教育委員会と改革プロジェクトチームの議論(概要)

更新日:2023年5月19日

日時  平成20年5月1日(木曜日)17時07分から18時15分

場所  第一委員会室
 
 
【教育委員会】
 教育委員会から、35人学級編制、時間講師、教育関係非常勤職員費、府立学校教務事務補助員等雇用費、学校支援人材バンク活用事業、障がいのある児童生徒に対する医療的ケア実施体制の整備等、いじめ・不登校・校内暴力など生徒指導上の課題への対応、府立高校総合活性化事業(キャリアアドバイザーの配置等)、府立学校教育支援事業、学校給食の実施、学校の維持管理・教材購入・修繕、教職員研修事業(教員の資質向上)、教職員旅費、学校安全総合支援事業(警備員等の配置による学校の安全確保)、公の施設((1)スポーツ施設関係 (2)国際児童文学館 (3)博物館)、出資法人((1)国際児童文学館 (2)スポーツ・教育振興財団 (3)文化財センター (4)体育協会)の各項目について、説明したい。

【教育委員会】
(基本理念について、資料に沿って説明)

【改革PT】
 たくさんの項目の提示をいただいたが、ほとんど見直しやカットは困難とのこと。そこから「教育といえども聖域とせず、可能な限り経費の縮減や施策の再構築を図る」といったことがどうやって出てくるのか。またこれからも教育の充実を図っていくということであるが、限られた財源の中、優先順位を明確にしていくべきだと思う。そのような観点からこれからの議論の中で認識を共有していきたい。

【教育委員会】
 各論に入る前にそういう評価を受けるのは心外である。各論には節減に向けた努力も盛り込んでいる。教育だけを優先すべきと言っているわけではないが、教育としての特性や位置づけはきちっと理解してほしい。優先順位をつけていくのは、一つの手法だと思うが、教育の中の優先順位に加え、教育も含めた府政全体の優先順位もあると思うので、そのバランスの中で考えてほしい。

【教育委員会】
(35人学級編制、時間講師、教育関係非常勤職員費、府立学校教務事務補助員等雇用費について、資料に沿って説明)

【改革PT】
 総授業時間数が週あたり約85万時間ということだが、その中で標準法による定数ではどれぐらいの時間を占めているのか。

【教育委員会】
 普通科の高校で言えば、60科目程度教えるのが基本であるが、特色づくりを進めた結果、総合学科では140科目となっており、例えば中国語を教えるなど様々な科目を設けている。この特色づくりをすすめるために必要となるのが学校支援人材バンクや時間講師などである。また時間で言えば、小中学校では一定決まっているが、高等学校の場合は、いろいろな科目設定をしているため、これだけという時間の設定はない。特色づくりを進める上での科目設定については、大阪府が特に多いということはない。

【改革PT】
 国の定数配置をみると、指導方法の改善等のための加配がある。このうち178人を35人学級に活用しているとのことであるが、それ以外に994人の加配の定数がある。教育委員会として35人学級にしっかり取組む必要があるというのであれば、この994人を35人学級に活用すればよいのではないのか。文部科学省の資料によると、40人学級を下回る少人数学級の7割は国庫負担で実施しているとのことである。大阪府の場合は178人で(35人学級に必要な人員の)3割程度(しか国定数を活用していない)。もっと国庫負担で活用できる定数があるのだから、35人学級に優先的に投入すべきではないか。

【教育委員会】
 P7を見てもらいたい。小学校1・2年生は35人をメルクマールとした少人数学級、3年生以上は習熟度別による子どもたちの個々の学びに合わせた指導を展開しており、今言われた定数はこの習熟度別指導に活用している。この習熟度別指導の質を下げて35人学級を国定数で全てやることは困難である。また他府県をみると、県の単費で35人あるいはそれ以下の学級編制をしているところは、20府県ある。このうち福島県では県単独で507人入れている。これを府の人口規模に直すと、2,150人程度となる。我々は最大の理想を追っているわけではなく、今実施している35人を崩したくないということ。3年生以上に35人学級を導入するために教員を増やしていきたいということではなく、今まで培ってきた大阪府の教育を大切にしたいということ。優先順位ということもわかるが、我々としては、どちらも大切にしたい。

【改革PT】
 習熟度別の指導をこれからさらに充実する議論をしていると聞いているが、その分の定数は配置されているのか。

【教育委員会】
 どこまでの密度で習熟度別指導を行うのかによる。国の定数を十分活用し、府になるべく財政的な負担をかけないような形でやっていきたいと考えている。

【改革PT】
 それについては議論したい。

【教育委員会】
 教育委員会としても十分議論していきたい。

【改革PT】
 国が定めている基準よりも下回らないようPT案をとりまとめたつもりである。よって、PT案では、府が標準的なものを上回って、単独で設置しているものに限って削減している。時間講師等の単価や総時間数は見直せないはずはないという思いである。8月以降、何か工夫して削減できる余地はないのか。そういう視点で見てもらいたい。

【教育委員会】
 趣旨は分かる。しかし、「国が決めている基準どおりやれ。」と言うならば今行っている議論は必要ないはずである。今行っているのは、財政再建団体、財政再生団体にならないための議論である。仮に府が財政再建団体になれば、「府が独自に実施している35人学級がなくなってしまう」というメッセージのもと改革の粗い試案が出てきて議論が始まったと理解している。そうならないための努力をしているのに35人学級は廃止と言われるとなんのために努力をしているのか分からない。論理の矛盾があるのではないか。ただ、知恵を出すことについては何が出来るのか、引き続き、議論していきたい。

【改革PT】
 35人学級については、保護者の評価が高いということだが、それに対しては、30億円、一人一月あたり1,500円というお金がかかっている。アンケートをするのであれば、月に児童1人当たり1,500円はかかっても35人学級を望むかどうかという問いかけもすべきではないのか。

【教育委員会】
 メディアを通じて府民に知っていただくため、今回の資料にその旨記載した。その上で判断してもらえればいいと思う。ただ、現場の校長からは、小中高の始めの小学校1・2年生で生活面を含めた指導をきっちりと行いたいとのことから、35人でも多い。せいぜい30人が適当との声が多い。

【教育委員会】
(学校支援人材バンク活用事業、障がいのある児童生徒に対する医療的ケア実施体制の整備等、いじめ・不登校・校内暴力など生徒指導上の課題への対応、府立高校総合活性化事業(キャリアアドバイザーの配置等)、府立学校教育支援事業、学校給食の実施、学校の維持管理・教材購入・修繕、教職員研修事業(教員の資質向上)、教職員旅費、学校安全総合支援事業(警備員等の配置による学校の安全確保)について、資料に沿って説明)

【改革PT】
 時間講師などの議論に加えて、学校支援人材バンク、いじめ・不登校対策事業など、人的配置に関する事業が様々あるが、これらが学校でどのように機能しているのかイメージできない。中心は教員になると思うが、これら様々な人的配置の関係を後日教えてほしい。

【改革PT】
 市町村学校に対する補助であるが、廃止の議論もあったが、過去の経緯も含めて全庁的に10%カットとしているので教育委員会においても努力いただきたい。維持管理費や研修事業については、個別の積み上げをする中で整理させていただきたい。
 また、標準法の関係であるが、超過しているから一律不可というわけではないが、府立学校教務事務補助員等については、間接部門であり、学校教育の中心である授業に直接かかわる方々ではなく、かつ標準法や他府県の実情を大きく上回っている。この点について、今後議論していきたい。
 優先順位についても検討いただきたい。例えば、35人学級と学校支援人材バンクのどちらを選ぶかという観点も必要ではないか。現在の府の財政状況を鑑み、教育についても優先順位をつけていただきたい。

【教育委員会】
 高校改革(再編整備)、特色づくりに取り組む中で、200億円という財政効果をあげながら、入れる学校から入りたい学校づくりという教育改革をすすめてきており、この前提のもとに議論いただきたい。ただし、年数も経過しているので、個々の科目の整理は必要である。その結果として、学校支援人材バンクが減少することはあるが、先に、学校支援人材バンクの削減ありきというのは難しい。

【教育委員会】
(公の施設((1)スポーツ施設関係 (2)国際児童文学館 (3)博物館)、出資法人((1)国際児童文学館 (2)スポーツ・教育振興財団 (3)文化財センター (4)体育協会))について、資料に沿って説明)

【改革PT】
 今回の公の施設の見直しについては、集約や多機能化、また代替施設のないものについては存続させるということであり、機能を無視して考えたものではない。このうち体育会館については、門真スポーツセンターが全国的であり、国際的なスポーツができる施設であることから、もっと同センターを活用していただくことができないかという思いである。また第2競技場程度の規模であれば、府内のほとんどの市町村でもそういう体育館を有しており、利用の確保は可能ではないかと考える。
 臨海スポーツセンターについては、59年に教育委員会に移管された時には、広く府民のためということで、設置当初のような地元市民のためというものではない。
 国際児童文学館については、中央図書館という便利が良く、65万人という利用者がおられるところに移転して、広く府民に利用していただくということが必要ではないかと考える。また、中央図書館の中に国際児童文学館という看板をかけるという方法も考えられる。
 博物館については、時代ごとの専門博物館ということかと思うが、学術研究をするのであれば時代ごとでよいのかもしれないが、子どもたちに歴史を教えるということでは、弥生文化を近つ飛鳥博物館に持って行って、弥生、古墳、飛鳥時代という歴史の流れを子どもたちに見ていただくことがなぜいけないのかということについてはよく分からない。また現地性と言うのであれば、遺跡や古墳のあるところにはすべて博物館がいるということになる。

【教育委員会】
 体育会館については、なぜ今売却しなければならないのかという思いが強い。
 国際児童文学館については、もっと広く利用していただくという点は理解できる。もともと万博公園の中で民族博物館と連携するとか、自然の中で読書をするという意味もあった。今後議論していきたい。
 博物館については、府が総合歴史博物館という構成をとっていれば、お示しの提案もあったと思うが、それぞれの時代背景をもとにフィールドをベースとして展示を考えて、時代を混在させるのではなく、時代ごとに子どもたちに歴史を分かってもらうためには、今のような形がいるのではないかと思う。小学校6年生の社会科の教科書にも弥生時代をとらえて、弥生文化博物館が紹介されている。改めて議論したい。

【改革PT】
 国際児童文学館を中央図書館に移転させれば資料が喪失されるとか弥生文化博物館を統合させると教育財産が失われるという言い方は、あまり冷静な言い方ではないと思う。

【教育委員会】
 教育とは、先人の知恵を後世に伝えるという人類にのみ許された作業である。教育というものは大事にしないと、大阪維新を支える人材が欠けてしまうのではないかと思う。そこを非常に心配する。これからも大いに議論させていただきたい。

【総務部長】
 35人学級については46自治体が実施しているのは事実だが、全国の水準からすると、大阪の単独加配はかなり多いのではないか。その水準をどう考えるのか。今回の国定数の増員の部分もあるので、単独加配を全体としてどう考えるのかをきちんと議論する必要がある。また、標準法の定数との関係も含めて、人的配置全体にわたっての精査は必要であると思う。また、教育条件にかかる受益者負担のあり方についても検討していただきたい。

【教育委員会】
 きちんと議論していきたい。

【小河副知事】
 博物館は府民の貴重な教育財産というが、教育委員会が所管している博物館しか議論されていない。大阪府内には国が持っている民族博物館や、市が持っているもの、府の狭山池博物館など、トータルの博物館をどう共有していくのか、広げて議論してほしい。

【三輪副知事】
 (10P)85万時間をこういう人員体制で支えているというわかりやすい資料でよいと思う。標準法の定数との関係を明らかにせよとの指摘は大事。教育が大事なことは理解できるが、難しくても、国の措置でやっているところ、府が単独でやっているところ、それをきちんと明らかにした上で、更に充実が必要かどうかを議論する必要がある。特に教育は人なので、どういうふうに負担しているかということは資料を含めて説明責任が果たされるよう、工夫をしていただきたい。

【教育委員会】
 分かりました。

【知事】
 「教育日本一」をめざすということを言って、選挙に当選したので、これは必ずめざしたい。この日本一をめざすときに、教育にお金をかけるやり方と、理想論ではあるが、人が汗をかくやり方もあると思う。府の財政に余裕があれば、人を配置するなりいろいろお金をかけていくやり方ができると思うが、府がこのような状況になったのは我々全員の責任でもあるので、府庁職員も大阪のために汗をかいている。今おられる教職員の方々にも一度汗をかいた上で、「教育日本一」をめざすようなやり方ができないものか。理想論で申し訳ないが、お金をかければいくらでも教育のレベルはあがるだろうが、教育は人そのものなので、汗をかくやり方についても考えていただきたい。

<以上>

※聞き取りにくい箇所があったため、発言内容は一部不正確なところもありますが、ご了承下さい。

このページの作成所属
財務部 行政経営課 企画調整グループ

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