(2) 災害対策・危機管理  ロサンゼルス市緊急事態準備局

更新日:平成21年8月5日

4 調査テーマ別の調査内容

 (2) 災害対策・危機管理

   ロサンゼルス市緊急事態準備局

レポート担当

古川 照人 議員

と   き

平成19年11月5日(月曜日)

と こ ろ

ロサンゼルス市緊急事態準備局

応接者

ロサンゼルス市緊急事態準備局
                   アンナ・バートン氏ほか 

調査目的

 大阪府では、いつ起こるかわからない自然災害や危機事象に備え、発災時に府民の生命、財産等を守るため、市町村、消防、警察、自衛隊、その他の防災関係機関と一体となって、府域の総合的な危機管理・防災力の向上に取り組んでいる。阪神大震災から10年以上を経て、危機管理対策は着実に進行してきている。
 米国史上、最も経済的被害の大きい地震となったノースリッジ地震などの大地震を経験したロサンゼルス市における先進的な災害対策、危機管理について調査を行い、大阪府の防災対策を一層充実させるための参考とする。

1 ロサンゼルス市の概要                                                                                                                                        

 ロサンゼルス市は、経済・文化都市として発展しているカリフォルニア州最大の都市で、ニューヨークに次ぐアメリカ第2の大都市でもある。人口は約397万人(2006年、カリフォルニア州政府推計)、面積 1,215.6平方キロメートルである。また、近郊には映画の都ハリウッドやディズニーランドなどがあり、航空宇宙やエレクトロニクスなどの産業が発達している。

 アメリカ西海岸の金融、経済、商工業の中心をなし、アジア・太平洋地域との大貿易港でもある。地理的、歴史的にも日本との結びつきが強く、市内には北米最大の日系人街リトル・トーキョーがある。

2 カリフォルニア州南部の森林火災について                                                                                                                                           

  山添団長より、1024日に発生し広域的被害が出たカリフォルニア州南部での森林火災について、一日も早く火災が鎮まることを祈願するとともに、被害にあわれた方々に対し心から哀悼の意を表し、岩見議長からのお見舞い状を手渡した。

 ロサンゼルス市緊急事態準備局担当者によると、この火災は、ロサンゼルス市域には燃え広がらなかったが、消防や警察はカリフォルニア州からの協力要請を受け、救援活動に参加したとのこと。火災が起こる前から、南カリフォルニア州は渇水に悩まされており、非常に空気が乾燥し、火災が起こりやすい状況になっており、このような火災は、予測されていたとのことである。

 不幸中の幸いで、現時点では定かではないが、これだけの大火災で人命損失は10名にも満たないということであった。

アンナ・バートン氏らとともに  質疑風景
アンナ・バートン氏らとともに                                 質疑風景

3 危機管理体制について                                                                                                                                                       

  米国史上最も経済的被害額の大きかったノースリッジ地震(1994年)やハリケーン・カトリーナ(2005年)の教訓がカリフォルニア州にはあり、その後、州レベルで、災害対策や危機管理体制の整備に力を注いできている。  

 市としては、防災面に力を入れており、以前に州の防災マニュアルに合わせて整備していたが、現在は、国レベルの防災マニュアルに合わせて対応している。

 以前は16人で防災管理部を組織していたが、現在は、27人と増員している。  

 市の災害に対する危機管理の最大の課題について、「どうやって災害時に早く正確な情報を一般市民に伝達するかであると考えている。現在、消防の電話(アメリカ:911番、日本:119)につき、1時間に5,000件のレベルで、かかってきた電話に折り返し電話できるシステムの導入に向けて検討をしている。さらに、先日、州南部でおこった森林火災も教訓にして、近隣地域との協力体制を整えている。」との説明を受けた。

 また、「ロサンゼルスも日本と同じく、地震が一番の脅威であるが、発生後、市民はなかなか避難してくれない。どのようにして多くの市民にす早く避難してもらうかというのも難しい課題で、一朝一夕でプランができるものでないが、日々検討を積み重ねている。また、津波や洪水がおこったケースについても検討している。」とのことであった。

 全てコンピュータ制御で一元管理をしているエマージェンシー・オペレションセンターを見せていただいた。災害により中枢機能が果たせなくなることを想定し、他に、3か所同じような機能をもったセンターを備えている。なお、2009年には、消防・警察組織と連携したより広いセンターとして、近くにオープンする予定であるとのこと。

ロサンゼルス市役所の地階にあるエマージェンシー・オペーレーションセンター1 ロサンゼルス市役所の地階にあるエマージェンシー・オペーレーションセンター2
ロサンゼルス市役所の地階にあるエマージェンシー・オペーレーションセンター

4 災害時の対応                                                                                                                               

 地震が起これば、空港や港湾など壊滅状態になることも予想され、ロサンゼルス市には390万人程の市民が住んでいるが、1000万人の水や食事などの供給をどのようにすればスムーズにできるか、考えている。

 〈※具体的対応策について〉

(1)子供への対応
  各学校を利用して、ロサンゼルス市にいる100万人の子供たちを避難させるべく、訓練を積み重ねる予定でいる。家で子供が親に話してくれることから、子供への教育が、結果として親への教育にもつながると考えている。

(2)帰宅難民等への対応
   昼間に災害が起こった場合、大企業は、帰宅難民への対応として、シェルターを備え、食事や水、ブランケットなどを備蓄するなど、責任をもって社員を守ることになっている。  
  災害時に連絡の取れない人への対応としては、過去の教訓より、携帯電話はパンクするであろうし、サテライト電話も使用できなくなると考えられるので、基本的にラジオでコミュニケーションを図ってもらうこととなる。

(3)高齢者に対する対応
  高齢者への対応は、災害時に連絡ができるよう任意の登録制で管理している。しかし、このプログラムに登録していない高齢者もいるので、食事を宅配する会社やフィットネスクラブ、NPO団体にも協力依頼をしている。

(4)被災者に対する対応
  治療を必要とする人たちへの対応としては、ロサンゼルス市内には市立病院がないため、郡の病院との連携を考えている。
  また、一次避難所は、学校であり、学校内でテントやシェルターを使った対応になる。治療を必要とする人が、大人数と同じ空間にいるようなことがないよう、配慮している。
  ちなみに過去の災害では、市での対応が十分できずにFEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)の援助に頼るしかなかった。
  市と郡との連携は、ロサンゼルス郡の危機管理センターがこの近くにあり、郡は、ロサンゼルス市を含め郡内89市の地域すべてを管理している。相互の協定があり、スタッフの交流や毎日の情報交換も行っている。

(5)多言語に対する対応
  多言語に対する対応は、ロサンゼルス市内には、100以上の領事館、50ヶ国の外国人学校があるので、これらを通じて在留外国人等への情報伝達やテレビ局やケーブルテレビ、寺院や教会の宗教施設などからの情報伝達について依頼することとしている。 
  また、多言語の防災リーフレットを作成し、住民啓発も行っている。

市民配布用のリーフレット 災害時の必需品一覧表(市民配布用)
          ↑災害時連絡用のカード(切り取り電話の近くにはっておく)

5 地震に関する国際会議について                                                                                                                                                                    

 近日、州レベルでの国際地震カンファレンスが開催される。この会議は、大型地震がいつ起こってもおかしくない状況の中で、国レベルでの対策が必要であることから、緊急事態においてどのように対応すればいいかなどを協議する予定である。日本からは、ロサンゼルス市と姉妹都市である名古屋市と、災害対策につき協力関係にある横浜市がメンバーとして参加し、日本や台湾の建築の専門家からのレクチャーも予定されている。

 〈質疑応答〉

Q 住民に対し、危機管理対策として、具体的にどのような支援を行っているのか。

A 財産的な支援はしていないが、ノースリッジ地震の教訓を踏まえて、建築基準に関する規則を強化した。また、都市ガスのオートマチック・シャットオフ用の機器の普及に努めている。

Q 災害時に住民が学校等へ一時避難した後、どのような対応を考えているのか。

A 一時避難以降は、自身の力でやってもらう。二次避難先については予定していない。ただし、場合によって、連邦政府当局での対応がある。

Q 災害時のホームレスへの対応として、どのようなものがあるのか。

A ロサンゼルスにはホームレスが多く、災害によってホームレスになったのか、従前からホームレスであったのかによって、ニーズが違うため、対応は異なる。災害によってホームレスになった人に対しては一時避難所の紹介等を行う。ホームレス支援等の非営利団体は、災害によってホームレスになった方に対しても大きな役割を果たしてくれる。

Q 災害発生時、火事場泥棒のような犯罪者に対し、どのような対策を講じているのか。

A ロサンゼルス市警と連携し厳しく取り締まりを行う。また、詐欺に対しては、市民に対する教育・啓発も大切であると考えている。

このページの作成所属
議会事務局 総務課 

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