(3)都市再生 その2 フェリービルディング(ファーマーズ・マーケット運営主体)・ファーマーズ・マーケット見学

更新日:平成21年8月5日

4 調査テーマ別の調査内容

 (3)都市再生

その2 フェリービルディング(ファーマーズ・マーケット運営主体)・ファーマーズ・マーケット見学

レポート担当

品川 公男 議員

と   き

平成19年11月8日(木曜日)、11月10日(土曜日)

と こ ろ

フェリービルディング ほか

応接者

フェリービルディング
             ジェーン・コナース氏ほか

調査目的

 大阪圏においては、ライフサイエンスの国際拠点形成、水の都大阪の再生などの都市再生プロジェクトが進められているが、都市の魅力と国際競争力を高めることは、引き続き大阪の喫緊の課題である。
 サンフランシスコで成功、定着しているファーマーズ・マーケットの運営主体である民間会社フェリービルディングからヒアリングを受けるとともに、現地のファーマーズ・マーケットを見学し、大阪における都市再生の方策を考える上での参考とする。

1 アメリカにおけるファーマーズ・マーケット                                                                                                              

  ファーマーズ・マーケットは、17世紀、ヨーロッパからの移民によってアメリカに持ち込まれたもので、農家が荷馬車に農産物を積んで街に行き、広場や道路上で販売したのが起源といわれている。その後、公共や富裕層が場所の提供をするようになり、パブリック・マーケットに発展した。しかし、20世紀に入ると、農産物の保存・輸送手段が発達し、一方でスーパーマーケットが台頭してきたため、農産物の工業製品化が進み、「地産地消」的なファーマーズ・マーケットは、衰退の道をたどる。

 ただ、1960年代になると、この工業製品化に対する消費者の不満が高まるとともに、工業化に成功しえなかった小規模農家が存亡の危機に立たされる状態となった。こんな中、各地でファーマーズ・マーケットが復興し始める。

 州政府も当初は、消費者、農業者救済の立場から支援策を打ち出すようになり、加えて、地域コミュニティーの再生という面にも大きく貢献することから、都市再生を目的としたマーケットも増え始め、現在に至っている。

 ファーマーズ・マーケットは、自分が作った農産物や加工食品、調理品を持って集まり、それぞれ与えられたスペースに並べておのおのが販売する場所である。専用の建物等は持っていないのが普通で、広場や駐車場、空き地、路上などにテントやパラソルを広げて販売場所としている。販売・会計も別々で、農家にしてみると、「出荷」ではなく「出店」である。

質疑風景 見学したファーマーズ・マーケット風景
質疑風景                                見学したファーマーズ・マーケット風景

2 フェリービルディングの歴史                                                                                                          

  フェリービルディングは、イースト・ベイとを結ぶフェリーと市内を走る路面電車のハブとして、1898年に建てられた。1930年前半までフェリーが唯一の交通手段であり、ピーク時には一日あたり50,000人が利用するまでになった。
 なお、今回訪問したフェリービルディングは、その運営主体である民間会社である。

画像です。フェリービルディング(1898年)
フェリービルディング(1898年)

 しかしながら、やがて暗黒時代がやってくる。1936年にベイブリッジが、1937年にゴールデンゲイトブリッジが続けて開通することで、自動車での直接移動が増え、1950年代には、フェリーの利用者とともにフェリービルディングの利用が激減した。このため、建物は、小規模企業のオフィスとして貸し出しを行うようになった。
 さらに、1957年には、建物の正面に、2層建ての高速道路ができ、著名な建築物であったフェリービルディングが忘れ去られるまでに至る。

画像です。フェリービルディング(1957年)
フェリービルディング(1957年)

 再び光を取り戻すのは、1970年代以降。自動車の交通量が非常に増加し、慢性的な渋滞が生じたことから、フェリーがその代替として見直されるようになり再開されたことに加え、1989年に発生した大地震が、フェリービルディングの正面にある高速道路に大きなダメージを与え、1991年には取り壊されることになり、フェリービルディングとウォーターフロントが再び注目されるようになった。
 建物については、歴史的なもの(例えば、タイルのモザイク)を再利用しつつ、修復工事及び地震対策を行うなどリニューアルし、40店舗からなる常設のマーケットプレイスを整備するとともに、建物の正面及び海に面した広場でファーマーズ・マーケットを運営することとなった。

フェリービルディング周辺図

3 フェリービルディングでのファーマーズ・マーケット                                                                                           

 (1)マーケットプレイス

 店舗をリースするに際しては、地元産品を扱う企業を優先するとともに、持続可能な農業を支援するため、適正な賃金・仕入れを行っている企業と契約した。

 テナント店舗の一例として、あるファーストフードのお店では、ゆっくりくつろぐファーストフードというテーマで、地元産のワインも飲めるし、メニューにあるホットドッグも地元で作られたオーガニックな材料を使ったものであり、包み紙も全て自然に帰る素材のものを使うなどしている。

 近隣のオフィス街の人やフェリー利用客をターゲットとして商売しているが、オープン時から評判がよく、遠方の市民や観光客がわざわざやってくるまでになっている。

 テナント企業には、通常の販売・サービスを行うだけではなく、(3)で述べるNPO活動への協力を通じて地域コミュニティーに貢献してもらっている。

 (2)ファーマーズ・マーケット 

 毎週火曜日と土曜日に開催しており、25,000人の来客がある。来客者はほとんどがサンフランシスコ近郊から来ており、近隣の住民の比率は低い。

 ファーマーズ・マーケットでは、州の法律に基づき、郡の認可を受けた州民である農業者が州内で生産したもののみ販売が可能である。地元の農業者が地元の消費者に直接販売するので、農業者は多くの代金を得ることができる。また、農業者と消費者の間で双方が求めている情報の交換ができるメリットがあるので、農業者のオーナーには、必ず月一回はマーケットに来るように要請している。

 出展者数は、季節によって異なるが、冬だと農産品が少ないので、45の農業者と15の製品販売者の規模だが、夏になると80の農業者と30の製品販売者の規模になる。    

 (3)持続可能な農業についての市民への教育

 ファーマーズ・マーケット内では、CUESA(the Center for Urban Education about Sustainable Agriculture)というNPOがあり、持続可能な農業について市民に教育をしている。ここでの持続可能とは、「経済的に成り立つ」という点のみならず「社会的に公平である」「人道的である」「環境にもやさしい」という点も含めている。

 具体的な活動としては、建物内の集会場で、住民を対象に、地元の質の高い農産物を、地元のシェフがもっともふさわしい調理方法で調理してみせ試食させる教室であるとか、実際に農場まで出向いて農産品の作られ方を勉強し、どのようなコストが必要なのかを学ぶ教室などを開催している。こうしたイベント等を通じて持続可能な農業システムについて市民に確認・勉強してもらう。

 もちろん、NPO自体は、マーケット出店料とイベント参加費で運営していることから、ファーマーズ・マーケットを運営することは、持続可能な農業のシステムを確立することに大きく貢献しており、フェリービルディングとの連携は欠かせないものである。

フェリービルディング全体風景             農場でのイベントの様子
         フェリービルディング全体風景                      農場でのイベントの様子

フェリービルディング内部の常設マーケット1   フェリービルディング内部の常設マーケット2
                     フェリービルディング内部の常設マーケット

ファーマーズ・マーケット風景1 ファーマーズ・マーケット風景2
                            ファーマーズ・マーケット風景

●質疑応答                                                                                                                         

Q ファーマーズ・マーケットに出店している農業者の全収入に占めるこのマーケットでの売り上げの比率はどのくらいか。

A 小規模な農業者では、全ての収入をこのマーケットからだけ得ているというケースもあるが、平均的には、このマーケットで全収入の25%を得ている。(他の収入は、他のファーマーズ・マーケットでの販売やレストランへの販売から得ている。) 

Q 海沿いに位置しながら、漁業者ではなく、農業者のマーケットを開いたのはなぜか。

A 持続可能な農業支援のため、地産地消という考え方のもと、農業者のためのマーケットとしてスタートしたため、水産物は想定していない。もちろん近隣のフィシャーマンズワーフが商業的に成功しており、競合を避けたかったという面もある。

画像です。フェリービルディング2階にて
フェリービルディング2階にて

このページの作成所属
議会事務局 総務課 

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