第13回近畿6府県議員交流フォーラムの開催結果について

更新日:平成28年11月17日

 近畿6府県(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県)議会は、平成28年8月24日(水曜日)、「第13回近畿6府県議員交流フォーラム」を大阪府に於いて開催しました。
 近畿6府県議会の56名の議員が一堂に会し、議会、地方自治、観光、防災の各分野において、近畿各府県が直面している共通課題について意見交換を行い、連携・交流を深めました。
 
 まず、午前の全体会議では、開催地を代表して大阪府議会の今井議長から挨拶があり、続いてコーディネーターを務める、人羅格毎日新聞論説委員(「議会」分科会)、新川達郎同志社大学大学院総合政策研究科教授(「地方自治」分科会)、溝畑宏大阪観光局理事長・元観光庁長官(「観光」分科会)、河田惠昭関西大学社会安全研究センター長・教授(「防災」分科会)から各分野の論点を説明いただき、午後の分科会では、参加議員間で熱心な議論が交わされました。
 分科会の議論の後、再度、参加者全員による全体会議を開催し、各コーディネーターから分科会の報告及び総括が行われ、最後に、京都府の植田議長から、来年度は京都府で開催することが表明され、フォーラムが締めくくられました。




【各分科会のまとめ】

第1分科会
 「議会」分科会では、「選挙権年齢の引下げを踏まえた議会の活性化と機能強化」をテーマとし、若者を含め、住民に地方自治への参加を促していくため、議会としてどのような取組が考えられるのか、どのような課題があるのかについて議論がなされました。

 まず初めに、18歳選挙権が実現し、若者が政治に触れる上で、身近な地方自治が果たす役割は大きく、地方議会と若者の接点のつくり方について、様々な報告や提案が述べられました。
・今夏の参院選で18歳の投票率が50%を超えていたことから、政治に無関心でないことが分かる。双方向性の議会運営など工夫を凝らしている。例えば出張議会などで若者と話をする機会、若者が政治に触れる機会を増やしている。小中高校生に対してどのように対応していくかの課題については、まだまだ試行錯誤の段階であり、テーマの設定に工夫を凝らす必要がある。例えば、アニメキャラを使うなど分かりやすく、また親しみやすくする工夫を行っている。といった取組が紹介されました。
・若者に関心のあるSNSやインターネット等のツールを活用し交流する機会を持つことが大事であるが、それと同時にペーパーメディアも必要である。若者に政治に関心を持ってもらうには学校教育が重要となる。若い人と議員が直接触れ合うにはどうすればいいか工夫が必要である。大人も含めた社会全体が政治活動に関心を持つことが必要であり、議員が本気で議論する姿を見てほしい。などといった意見が出されました。

 次に、地方議会の多くが議会基本条例を制定するなど、住民と地方議会の距離を縮めようと取り組んでいる中で、住民対話と議会改革についてどのように考えているか等の議論がなされました。
・議員一人ひとりが地域住民と積極的にふれあい、住民の思いや地域の課題を見聞きすることが大切である。住民との意見交換は有効、課題別の懇談などの工夫や規模や回数を増やすことも必要である。などといった意見が出されました。
・議員提案条例の制定時やその前後において、住民や関係団体との対話の機会や意見交換を行い、できる限り住民の方々の声を行政に反映できるよう取組を行っている。議会の運営に関しても、一問一答で質疑を行うなどの工夫をほとんどの府県議会で導入している、また議員提案で政策条例を成立させるなど地方の立法機関としての役割を果たしている。などといった府県の取組が紹介されました。

 最後に、若者を含め、より多様な人材が地方議会に参入しやすくなる仕組みなど、議員の人材養成の視点で議論が行われました。
・多様な人材に参入してもらうには、まずは議会、政治に関心を持ってもらうことが必要である。地方議会が住民の生活にどのように影響しているか知ってもらえるよう議員活動の成果等をもっと伝える広報の工夫が必要である。といった意見が出されました。
・女性議員の状況についても議論されました。統一地方選の結果、全体で9%しか女性議員がいないことから、都道府県議会における女性議員参入のハードルが高いのではないか。女性議員の可能性は多くの議員が認めていることなどから会派で取り組む余地があると感じた。といった議論がなされました。
・議員のなり手の観点から、専業で議員として活躍できるよう環境を整える必要がある。特に金銭面についてはある程度の保障、例えば年金など生活基盤の充実が求められる。との言及がありました。



第2分科会
 「地方自治」分科会では、「人口減少社会における行政の役割」をテーマとし、人口減少への対策として行政や議会が果たすべき役割や課題について、コーディネーターからの基調説明の後、議論がなされました。

・これからの戦略・政策を考えるとき、子育てはもちろん、その前提となる、出会い、結婚、出産、教育といったプロセスを大事にすべきということから様々な事前報告や提案が述べられました。あわせて、技能を持つ海外からの移民を、積極的に次代の担い手として考えていいのではないかといった意見も出されました。
・地域への愛情や誇りをもって定住しようという住民をいかに育てるかが大事であり、そうした誇りを持った地域を創りあげることが重要だという指摘もありました。
・仕事がなければ地域が回らないという現実の問題もあり、地域の産業、雇用、働き場所といったことについても集中的に議論がなされました。そのときにも、単に企業誘致があればよいということではなくて、地域の中で働きがいのある質の高い雇用や産業が生まれる地域循環を大事にしたいといった発言もありました。
・こうした将来の地域活性化を考えていくとき、地域の「世話焼き」により出会いや結婚を増やしてということもあるが、観光や空き家の活用といった人口減少自体を地域の資源として捉え直し、これらを組み合わせることにより、地域の持続可能性を高める方法もあるのではないかということでも意見が出されました。

・次に、都道府県議会の役割について意見交換を行いました。持続可能な社会づくり、国が旗を振って各地域で進められている地方版総合戦略がうまく実を結ぶためには、主役は基礎自治体、市町村であり、一人ひとりの住民自治を尊重しなければならないが、府県議会としても、こうした問題の検討のために特別委員会が設置されているといった実例が報告されました。
・また、同時に議会改革もしっかりやり、選択と集中といった観点を組み込んだ検討をする、議会としての立ち位置を明らかにし、オープンに開かれた議論を積極的にしていくべきとの指摘もありました。
・議会の議論の中で、総合戦略であれ人口減少対策であれ、それぞれの施策や事業が本当に結果を出せているのか、中身のあるものになっているかの評価をどのように行うかが重要であり、短期的に評価できるもの、中長期で評価できるものを区分けして評価していかないと間違ったものになるとの発言もみられました。
・いずれにしても、ただ単に自治体間の人の奪い合いは価値がないということは共通した認識であって、それぞれの地域がよりより将来を展望するために連携したり協力したり、場合によっては施策や方針の共通化をしたりといったことも必要であり、そのために国への働きかけ、規制緩和なども各地で積極的かつ実験的に実施しながら全国に広げていく、また、良い事例があれば各府県や各府県議会でも取り入れ、政策の共通化、波長を合わせる試みがあってもいいのではないかということで議論がなされました。



第3分科会
 「観光」分科会では、「観光と地域活性化」をテーマに、「インバウンド効果を広く波及させるための課題」という観点から議論がなされました。

・観光とは、(1)地域の総合的戦略産業である、(2)地域の資源を掘り起こして付加価値を加え、世界から人、モノ、金を引き付けることによって、魅力ある地域を作る、(3)観光も産業である限り儲けることで地域の方が幸せになるというメカニズムであるとの説明がありました。
・地域の理解協力を得て、地域の方が幸せになる状態を作らないと、本当の意味の観光のあるべき姿にならないということ、地域に開かれた議論を進めていく仕組みが必要となること、また、都市政策、文化政策など様々な施策が絡んでくるため、コーディネーター、司令塔的な役割が大切になるとの説明がありました。
・オリンピック、パラリンピックに向けて東京一極集中が加速していく中、2020年、さらにその先を見据えて関西が復権していくためにも、観光を通じて力強い成長戦略を打ち出していくこと、未来の世代が心ときめく、夢を感じる将来ビジョンを作っていこうということについて、参加者間で認識を共有しました。
・その上で、関西ではこれから文化庁の移転、リニア中央新幹線延伸、また、ラグビーワールドカップ2019、関西ワールドマスターズゲームズ2021、大阪万博プロジェクトがあることを意識した上で、どういうことが課題か、問題かについて議論しました。具体的には、広域観光、観光のテーマ性、宿泊、発信力、インフラ、ハラール、ナイトエンターテインメント等についての意見がありました。
・広域観光については、各府県がマーケット、数字を含めたものを積み上げる議論が必要ではないか。その上で数値目標を束ねて、関西として広域観光に取り組むべきという意見がありました。
・観光に必要なテーマ性、ストーリー性については、お客さま目線で「面白い、楽しい、ワクワクする、感動する」という観点からしっかり作るべきという意見がありました。
・宿泊については、大阪、京都の施設の稼働率が80から90%となっている一方で、周辺地域の施設の稼働率が50から60%となっている。関西全体で宿泊のデータを把握し、大阪、京都が満室になった時は、機動的かつ効率的にお客さんを周辺に輸送する仕組みを作るなど、既存の宿泊施設を活用していくために6府県が連携していくべきという意見がありました。
・発信力を高めるということについて、総花的、幕の内弁当のような発信ではなく、テーマを絞って徹底的に発信していくべきという意見や、内向きではなく、グローバルな中でどうやって特性を出すか議論すべきという意見がありました。伝統的な文化やスポーツ、健康・長寿等について、各府県が持っているコンテンツをパッケージにしていくことも必要になるとの説明がありました。
・観光にはインフラが大事であり、ポテンシャルを持つ三空港を関西全体としてどう捉え、そこからどのような観光ルートを作っていくか検討すべきという意見や、環状道路のような回遊のためのインフラが必要ではないかという意見がありました。
・ハラール、イスラム教徒の受け入れについては、各府県がばらばらに認証を受けるのではなく同じ認証を受けるべきという意見や、例えば関西広域観光のマークを作り、これが付いているところは大丈夫と言えるような認証を行うべきという意見がありました。
・ナイトエンターテインメントについては、各府県に濃淡があり、世界の観光が24時間化していく中、関西全体として、少しずつでも消費の時間軸を伸ばしていくことにチャレンジすべきという意見がありました。
・一方、リスクとして、中国で政治的、経済的リスクが発生した場合にどうなるのか、という課題について、インバウンドを4,000万人に増やすとなれば、中国からの流入がおそらく1,500から1,600万人になる。個人旅行が増えており、政治的リスクの影響が小さくなっている可能性はあるが、万が一の備えとして、欧、米、豪、ASEANへの目配りをしないといけないとの説明がありました。
・インバウンドを進めることへの懸念として、一つは、清掃、ゴミなど社会的コストの増。また、マナーが異なることによる摩擦や、言語等による病院の対応の問題など。様々な社会的コストを考え、メリット、デメリットを勘案しながらインバウンドを進めていかなければならないとの説明がありました。



第4分科会
 「防災」分科会では、「大規模災害への対応」をテーマとして、主に熊本地震を事例として議論がなされました。

 まず、「熊本地震発生直後に、熊本県にとって県内の被災市町村からのどのような情報がもっとも重要であったと考えるか」について議論がなされました。議論では、コーディネーターから以下のような発言がありました。
・現在は、昔と違って活断層が動いた場合の被害想定がかなりの精度で出来るようになってきている。現実には被害が大きいほど被災市町村から情報があがってこないが、どんなことが起こっているのか分からないのが一番怖い。被災市町村は被害状況の第一報を入れることが大事。災害救助法の適用が出来るかはある程度自動的に予測が可能となっているので、被害が事前想定の範囲内かの情報が必要。
・新潟県中越地震の時は、いくら待っても県庁に情報があがってこなかったので、県庁職員を派遣した。被害が大きい市町村ほど、県庁に報告する余裕がない・情報がないということ。また、県と市町村間の情報連絡ルールも無かった。災害を経験しないと体制は変わりにくい。
・発災直後、火災の有無や住民の動向等、基礎自治体しかわからない情報を被災市町村から都道府県に送られる仕組みを事前に作っておくことが重要。

 出席議員からは、以下のような意見がありました。
・住民はあまり行政の被害想定や避難指示を信用していない。
・府県側も、報告を待つのではなく被災市町村に赴かなければ。
・局地的な被害状況の把握は、職員や消防団員等からSNSで情報をもらうのが大事。
ただし、誤った情報への対策も必要。
・災害時に議員がどう行動をすべきか。議員の立場を有効に役立てるような仕組みがあれば。
・透析患者は、災害が起こった場合行き先が決められている。在宅治療されている方への対策も必要。

 次に、「地震が起こって3日目と1週間後に、熊本県と被災市町村間で、もっとも必要であったと思われる連携の内容」について議論がなされました。議論では、コーディネーターから以下のような発言がありました。
・熊本地震の際は、物は送っても避難所を快適にできる情報や知恵が現場に届いていなかったことが多かった。
・避難所に届く救援物資と、その避難所で必要な物資のミスマッチについて。災害救助法は古い法律で、現物支給が原則だが、災害の規模が大きくなるにつれて、個々の避難所のニーズに対応することは困難になる。現物支給にこだわらず、被災者が自分で備蓄した物資を持ち寄ったり、コンビニ等の店が開いていればそこで避難者が物資を入手できるような仕組みを作れば民間の努力や自助努力がより活かされるのではないか。
・熊本では発災当初はボランティアを断っていた。しかし、避難所の運営ができる専門ボランティアまで断ってしまったため、益城町では深刻な人員不足が発生した。過去には準備や知識不足で避難者とボランティアでトラブルが発生した事例もあったが、今はボランティアセンターで受け付けて割り振っているのでトラブルは減ってきている。避難所は被災者が仕切るのが原則。
・防災の問題は街づくりの問題と軌を一にしている。地域で連携する事が災害対策には必要。地域の防災力を伸ばしていかないと、行政の力だけではすべてに対応はできない。

 出席議員からは、以下のような意見がありました。
・救援物資として賞味期限切れの食品や使用済の下着などゴミを送ってきたと被災地が怒っていた事例を過去に何度か経験した。
・これまで、避難者は避難所に居ることが前提のようになってきたが、生活習慣の変化で、避難所での集団生活を避け、テントや車で避難している人も増えている。そのような避難所以外にいる人への対応も今後必要になってくる。
・住民同士の繋がりが強い地域はすぐに自主防災組織が組織できたが、そうはいかない地域もあった。災害時に地域で役立てるような人材育成が重要。
・自助、共助の点で言えば、特に都市部は住民同士のつながりが希薄になってきている。自治会の再生が必要と思うが、個人情報保護などの課題が多い。
・田舎でも地域のコミュニティが崩れかけている。若年層の減少が影響か。
・地域ぐるみの取組の事例として、参観日に児童・生徒と保護者が一緒に防災訓練してする学校がある。

 最後に、「府県単位で被災するような大地震が起こったとき、どのようなことが最大の課題になると考えるか」について議論がなされました。議論では、コーディネーターから以下のような発言がありました。
・南海トラフ地震が発生すれば、和歌山県は甚大な被害を受ける。例えばしばらくの間、小中学生を大阪に疎開させるなどの対応を考えておかないといけないのでは。伊勢湾台風で実例がある。いずれ関西広域連合でも議論していく必要があると思う。
・南海トラフ地震で現在発表している津波高等の予測は、最悪を想定して計算している。実際にはそれ以下になる可能性もある。
・各府県で同時に被災した場合、人員や救援物資等のリソースの配分が問題になる可能性が高い。だからこそ、事前に広域連携について住民に理解してもらうことが重要。

第13回近畿6府県議員交流フォーラム開催結果(画像付き) [PDFファイル/279KB]

このページの作成所属
議会事務局 調査課 法務・企画グループ

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