(3)都市再生 その1 カルバーシティ市役所ほか(カルバーシティ市)

更新日:平成21年8月5日

4 調査テーマ別の調査内容

(3)都市再生

その1 カルバーシティ市再開発局・カルバーシティ市再開発拠点見学

レポート担当

徳永 愼市 議員

と   き

平成19年11月6日(火曜日)

と こ ろ

カルバーシティ市再開発局、カルバーシティ市再開発拠点

応接者

カルバーシティ市再開発局
                 トッド・ティプトン氏ほか
元カルバーシティ市長
              ポール・ジャコブス氏 

調査目的

 大阪圏においては、ライフサイエンスの国際拠点形成、水の都大阪の再生などの都市再生プロジェクトが進められているが、都市の魅力と国際競争力を高めることは、引き続き大阪の喫緊の課題である。
 カルバーシティ市における、古い建築物や意匠を凝らしたデザインの建物等を活用した再開発の状況、再開発の手法等について、また、再開発事業を活かした観光振興策について調査し、大阪の都市再生等を考える上での参考とする。



1 カルバーシティ市の概要                                                                                                                        

  カルバーシティ市は、北にビバリーヒルズ、東にロサンゼルスのダウンタウンがあり、ロサンゼルス国際空港より車で15分の所に位置する。面積は12.82平方キロメートル、人口は約4万人(2006年、カリフォルニア州政府推計)で、その多くの人々はロサンゼルスにある電気、機械、航空機、自動車産業等にたずさわっている。

 1917年代不動産王のハリーH.カルバー氏が、ロサンゼルス市とビーチで有名なサンタモニカの間に開発した都市であり、市の名前は同氏の名前に由来している。

 カルバーシティ市は別名「Heart of Screenland(映画の土地の心臓部)」と呼ばれている。これは、カルバーシティ市を開発したカルバー氏が、映画スタジオを誘致したことから来ている。1915年に映画創世記の映画人トーマス・インス氏のスタジオとして作られたカルバー・スタジオは、現在ソニー・ピクチャーズのスタジオとなっている。ここでは、「キング・コング」(1933年)、「風と共に去りぬ」(1939年)などの名作が撮影されており、アメリカの創世記の映画はすべてこの市で撮影されたといっても過言ではない。

 現在、映画産業の多くはハリウッドに移ったが、当時の建物を利用した都市再開発、また、ロサンゼルスとサンタモニカの間ということで観光にも力を入れている。

 また、1965年にカルバーシティ市と貝塚市との間で姉妹都市提携の調印が行われた。これは、1962年に「東洋の魔女」と呼ばれていたニチボー貝塚の女子バレーボールチームが世界選手権大会優勝の帰路、ロサンゼルスでアメリカチームと親善試合をした際に、同市から招待され大歓迎を受けたことがきっかけである。以来、両市間では、相互訪問などの交流事業が行われている。

 今回の本調査団の訪問に際して、窓口となってくださった元市長のジャコブス氏は、これまで何度も大阪を訪問されており、泉州国際市民マラソンに参加されたこともあるそうである。ジャコブス氏には、カルバーシティ市での調査につき、日程調整や当日の案内など大変お世話になり、ここで、改めて心からお礼申し上げるとともに、次にジャコブス氏が来阪の際はぜひ再会を果たし、我々が大阪を改めてご案内させていただきたいと思っている。

 カルバーシティ市の地図
画像です。カルバーシティ市の地図
カルバーシティ市の再開発拠点
画像です。カルバーシティ市の再開発拠点

2 カルバーシティ市における再開発事業                                                                                                         

 カルバーシティ市では、1980年代半ばから、1910年代の映画産業初期の雰囲気を残した古い建物等を改装、再利用して、観光客に来てもらえるような街づくりを行っている。

 市の担当者によると、カリフォルニア州は車社会であることもあり、再開発のポイントとして駐車場の整備があげられ、駐車場の周りに良質なレストラン・劇場・映画館を配置するなどして、集客を考えているとのこと。

 市の開発予算としては、現在約2,100万ドルの「再開発公債」を発行しているが、それ以外にも、州政府等の了解を得て、再開発をする前の固定資産税をベースに、再開発後の固定資産税増額分を想定し、この増額分を再開発の運用資金として借り入れることができる制度を利用している。

 この制度の適用にあたっては、市は再開発のためのビジネスモデル(プラン)を市民に提示し、何度も公聴会を開くなどして市民と議論を積み重ね、理解と協力を得なくてはならない。

 市民への提案からロサンゼルス郡・カリフォルニア州の了解を得てプランが実行開始となるまでの期間は概ね18か月くらいである。ただ、カリフォルニア州は環境問題に厳しいため、環境評価において、大気汚染など環境にダメージがあると認識された場合は、州による細かな審議があり、長引くこととなる。

 また、再開発がスタートしてから5年ごとに最終目標(ゴール)の見直しと2年ごとの市民への報告義務がある。

 再開発が承認されるためには、そのプランにおいて、しっかりとしたマーケティングがなされることを前提に、子供たちのための良質な学校や公園を作ること、環境に配慮するとともに、安全な街づくりとなること、といった条件を満たさなければならない。

 市では現在、いくつかのプロジェクトが進行中であるが、1例としてエネルギー削減をテーマとした、屋上緑化や自然の通気孔を活用した建物のビジネスモデルがあると聞き、環境問題に配慮することが大事なポイントとされていることを再認識した。

 次に、これまでにカルバーシティ市が成功をおさめた再開発の具体例を挙げる。

議事堂でレクチャーを受けた 再開発地区のビル(例)
議事堂でレクチャーを受けた                  再開発地区のビル(例)


●再開発例1(ヘルムズ・ベーカリー・ビルディング)                                                                                   

  ヘルムズ・ベーカリー社(1932年のロサンゼルスオリンピックのオフィシャル・メーカーであり、宇宙食にも採用された大手のベーカリー)の工場を再開発し、現在では、家具のショールームやアーティストのためのスタジオ、おしゃれなレストランなどが入るコンプレックスとなっている。

 工場の屋根と床は当時使用されていたものを再利用しながら、一方では屋根にはソーラーパネルを設置するなど環境にも配慮したものとなっている。

 近隣にも同一経営の建物があるが、全体の建物のスタイルは統一されている。

 開発事業者は開発費用の1%をアート的なもの(オブジェほか)を作るためにカルバーシティ市に寄付をすることになっている。

 類似事例として、電力会社だったものを劇場に活用した例がある。

ヘルムズ・ベーカリー・ビルディング外観 ビルの壁にあるオブジェのひとつ
ヘルムズ・ベーカリー・ビルディング外観               ビルの壁にあるオブジェのひとつ

●再開発例2(倉庫群の改造)                                                                                               

 建築家エリック・オーエン・モス氏による倉庫群の再開発

再開発の手法としては、倉庫を安いコストで手に入れ、そこに前衛的な意匠を凝らすことでアーティストやデザイナー等を引き寄せ、比較的手ごろな価格でそれらのデザインされたスペースを貸し出すといったもの。
 その建築物は様々な賞を受けており、都市再生のみならず、観光客の増加といった効果も生みだしている。

改築された倉庫のひとつ 質疑風景
改築された倉庫のひとつ                            質疑風景
 

●質疑応答                                                                                                                              

 再開発に成功する最大のポイントは何か。

A 住民にとって、この土地に住み続けたいと思うような街づくりを絶えず行うことが重要である。また、オフィスにしても、従業員がここで働き続けたいと思うような環境(例えば、交通面で至便である、子どもにとって良質な学校がある等)の整備が重要である。

 Q 再開発事業の失敗は想定していないのか。

A 十分なマーケティングのもと、計画を立案し、土地のオーナーはもとより、住民にも理解を得て進めているうえ、住民への報告という情報開示も積極的に行っていることから、予定より遅れるケースはあっても完全な失敗は今のところないと自負している。

このページの作成所属
議会事務局 総務課 

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