知事と都市整備部との議論(概要)

更新日:2023年5月19日

日時  平成20年5月29日(木曜日)16時20分から18時30分

場所  第一委員会室
 
 
○予算要求知事復活

【都市整備部】
 平成22年度、阪急京都線に仮称摂津市駅が開設される。これに、摂津市による土地区画整理事業、阪急京都線の連続立体交差事業、この三つをあわせて駅前の街づくりを行うもの。連続立体交差事業を同時に進めることは、お金の関係もあり難しい。今回は、土地区画整理事業や阪急の新駅計画との整合を図るための、国費を入れた調査を実施しようとしている。

<連続立体交差調査費の説明>

【知事】
 街づくりのために、都市整備が重要であることは、十分認識している。東京に追いつこうなんてことはやめて、大阪は大阪と言っても、都市整備に関しては、東京に比べて相当遅れている。早く次の一手を打つための都市整備をやっていきたい。
 今年度は、財政再建の道筋をつける。すべての事業を厳しく精査し、次の一手を打つために、とにかく財政再建の道筋をと思っている。今回の連立事業の必要性は十分承知しているが、着手を少し先に延ばしてもらいたい。必ず3年で、将来に展望を感じるような道筋をつける。
 他の部局の事業についても、個別に精査した上で、認めるものは認めるようにしているので、今回の件については、申し訳ないが少し先送りしてもらいたい。

【都市整備部】
 今回は、あくまで調査。調査が終わってすぐ事業着手というわけではない。次に進むスタミナがないことは認識している。街づくりの中の整合性を図るための調査で、整備の手戻りがないように調整することが目的。これからすぐ事業に着手できるとは思っていない。

【知事】
 手戻りとは?

【都市整備部】
 阪急の新駅は平面にできる。駅前を区画整理して22年度に、駅と駅前ができるが、後に連立事業を実施する際、鉄道はいったん仮の線路をひいて別の場所に移さなければならない。移す場所は、区画整理の区域内になる。新駅もいったん取り壊して、仮設駅を建てることになる。一度作ったものをつぶすことになるが、その影響範囲ができるだけ小さくなるよう計画の整合性をとりたい。

【知事】
 事業の着手は、次の判断があるまではできないと言うことか?

【都市整備部】
 新たな連立事業を実施できる状態ではないことは、十分認識している。

【知事】
 申し訳ないが、都市整備の事業については、精査した上で決めている段階である。重要であることは了承しているので、きちっとご意見を踏まえた上で、最終判断をしたいと思っている。

○知事と部局長の議論

【都市整備部】
 都市基盤整備は、全体が出来上がるまでに5年、長いものでは20年近くかかるものもある。こうした事業を円滑に進めるため、平成13年度に中期計画を策定した。長期にわたる事業の進行管理を行い、事業期間等を住民に明示することを目的としている。府の財政状態にも合わせてきた。PT試案によると、13年度にやろうとしていたことの半分程しかできない。ここでは、特に影響が大きすぎて、どうにもならない事業を上げた。
 また、施設の維持管理、地震対策・津波対策については、これまで削減してこなかったが、今回は、そこにも影響している。
 さらに、4月に国から今年度の補助事業の内示があったが、PT試案で集計したものと都市整備部で集計したものとで、事業費ベースで150億円の差が出ている。これまでも、単独事業はできないので、できるだけ国からの補助が入るように努力してきたが、新規採択も見送らざるを得ない。国に150億円返すということは、あまりにも額が多く残念。今後21年度、22年度にできるだけ影響が出ないようにやっていくつもりだが、これが一番大きな問題と考えている。

【知事】
 150億円の事業ができなくなるのは残念。都市基盤整備が必要なのは十分認識しているが、実質公債費比率という重要な指標があるので、それを念頭においている。過去のツケが来ているとしか思えないことは残念。
 補助事業と言うものの仕組みが良く分からない。府にとって必要なものなのに、地方が6億円出せないからといって、国が85億円を引き揚げるのは納得できない。くやしさを感じる。せめて必要な85億円の事業だけでもやらせて欲しいと思う。
 起債については、今のやり方を見直して欲しいというのが府民の声だと考えている。一度、プログラム案で、大阪府がどうなっているのか、今の国の制度の中で地方自治体がやっていこうとしたら、住民サービスはどうなっていくのか、責任を持って示した上で、次にどうするか考えたい。そのためにも、今年は申し訳ないが、今までのやり方を考え直す形で最終判断をしたい。

【都市整備部】
 20年度についてはのんだが、21年度、22年度も同じ議論では困る。前回議論の際は、PTとは平行線だったので、ご検討をお願いしたい。

<道路事業の説明>

【知事】
 もし本当に厳しく将来予測して、以前からもっと我慢していたら、今の削減はほとんどないはず。前々からどれだけ広く薄く我慢してきたかということ。今のまま、この状態で必要なものをどんどんやっていくと、後年度に、今よりもっととんでもない状況を押し付けることになる。今回は、かなり厳しく将来予測をたて、前倒しでやっている。必要なのは分かる。今の財政状態では、ここまでの府民サービスしかできないと、府民には責任を持って説明する。

【都市整備部】
 以前の事業をやめておけばもっと楽になっていたということについて、その時点でやらなければならない事業が当然あって、それを選択と集中の中でやってきた。やらなければならないことは決まっているので、その時点でのすべきことをしないと、後ろがどんどん詰まっていってしまうということだけは付け加えたい。

【知事】
 不必要だと言っているわけではない。全体の起債残高を見たときに、必要なものを全部やっていると財政的に破綻してしまう。必要なことは分かっているので、財政的な筋道をつけて、早く都市整備をしなければならない。これらが全部残っていること自体、府民に申し訳がない。次の一手を21年度予算に反映できるようにがんばりたい。そうでなければ、また先送りの繰り返しになってしまう。地元への説明が必要なら私が説明しに行く。

<連続立体交差事業の説明>

【知事】
 必要性は十分承知している。遅延による府民の不利益と言うが、工事を優先させると、救命救急センターや障がい者グループホームの費用を全部工事にまわすことになる。今までは、必要だということで起債し、この状態になってしまった。結局、与えられた収入の範囲内で、どれを優先するのかという優先順位の問題に行き着く。申し訳ないが、私は、救命救急センターの費用の方が優先順位は高いと思う。
 工事が重要であることは認識しているが、今の予算の範囲内でとるべき優先順位をつけていくと、どうしても財源ではみ出てしまう。それでも順位に入れるのなら、府民にご負担願うか、国から税財源の移譲をしてもらわないとどうしようもない。あるいは赤字でもいいから起債して必要なものをやるのか。財政再建を第一に考えてくれというのが府民の声だと思っており、ぎりぎりのところで優先順位をつけている。府民から文句が出た場合には、都市整備部の問題ではなく、私が優先順位をつけたということを説明する。
 財政再建の道筋が見えた段階では、全力を上げて都市整備をやっていきたいと考えているので、今のところは少し遅延することをご理解いただきたい。

【都市整備部】
 都市整備部には都市整備部に与えられたミッションがある。知事のおっしゃる優先順位の考え方は理解できるが、一担当部局としては優先順位がどうとは言えない。

【知事】
 申し訳ない。こういうことができない府の財政状況が根本原因。都市整備をやらないと大阪のためにならない。今年度に最初の道筋をつけて、次年度、次の一手を打てるようにがんばりたい。都市整備の皆さんには非常に申し訳ないが、別のところを優先しなければならない状況があることは理解して欲しい。

<都市基盤施設維持管理の説明>

<地震・津波対策に関する説明>

【知事】
 都市整備部の主張は良く分かる。都市整備部が府民のことを考えて、こういうことをやりたいという、その主張を止めたのは私であることは、誰もが分かっている。府民には、行政の長である知事が決めたと説明する。これ以上のサービスを求められるのであれば、清掃など府民が自分たちでやらなければならないし、負担も求めざるをえないというメッセージを発信する。主張は良く分かった。

【都市整備部】
 出資法人について、大阪府都市開発(株)は、知事から、会社資産を一層活用して、企業価値を高められないか、そのために民間経営のノウハウの導入を考える必要性があるのではないかという、ご指摘をいただいていた。関係部局とも検討して、今後の会社の経営強化策についての府としての考え方をまとめた。大阪高速鉄道(株)についても、大阪府都市開発(株)と同様の趣旨で、完全民営化、経営の活性化の観点からご意見があったので、これについても考え方をまとめた。

<出資法人に関する説明>

【知事】
 この2社について、これまでの役割は重要だったと思う。行政は最初に整備し、ある程度軌道に乗った後は民間に任せるべきだと思う。
 黒字になっている事業体、特に大阪府都市開発(株)については、黒字で何故民営化して売却なのかと思われるかもしれないが、民営化してさらに発展する可能性もある。
 民間に委ねて、地域の活性化についていろいろと知恵を出してもらいたい。民営化にはいろいろな障壁があるようだがその可否は、都市整備部に関与している会計士ではなく、また別のところで見てもらうのか。

【PT】
 こちらのほうでも、相談しながらやっていく。

【知事】
 いろんな困難や支障があるかもしれないが、大阪全体のことを考えて知恵を絞って欲しい。
 決して3セクが悪いといっているわけではない。ここまで基盤が整備されたら、競争にさらされる民間の人材を入れて、次の一手、先々の案を出してほしい。今まで、大阪府の役割は十分果たされていると思うので、さらに大阪を活性化させるために、両会社については、民営化を進めて欲しい。いろいろな課題があり、モノレールについても事業を広げるためには、3セクでなければ出来ないという事情もあるようだが、完全民営化について検討し、その可否を判断していきたい。

【都市整備部】
(大阪府都市開発(株)は、)これまで府が意図、目的としてきたことは、今の会社はしっかりやってくれている。
 ただ、知事がおっしゃった街の活性化までは、都市整備部としてもこれまで要求してこなかった。上場に向けた課題は説明の通り。会計士にも聞いたが、今すぐの上場は無理だろうということであった。経営活性化等について、外部の方のアドバイスももらいながら進めていきたい。

【知事】
 私が言わなかったら、大阪府都市開発(株)なども民営化の話にならなかったことは残念。もっと早くにそういう話をして欲しかった。今まで会社がやってきたことを否定するのではなく、さらに大阪を元気にさせるために、がんばっていただきたい。

<以上>

※聞き取りにくい箇所があったため、発言内容は一部不正確なところもありますが、ご了承下さい。

このページの作成所属
財務部 行政経営課 企画調整グループ

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