知事と教育委員会との議論(概要)

更新日:2023年5月24日

日時  平成20年5月30日(金曜日)11時10分から12時50分

場所  第一委員会室

 
【教育委員会】
(資料全体の概要及び「35人学級」について説明)

【知事】
 35人学級については、視察も行い、効果は十分に認識している。しかし、1つ質問したいのは、少人数の方が先生の目が行き届くということはわかるが、一方で、子どもが集団生活のルールを学ぶ上で、最低限の規模が必要ではないかと思うが、最低必要な人数はどのくらいと考えているか。

【教育委員会】
 小学校の教員にアンケートを実施したところ、20数人程度という回答があった。

【知事】
 私もそう思う。36人になった場合、35人学級制だと18人のクラスが2つできることになる。このように、20人以下のクラスが生まれてしまう弊害があることから、最低限の規模の基準も定めてほしい。
 1学年36、7人しかいない学校であれば、40人に達するまでは、36、7人で1クラスとしてほしい。18人のクラス2つや18人と19人のクラスを1つずつつくる方が弊害が大きい。

【教育委員会】
 40人に達するまでとすると、まさにそれは40人学級になってしまう。

【知事】
 例えば、1学年72人の学校で、24人のクラスを3つつくるのは構わない。1学年に36、7人しかいない場合は、18人と19人のクラスとするよりは、36、7人のままにしておいた方がよい。

【教育委員会】
 教員定数、配置にかかる議論になるが、一定のメルクマールが必要だと考えている。そういうメルクマールを設定した上で、何人加配するかという議論をした結果、例えば、18人のクラスをつくるのではなく、36人のクラスに2名教員を入れて、ティームティーチングで指導するというやり方もあると思う。

【知事】
 それでは今の財政状況からすると過剰だと思う。

【教育委員会】
 そういう選択肢も用意する中で、「18人では少なすぎる、20人は確保したい」という要請があれば、そういう形で応えていって、少人数学級は守りつつ、子ども達の学力を高めていくのが本筋だと思う。

【知事】
 35人学級制自体は構わない。例えば1学年72人のところを24人の3クラスにするのはいい。35人学級については、世間では少し誤解されていると思うが、現実にはほとんど35人以下で、20から30人程度の規模になっている。1学年36人しかいない場合、18人クラス2つはおかしい。弊害の方が大きい。そのことについてもきちんと伝えるべきだと思う。

【教育委員会】
 36人ならいいが、37ではなぜだめなのか、38では、といったことになり、結局40人学級になってしまうのではないか。

【知事】
 1クラスが18人といった形になるのを避けるということ。1学年に37人しかいない学校では、例外的に、37人でやっていくということで理解されるのではないか。

【教育委員会】
 1学年1クラスという状況については、学校規模としてそれでよいのかという問題があると思う。学校自体を適正規模にしていく方向で議論すべき問題と考えている。

【知事】
 今、少人数がいいという話ばかりになっているが、最低限の規模のルールもつくって、集団生活のルールを学ぶためには、1学年36人のところは18人2クラスにはしないようにしてほしい。1クラス人数の下限を決めてほしい。

【教育委員会】
 その点については、我々としても意識を持っている。学校教育審議会においても適正な学校規模の話をしていただいている。例えば、1学年1クラスでは運動会など、どうするのかという問題もあり、課題として認識している。小学校の適正規模をつくっていくとともに、少人数教育も進めていきたい。

【知事】
 今は「少人数教育がいい」というメッセージばかりが強調され、誤解を招いている。きちんと適正規模を府民に対して説明してほしい。そうすれば、1学年36、7人の地域の保護者も、2クラスに分けるよりも、1クラスの方がよいということを理解してくれる。
 私は、1、2年生の35人学級については賛成だが、下限を定めることを考えてほしい。18人のクラスを2つつくるといったことはやめてほしい。

【教育委員会】
 学校教育審議会の答申が7月に出される予定。これを受けて、今後5から10年を見据えたビジョンを検討していくが、その中で、学校のあり方を規模という観点からも考えていきたい。
 また、学校耐震化についても、今の学校数で耐震化するのがよいのか、2つの学校を統合して進めた方がよいのか、小学校の設置者である市町村も悩んでいるところだと思うので、学校の適正規模等について検討していくことが必要だと考えている。

【知事】
 現実には、20人以下のクラスはどのくらいあるのか。
 今は、予算の優先順位の話になってしまっているので、20人以下のクラスの人員予算分については、他のところに回させていただきたい。

【教育委員会】
 他のところとは、教育以外の分野でということか。

【知事】
 教育の分野で使っていきたいので、検討してほしい。20人以下のクラスはそんなに数はなかったと思うが。

【教育委員会】
(「時間講師・教育関係非常勤職員・府立学校教務事務補助員等雇用費」について、資料に沿って説明。)

【知事】
 いろいろ努力していただいているが、予算の範囲内でお願いしたい。

【教育委員会】
 厳しい状況は承知しており、努力していきたいと考えているので、来年度以降の新たな展開についても改めて議論していただきたい。

【教育委員会】
(「府立体育会館」について、資料に沿って説明)

【知事】
 体育会館は、稼働率について、なみはやドームとあわせて一体的に考えていただきたい。あれだけの一等地なので、府有財産として活用してほしい。プロアマ比率というのは、必ずアマチュアは何割受け入れないといけないといった、何か決まったものがあるのか。

【教育委員会】
 条例等では定めていない。手続き上の問題であり、条例を変えなくても比率を変えていくことは可能だと考える。

【知事】
 プロアマを5割ずつとしているのは、やはり体育施設だからということか。

【教育委員会】
 そのとおり。「府立体育会館」という名前でもある。

【知事】
 ネーミングライツを入れて、名称を変えるのではないのか。

【教育委員会】
 企業名を冠しても、府立体育会館という名前は残す方向で考える。

【知事】
 行政の立場で言うと、教育委員会の所管で、「体育施設」ということから考えていると思うが、府有財産という観点から考えるべき。なみはやドームもある中で、あそこに体育施設を持っていることが妥当なのかどうか。もちろん、一気にゼロにすることはできないが、体育にこだわるのはどうかと思う。先ほどの説明でもあったように、大阪の新歌舞伎座もあの場所からなくなる中で、にぎわいという観点から考えると、あの施設は重要だと思う。教育委員会の所管ということを外して考えてほしい。府有施設という観点から、なみはやの稼働率と一体的に考えていただいて、私は、にぎわいづくりが重要だと思うので、プロアマ比率についても5対5というのはどうかと思う。むしろ逆転させて、プロを7割くらいにすべきではないか。アマチュアの大会については、この一等地で実施しなくてもよいのではないかということ。

【教育委員会】
 考え方は理解できる。体育会館の設置条例も変えて、幅広い用途の施設とすることは将来的にはできると思う。教育財産ではなく、その方が府民にとって、有用ということであれば、そういう考え方は否定できない。ただ、今は、教育委員会の所管の財産の部分で、経営改善を図りつつ、にぎわいづくりを進めていきたい。将来的には、所管も変えて、もっと広い意味でのにぎわいの殿堂という、新しい形に切り替えていくということは理解できる。

【知事】
 教育委員会で、必ずあの施設を確保していくということではなく。

【教育委員会】
 はい。

【知事】
 アマチュアの大会なら、他にもいろいろ施設はある。あそこは超一等地なので、にぎわいという観点から見直しをしていきたい。

【教育委員会】
 指定管理者との契約期間中であるなど、様々な制約要件があるが、将来的には府としてそういう方向で検討していただいたらと思う。

【知事】
 了解。

【教育委員会】
(「臨海スポーツセンター」について、資料に沿って説明)

【知事】
 指定管理期間は平成22年度末までか。

【教育委員会】
 そのとおり。

【知事】
 耐震改修は平成26年度までに実施しないといけないと聞いているが、それまでは使用できるのか。

【教育委員会】
 26年度までに実施しないといけないが、直ちに使用できなくなるということではない。

【知事】
 この施設については、もう改修等はしないというメッセージを出す必要があると考えている。使用できても26年度まで。22年度末までは指定管理者との契約があると思うが、23年度以降は府支出はゼロでいいということか。

【教育委員会】
 運営費補助はゼロにし、収入の範囲内でやっていく。

【知事】
 そういう仕組みができなければ廃止でも仕方がないということか。

【教育委員会】
 はい。

【知事】
 今後、府としての負担はなしということで、また、状況を見せていただきたい。

【教育委員会】
 26年度段階で、また議論しないといけないと考えているが。

【知事】
 議論というか、もうそのまま存続させて、追加での府負担を行うことはないということだ。体育会館もこの施設も、来年度ににぎわいの状況等を見て最終判断したい。

【教育委員会】
(「国際児童文学館」について資料に沿って説明)

【知事】
 専門研究員の方はどういうことをしているのか。

【教育委員会】
 4名いるが、それぞれ大学時代の研究分野はあるが、児童文学館ではそれをもとに、子どもの年齢に応じ、実際に読み聞かせをし、その反応を見るという研究成果がある。もう一つは、毎年出版される子ども向けの書籍の殆どを読み、どう活用すべきかをまとめて、公共の図書館、学校図書館等に案内する。どういう本を購入すべきか、といった材料を提供するための研究を行っている。

【知事】
 ちょっとわかりにくい。研究員の人が直接子どもに読み聞かせをしているということか。

【教育委員会】
 そういうこともしている。閉じこもった研究ではなく、どうすれば子どもの読書活動につながるかという分野のノウハウを蓄積するための研究を行っている。

【知事】
 どういうノウハウがあるのか。

【教育委員会】
 まず、どういう本を与えるか。子どもたちが「楽しい本を読みたい」、「スリルのある本を読みたい」といったときにどういう本を与えるかということについて、児童心理学者とも協力し、ホームページ上でほんナビきっずという形で情報を提供している。子どもの本への出会いの仕方について研究しているということ。

【知事】
 今の説明を聞いて、一般の府民の方は「子どもは好きな本を選ぶよ。学校とどこが違うのか」と思っているのではないか。実際に、うちの子供も学校の図書館で好きな本を自分で選んできている。研究するのはいいが、なぜ府で実施しなければいけないのか。そういった研究がどこまで府の子どもに広がっているのか。一部の人に影響が止まっているのか。子どもは図書館で自分で好きな本を選ぶところから始まるのではないか。大きな教育観の話になってくるとは思うが。

【教育委員会】
 まず、図書館等で限られた予算の中でどういう本を揃えるかということが問題。子どもは与えられた条件の中から本を選ぶ。

【知事】
 それは中央図書館のスタッフではできないのか。図書館で、「子どもにはこういう本がいいよ」ということで揃えるくらいで、大半の府民は満足しているのではないか。他の全国の図書館でも研究員を配置して児童文学についての研究を行っているのか。

【教育委員会】
 研究員を置いているわけではない。

【知事】
 それでは、全国の普通の図書館ではどうやって子供向けの本を選んでいるのか。

【教育委員会】
 図書館では司書が相談に応じるのは当然のこととしてやっているが、すべての分野の本を読むことは難しいので、子ども向けのメジャーな本を揃えているのが現状。児童文学館の研究成果は、府民に直接というより、公共図書館・学校図書館等への情報提供を行っているが、それは司書の仕事の範囲を超えている。

【知事】
 児童文学以外の分野については、図書館では誰がどの本を買うということを決めているのか。

【教育委員会】
 出版されたリストの中から、委員会的なものを設けて、また、府民ニーズ、アンケートなどで寄せられた内容をもとに合議制で選んでいる。

【知事】
 児童文学もそういう形で選定すればいいのではないか。

【教育委員会】
 子どもが最初の本との出会いのところが重要。生涯にわたって本が好きかということを左右する。

【知事】
 行政が考えるほど府民はひよわではない。そこまで判断しなくてもいい。どんな本を選ぶかといったことなら、今あるシステムで十分。高度な話であれば、大学に問い合わせをすればいいのではないか。

【教育委員会】
 大学では、作家の研究等が中心。子どもに実際読み聞かせをしたりといった実践的な分野の研究とは異なる。

【知事】
 児童文学館についての議論の中で、存続を求める方たちから「唯一」といったことが強調されるが、何が「唯一」なのかということが重要。子どもにどういう本を与えるかといったこと以外には何をしているのか。

【教育委員会】
 現在、出版社から本が寄贈されているのも、内容の分かる人間がちゃんと評価して永年保存しているから。また、「ニッサン童話と絵本のグランプリ」や「グリム賞」のような事業も、専門員のノウハウを使い、企業の資金を使って実施している。

【知事】
 企業の資金と専門員のノウハウを使って、結局何をするのか。

【教育委員会】
 読書の振興。

【知事】
 その読書の振興について、一生懸命、これまで府民に働きかけを行ってきたのか。

【教育委員会】
 PR等については、十分効果的なやり方ではなかったと考えている。子どもの読書離れが言われる中で、今回、資料のような取組みを考えていきたい。昭和55年に、鳥越先生から12万冊の児童図書・研究資料が府に寄贈されて設置した施設。現在70万冊の資料を保存している。研究員という言葉が誤解を招いている部分があると思うが、純粋な研究なら何も府が実施する必要はないというのは理解できる。そのために今回のメッセージとしては、研究員も、司書的な機能を活かしつつ、せっかくあるストックを中央図書館で、より効率的に、より幅広く還元していく。そういう形に転換していく。府民の税金を投入している以上、府民の子どもたちに読書の楽しみを伝えていく。
 しかし、法人を廃止してしまった結果、外部資金が入ってこなくなるのはもったいない。また、児童文学館は最近、手塚治虫賞を受賞。児童文学館が、これまで子どもたちの読書に一定の役割を果たしてきたことが評価されたもの。中央図書館に移っても全く今までどおりと言うつもりはない。変えていきたい。

【知事】
 財団法人は、外部資金で人件費も全て賄えるのか。

【教育委員会】
 そこまでは無理だと思う。

【知事】
 現在の府負担1億7000万円はゼロにして、研究員等の人件費を全部独自で賄うということか。

【教育委員会】
 児童文学館の機能を中央図書館に吸収するのだから、一部は、府の職員として身分を切り替えていかないといけないと考えている。1億7000万円すべて必要ということではなく、機能を中央図書館に集約させることによって効率性は高めるが、中央図書館に全く新たに児童文学館の仕事だけを引き取れというのは無理だと思う。

【知事】
 現在の府負担1億7000万円は要らないという話なら、廃止するというのはどうかなと思うが、やはり、府の運営補助が必要ということか。

【教育委員会】
 府としての機能吸収はお願いしたい。その機能吸収にともなう、人件費の移転・吸収はある程度必要。

【PT】
 財団職員を府職員として採用するということか。

【教育委員会】
 期限付の採用というやり方もある。現在、大まかに言って、1億7000万円のうち、建物の維持管理が1億円。人件費が7000万円。この7000万円をどうするかということ。そこは各論で議論したいと考えているが、7000万円が一気にゼロになって法人で負担するということは困難。基本財産1000万円しかない法人。機能整理をし、説明すべきものはきちんと説明するが、機能吸収にともなう人件費の吸収は、どういう形の採用になるかは別として、一定部分はお願いしたい。その上で、法人は、7000万円の民間からいただいている事業資金の中から、事務費や人件費等を生み出して、4000から5000万円で事業を行う法人として自立していってもらうとありがたい。
 ただし、法人が果たしてきた機能は大事にしたい。外部資金が入ってこなくなるのはもったいない。そのようなことになれば、法人も含めた広義の大阪府としてロスになるのではないかと思う。

【知事】
 児童文学館の場合は、資料は中央図書館に移転・保存するので、1回廃止をして、「いや、やっぱり必要だ。図書館の機能だけでは不十分だ」という声が幅広く出てくるなら、もう一度再構築すればいいのではないか。

【教育委員会】
 法人が果たしてきた児童文学館の機能のうち、大阪府としてどの部分を吸収することが府民への還元につながるのかといったことは、検証しないといけないと思っている。考え方としてゼロベースで見直すというのはよいが、いったん廃止してしまったとたんに外部資金が途絶えてしまうというのは困る。

【知事】
 今までの行政の考え方は、そういうことで継続、継続となってきたのだと思う。児童文学館の研究活動等について、専門家の人はわかるのだろうが、普通の感覚で聞いて、どうしてもすんなり納得できない。一度、ゼロベースで考えさせていただく。資料等の機能は中央図書館に移すが、もう一度、ゼロから考えさせてもらいたい。

【教育委員会】
(「博物館」について資料に沿って説明)

【知事】
 今回のことがきっかけになる前に、こういう議論をしていただいていればよかった。残すためには、府民の中に出ていかないといけない。博物館にしても、行政からお金が自然に入ってくるとなると必死で考えない。こういう状況になったことによって、いろいろ考えていただいている。このような活動をすることによって、府民や子どもたちに浸透していくと思う。博物館の方にも、常にこういう意識を持っていただきたい。「待ち」ではなく、出かけていって、蓄積したものを府民に還元していく、そういう姿勢が重要。そういうことがこれまで足りなかった。府立体育会館と同様、来年度に効果があがっているか、状況を見せてもらいたい。文化ということで、私がやりたかったのはこういうこと。ぜひともよろしくお願いしたい。

【教育委員会】
(「学校安全総合支援事業」について資料に沿って説明)

【知事】
 20年度中の10%カットはしない。但し、補助金という形では今年度限りというメッセージを市町村に送りたい。21年度以降については、交付金化するのか、各学校事情に応じて、人を配置するのか、機械化するのかその安全対策については市町村にお任せするような形で、額についても今後検討したい。今の補助金という形は今年度限り。

【教育委員会】
(「いじめ対策」について資料に沿って説明)

【知事】
 前から教育委員会との議論でも言っているが、最終的には転校できるという情報を子どもたちにも、小学1年生から、きちんと提供することが大事。スクールメイトについてだが、これはインターンシップではないか。教員志望等の学生にとっては、資格もないのに学校内に入って子どもと接する機会が得られるのはたいへんなメリット。お金を出してでもやりたいはず。例えば、弁護士になりたいときに、法律事務所に裁判に連れて行ってもらえるなら、交通費を払ってでもやりたいこと。学生にとって勉強の場を提供している。何も3千円を払わないといけないような話ではない。逆に、お金をもらえないなら来ないというような学生では困る。

【教育委員会】
 学生の勉強という側面だけではない。学校もメリットを受けており、双方得になる話。

【知事】
 学校にもメリットはあるだろうが、学生に与えるメリットの方がはるかに大きい。

【教育委員会】
 だから、交通費相当となっている。

【知事】
 3千円払わないと来てくれないのか。教員志望の学生にとっては、うれしくて仕方ない話のはず。

【教育委員会】
 交通費も面倒見ないということでいいのか。感謝の気持ちを伝えるべき。

【知事】
 金銭ではなく、教師塾のように、学校教員のノウハウを伝えるなど、そういう形でのメリットはあるのではないか。ただで来てもらうが、授業のやり方を教えてあげるなど。

【教育委員会】
 インターンシップという位置づけならいいが、全員が教員志望という訳ではない。

【知事】
 教師にならない学生にとっても貴重な経験。

【教育委員会】
(「こども支援コーディネーターの配置」、「学校サポートチームの派遣」について資料に沿って説明)

【知事】
 学校現場がたいへんなのは十分承知しているが、学生サポーターを入れるというのはいかがなものか。教育委員会の締め付けが厳しすぎて、先生が子どもを厳しく指導できないのではないか。学生サポーターにお願いするくらいなら、教師に厳しく指導させればいい。最終的には警察にお願いする話だが、その間に学生サポーターに任せないといけないというような教育システムは許せない。

【教育委員会】
 任せるのではなく、学生の力を借りるということ。実際に効果があがっている。

【知事】
 それは、学生サポーターは厳しく言うからだろう。

【教育委員会】
 それもあるが、やはり「お兄ちゃん」の目線。より身近な年齢の人が言うことに効果がある。

【知事】
 学生から言われて諭されるようなことを、教師が言って諭されないなんておかしい。それは教育委員会が、保護者を恐れて、何でも体罰だといって教員に対してうるさく言い過ぎているからではないか。ちゃんと先生を守って、「これは生徒のためだ」ということで、毅然たる対応をすべき。

【教育委員会】
 4つのチームで年間16回程度出動している。こういうチームを派遣することによって、立ち直れるところに派遣している。ほとんどの学校では教員が対応している。教員が指導できることが本筋だとは思っている。
 しかし、体罰を行ってしまうと教育に対する信頼がガタガタになってしまう。知事がおっしゃっている時代背景と今とはかなり違う。

【知事】
 教育について、保護者に対してメッセージを送ることが私の役割だと思っている。今の保護者のあり方では先生が気の毒だ。保護者が学校で、規律も関係なくどこでもビデオを撮って、授業参観中でも私語を止めない。それでも先生は注意できない状況。そういう根本のところから変えていかないといけない。そういう意識改革を保護者に求めていかない限り何も変わらない。大阪から、本当に変えていこうというメッセージを発するので、教育委員会も先生を守っていくという姿勢を示さないといけない。「学生サポーター」に頼るなど、現場の先生自身が一番情けないと思っていると思う。

【教育委員会】
(「支援教育地域支援整備事業」、「支援学級指導体制充実事業」について資料に沿って説明)

【知事】
 このあたりの事業は増額分を削減しているだけではないのか。

【教育委員会】
 19年度の額に戻された上で1割カットされている。全国で唯一、支援学校の教職員に対する給料の調整額を段階的に廃止しており、これを財源に障がいのある子どもたちの教育の充実にあてている。

【教育委員会】
(「府立視覚支援学校基本計画策定事業」について資料に沿って説明)

【知事】
 その計画は認めるので、進めてほしい。但し、先ほどの人員関係の問題は、厳しい現状は理解しているが、都市整備など他の分野も厳しい中でやりくりしている状況。ほとんどの先生方が一生懸命取り組んでいただいていることは理解している。次の一手を打つためにも、何とか財政を立て直したい。抜本的に保護者と学校の関係をもう一度見直す必要があると考えている。このままでは10年先どうなるか、先が思いやられる。先生方は萎縮してしまっている。学校、教師と親の関係など、今一度見直す必要がある。

【教育委員会】
 保護者や地域の協力も得ながら確かな取組みを進めないと、知事がおっしゃる「教育日本一」の実現はできないと考えている。

【知事】
 よろしくお願いしたい。

<以上>

※聞き取りにくい箇所があったため、発言内容は一部不正確なところもありますが、ご了承下さい。

このページの作成所属
財務部 行政経営課 企画調整グループ

ここまで本文です。


ホーム > 財政再建プログラム試案 > 知事と教育委員会との議論(概要)