選択的夫婦別姓制度の法制化に関する意見書

更新日:2019年10月25日

       
 
 

選択的夫婦別姓制度の法制化に関する意見書


 日本の平均初婚年齢が30歳前後となり、令和元年7月に総務省が発表した労働調査によると、女性の就業者が初の3,000万人超え、婚姻前に個人名で信用・実績・資産を築く人が増えている。このような時代の変化の中で、改姓によってこれまで築きあげたキャリアに分断が生じる例や、法的根拠のない旧姓使用で不利益・混乱を生じる例は多く、それを避けるために結婚を諦める人、事実婚を選ばざる得ない人が一定数存在している。しかし、事実婚の夫婦には、相続権や共同親権がなく,緊急時に家族として対応できる保証がないのが現状である。さらに、現法下での改姓手続き、旧姓の通称の使用には煩雑かつ膨大な事務手続きや費用が必要となっており、本人だけでなく行政側にも多くの時間と費用負担が生じている。また少子化が進む現在において、一人息子と一人娘の結婚等、伝統ある家名を存続させるために別姓での結婚を可能にする法改正を求める声も日増しに増えている。
 平成8年2月の法制審議会が選択的夫婦別姓制度の導入を含む「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申してから23年、いまだに選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正の見通しは立っていないという現状であるが、平成30年2月に内閣府が公表した「家族の法制に関する世論調査」では、婚姻に際し夫婦同姓も夫婦別姓も選ぶことができる「選択的夫婦別姓制度」の導入に対して、42.5%が賛成し、条件付き賛成も含むと66.9%となり、反対の29.3%を大きく上回る。特に、多くの人が初婚を迎える30代の賛成や条件付き賛成の人の割合は、84.4%であった。この数字を見ても、世論が選択的夫婦別姓制度を必要としていることが明らかであるといえよう。選択的夫婦別姓制度の導入は、「家族で同じ姓の方が一体感が深まる」と考えるカップルは引き続き夫婦同姓で結婚できる一方で、必要なカップルは夫婦別姓を選べるようにするものである。
 最高裁判所においても、平成27年12月16日に、民法の夫婦同姓規定を合憲とする一方、「選択肢が設けられていないことの不合理」については、裁判の枠内で見いだすことは困難とし、「国民的議論、すなわち民主主義的なプロセス」により検討されるべきであるとの判断が示されている。また、平成30年3月20日の衆議院法務委員会答弁において明らかになったように、夫婦同姓を義務付けている国は、世界で日本だけである。家族のあり方が多様化し、女性活躍を推進する時代において、同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、旧姓使用にも一般的な法的効力を認める選択的夫婦別姓制度の法制化に向けて早急に議論を始めることを要望する。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。


令和元年10月25日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣                  各あて
総務大臣
法務大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
                                                                                                                                                     
                                                      
        大阪府議会議長
                                                                  三田 勝久                                                                                                                                                                                                
                                                            



 

 

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