を実施されるなど様々な努力をしていただいている。よって、普通の私立学校と同様の議論は難しいことから、一定の配慮をいただきたい。

【改革PT】
 高等学校等授業料軽減助成の関係で育英会の貸付が増加するという点だが、これは生活文化部の知恵を借りながら考えていきたい。一方で、育英会の貸付制度の見直しも検討していただきたい。また償還率を高める努力もお願いしたい。

【生活文化部】
 育英会の償還の効率化のために、法務省にサービサー法の適用を要請し続けているが、実現されていない。大阪府のような公の機関による奨学金貸付事業であれば同法が適用されるが、育英会は財団法人なので対象になっていない。国のレベルでは、学生支援機構については、政令で定められていて対象になっているなどアンバランスが生じていることから、それは正すべき旨の要望活動をしている。

【改革PT】
 幼稚園と専修学校高等課程の経常費助成については部意見を踏まえ検討していきたい。私学助成全体については、高等学校等授業料軽減助成と小中高等学校の経常費助成をどうするかということに精力を割いてきたため、検討が荒っぽいところがある。ただ細かい制度設計の前に大本の経常費助成や授業料軽減助成の案を固めていきたい。
 府立高校の全日制の授業料の減免実績との比較についての資料があったが、その比較からすると、授業料軽減助成についても500万円層まででいいのではないかと思う。
 また資料によると、高等学校の生徒一人あたり人件費は私立の方が低いとのことであるが、3月のある新聞記事によると、私立の方が待遇は高いとの報道がなされていたことからすると、府民にも誤解を与えないよう正確に示すべきである。

【生活文化部】
 私学の経営戦略がある。すなわち非常勤・常勤講師の採用等で専任教員を抑えてトータルで人件費を抑制している。また教員一人当たりが受け持つ生徒数も違う。私立の場合は一人当たり17.8人、府立の場合は14人であり、私立の方が業務は過密であると思う。
 府立高校の授業料減免については、資料は17年度時点であり、現在は制度変更されている。
 なお、私立高等学校等教育振興助成費については、3ヶ年事業として継続中のものもあるのでご留意願いたい。

【小河副知事】
 文化にかかる予算が減った、との発想はおかしい。行政がどう関わっていくのか、関わるとすればお金をかけるのかかけないのか、お金をかけるとすれば、税金を投入するのか寄付を募るのかといったことがあるので、そういった観点から考えてほしい。

【生活文化部】
 組織にはこだわらない。事業をどれだけしていくか構築していきたい。

【小河副知事】
 センチュリーは大事にしてほしいと思うが、例えば8万人の署名された方から1千円ずつ寄付をしていただければ、8,000万円になる。いろいろなお金のかけ方があるのではないか。

【三輪副知事】
 私学の関係で人件費の公私の比較は、それぞれ理屈はあると思うので、両方の見方を示すことが必要である。部の意見としては、府立の経費の削減がなされるのであれば、私立もそれに連動して一定の見直しをすることは仕方がないということか。

【生活文化部】
 経常費助成単価は、国標準額を基本とすべきということはきちんと主張している。

【知事】
 文化については、私が判断するのに一番迷うところである。文化行政というものはどう勉強しても分からないところがあるので、現在、幹部の方と大激論している。府として文化行政に力を入れたのはいつ頃からか。

【総務部長】
 文化振興基金を作り、昭和62年に文化課を設置した頃からではないか。

【知事】
 文化行政について総括をし、今までどう実施してそれにより府の文化がどうなったかを私に示してほしい。それと重要なことは、資料に文化振興の意義・大阪府のミッションということが記載されているが、知事に就いて一番感じることはこのような記載が行政のあいまいなところ、当たり障りのないというか、きれいなお題目としか感じない。これによりどういう行政意図が生まれるのか、また行政指針にまったくなっていない。景観、まちの顔、まちの空気感というところから民が自然に醸成していくものが文化であるという持論のもとそういうところから大阪のまちの顔、空気感というものを創り上げていくことが先決であると考える。
 先ほどのにぎわい創造部との議論の中で「大阪のまちの魅力は何か、観光でアピールするものは何か。」という質問に対し、「都市魅力はない。買物がピーアール、主題のテーマである。」との回答であったが、このようなまちで文化が育つのかという疑問がある。都市魅力、まちの顔、空気感というものを醸成していくのが行政であるとの持論のもとに、私の行政指針としてまちの顔や空気感を創っていくところからスタートして、中身のコンテンツは民が醸成していくものと示しているが、この私の持論に対し反対であれば、具体的な文化行政戦略を示していただきたい。今の文化振興条例や府のミッションで何をやれと言われても判断できない。ぜひ昭和62年からの府の文化行政の総括とともに大阪府が考える文化行政戦略というものを出していただきたい。
 私立学校については、所管されている私立学校・学校法人の経営陣・理事者の報酬が知りたい。補助金を出している以上、経営陣、家族で他に理事がいるならばその方も含めて全員の収入を示してほしい。

<以上>

※聞き取りにくい箇所があったため、発言内容は一部不正確なところもありますが、ご了承下さい。

このページの作成所属
財務部 行政経営課 企画調整グループ

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