第1 編道路構造物設計基準(1)

更新日:2009年8月5日

1−1     標準横断構成
1−1−1 道路を新設または改築する場合の標準横断構成
1−1−2 交通安全事業における標準横断構成
1−2     歩道標準構造
1−2−1 歩道構造
1−2−2 歩道排水
1−2−3 「重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」の適用について


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1−1 標準横断構成

1−1−1 道路を新設または改築する場合の標準横断構成

 道路を新設または改築する場合、或いは新たに道路設計を立件する場合、道路の横断構成は道路構造令によって決定する。

1−1−2 交通安全事業における標準横断構成

1.交通安全事業における歩道設置工事の基本的事項

  交通安全事業における歩道設置を計画する場合の基本的事項は次のとおりである。

  1. 歩道幅員は可能なかぎり広幅員とすることが望ましい。有効幅員の考え方を次頁表に示す。
  2. 歩道の構造は、市街地等の人家連担地域及び車両出入り口部連担区間、また、将来沿道開発に伴い車両出入口部の設置が予想される区間については、セミフラット形式を標準とする。但し、歩道の構造は平坦性及び構造の連続性を考慮し、現場の状況に応じてセミフラット(フラット)及びマウンドアップのいずれかの形式、または併用を検討すること。
  3. 道路幅員等は道路構造令に規定されている諸基準を満足するのが望ましいが、このため歩道幅員に大きな支障を来たす場合、道路構造令第38条第2項及び交通安全事業施行令第1条第2項第1号の規定により、基準どおりの幅員等をとる必要はない。
  4. 近年自転車の利用価値が見直され自転車の利用者が非常に多くなって来た。このため歩行者及び自転車利用者の安全確保のため、有効幅員3m以上の自転車歩行者道を整備し、自動車交通から分離するとともに、歩行者と自転車双方の安全な通行を確保するため、歩行者と自転車の分離誘導を図ることが望ましい。
  5. 歩行者の交通事故のうち、歩行者の車道横断による交通事故は無視しえないものがあり、このため横断防止柵の設置が必要な場合が多く、また、歩道上には占用物件や標識等の路上施設を設置することにより、歩道部の有効幅員は50cm程度減じられることがある。このような場合を考慮して歩道幅員は余裕ある幅員にすべきであり3.5m以上とることが望ましい。余裕ある歩道幅員が確保されない場合は、縁石上に横断防止柵や路上施設を設置する方法や、当該路線の重要性を勘案し沿道を追加買収して、広幅員の歩道を設置することを積極的に検討するものとする。
       
    表 1−1− 1 歩道等の有効幅員
      

    有効幅員の考え方

    歩 道歩行者の交通量
    が多い場合
    歩道で歩行者の交通量が多い場合の有効幅員の考え方
    その他の場合歩道のその他の場合の歩道等の有効幅員
    自転車歩行者道歩行者の交通量
    が多い場合
    自転車歩行者道の歩行者の交通量が多い場合の歩道等の有効幅員
    その他の場合自転車歩行者道のその他の場合の歩道等の有効幅員
       
    ※自転車歩行者道ではカラー舗装や区画線等で自転車と歩行者の視覚分離を行うこと。
      
  6. 路肩は交通安全事業といえども確保することを原則とする。
    標準横断構成     
  7. 停車帯は沿道条件および停車帯の歩道幅員(2.0m以上確保することが望ましい)等を勘案して決定するものとする。
  8. 歩道設置の計画区間に都市計画が被っている場合は、その取り扱いに特に注意を要する。
  9. 広幅員の歩道を確保するために必要な用地追加買収が不可能な区間で、現道幅員内にて横断構成を 検討した結果、路肩を確保するために歩道幅員が2.0m未満になった場合、路肩の縮小規定(道路構造
    令第8条第6項)により路肩を縮小または省略することもやむ得ない。ただし歩道が片側設置の場合は、歩道のない方の路肩は確保しなければならない。
  10. 車道幅員がやむを得ず6.0m(または5.5m)となる場合は、街渠の構造(横断勾配など)、及び排水系統のついて特に配慮する必要がある。
  11. 短い区間で車道部の幅員が種々変化するのは、交通事故を発生させる原因となることが十分予想される。このため車道部幅員は、相当区間(その路線全体または大きな交差点〜交差点)を同一の車道幅員で計画すべきである。
  12. 歩道設置の計画・設計にあたっては、極小区間の歩道設置計画において、歩道幅員、車道幅員等を決定する場合、その路線の相当区間(前項に示す区間)の計画断面を全面的に検討し決定するものとする。このため、当該路線の歩道設置計画の全体構想を確立することを原則とする。
  13. 歩道設置に伴なう断面構成の検討は次の図式によって行うものとする。

歩道設置に伴なう断面構成の検討のフローチャート

(*) 現道幅員を11mまたは10.5m以上としたのは、車線幅員3.0mまたは2.75mの場合の両側歩道(2.0m×2)の基本道路幅員は11mまたは10.5mであることによる。

2.交通安全事業における標準横断構成

  交通安全事業として計画する場合の標準横断図は次のとおりとする。

表1-1-2
道路の性格両側歩道設置の場合片側歩道設置の場合
(1)   基本車線幅員  3.00m
(1-1)  通過幹線道路
(1-2)  路線バスおよび大型車
    両の通行が特に多い路線
(1-3)  前項以外でも相当区間
    において歩道幅員を3.0m
    以上確保できる程度に道
    路幅員に余裕のある道路
 両側歩道設置の場合の標準横断図片側歩道設置の場合の標準横断図
(2)   基本車線幅員  2.75m
(2-1)  前項(1-1)、(1-2)に該
    当しない路線。
 両側歩道設置の場合の標準横断図片側歩道設置の場合の標準横断図

注)

  1. 歩道は防護柵、照明柱等の路上施設および電柱等の占用物件等により歩道の有効幅員は歩道全幅員より減じられる。このため歩道有効幅員は3.0m以上とするのが望ましく、余裕ある歩道幅員が確保出来ない場合、当該路線の重要性を勘案して、広幅員の歩道を設置すべく積極的に検討するものとする。
  2. 歩道幅員が4.0m未満となる路線(または区間)においては、植樹帯を設置しないものとする。
  3. 片側歩道設置の場合の歩道のない側の路肩幅員は0.75m を標準とする。なお市街地部において側溝があり、かつ歩道幅員が余裕ある幅員を確保出来ない場合においては、歩道のない側の路肩幅員は0.5mもやむ得ないが、このとき側溝蓋を設置して歩行者の通行スペースを広く確保することも考慮するものとする。
 資料

道路構造令の解説と運用:日本道路協会、平成16年2月

1−2 歩道標準構造

1−2−1 歩道構造

1.歩道等の構造の原則

  1. 歩道等の整備にあたっては、道路構造令(昭和45年政令第320号)の規定によるとともに、歩行者及び自転車の安全かつ円滑な通行の確保、自動車交通に起因する弊害の軽減、沿道住民の居住環境の向上、良好な都市環境の形成又は公益施設の収容のために十分機能する構造とするよう努めるものとする。
  2. 歩道の構造は、セミフラット形式を標準とする。但し、歩道の構造は平坦性及び連続性等の現場の状況を考慮し、セミフラット(フラット)及びマウンドアップのいずれかの形式、または併用を検討すること。

 セミフラット形式の歩道は有効幅員が縁石分狭くなるという欠点があるものの、交差点部及び車両出入口部において歩道を切り下げる必要がなく、平坦性並びに連続性に優れており、マウンドアップ形式より有効な場合が多い。

                                    

2.縁石で区画された歩道等の形式

  1. 縁石を設置する場合には、その高さは、歩行者及び自転車の安全な通行を確保するとともに、沿道の状況等に配慮して15cmを標準とする。ただし、当該歩道等を設置する一定区間において車両出入口部を設けない場合または交通安全対策上必要な場合には20cmまで、橋またはトンネルの区間においては、当該構造物を保全するために25cmまで高くすることができる。
  2. 上記の規定において、さく、植樹帯または並木が連続している等歩行者及び自転車の安全な通行が確保されている場合であって、雨水の適切な誘導等が確保できる場合には、必要に応じ縁石の高さは5cmまで低くすることができる。
  3. 歩道等面の高さは、当該地域の地形、気象、沿道の状況及び交通安全施設の設置状況等を考慮し、雨水の適切な誘導を勘案して決定するものとする。

3.歩行環境の確保

  1. 歩道等面に設ける勾配は、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合を除き、車いす等の安全な通行を考慮して以下を標準とする。
     ア)縦断勾配:5%以下(ただし、沿道の状況等によりやむを得ない場合には8%以下)
     イ)横断勾配:1%以下(ただし、「歩道透水性舗装設計の手引き(案)(大阪府土木部交通道路室、平成 17年5月)」の適用箇所以外では2%)
     ウ)縦断勾配を設ける箇所には、横断勾配は設けない
  2. 歩道等面には、車いす等の安全な通行を考慮して、原則として、1m以上の平坦部分(横断勾配2%を標準とする部分)を連続して設けるものとする。また、当該平坦部分には、道路標識その他の路上施設又は電柱その他の道路の占用物件は、やむを得ず設置される場合を除き原則として設けないこととする。なお、歩道等の幅員が十分確保される場合には、車いすの円滑なすれ違いを考慮して、当該平坦部分を2m以上確保するよう努めるものとする。
  3. 横断歩道箇所等における車道とのすりつけ部若しくは車両出入口部において設けられる縦断勾配箇所の間隔が短い場合又は将来の沿道の状況により短くなることが考えられる場合であって、車いす等の通行に支障をきたす恐れがある場合には、排水施設の設置、交通安全対策、民地側とのすりつけ等を勘案し、一定区間において歩道等面を切下げる等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
  4. 1から3のほか、歩道等の整備にあたっては、歩行者及び自転車の快適な通行を考慮して、水はねの防止のための透水性舗装の実施等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
  5. バス停車帯又はバス停留所に接続する歩道等においては、乗降する車いすの利便性を考慮して、必要に応じ歩道等面の高さの調整等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

4.分離帯において車道境界に縁石を設ける場合には、その高さは25cm以下とする。

1−2−2  歩道排水

 歩道横断勾配は、車道側への1%以下(ただし、「歩道透水性舗装設計の手引き(案)(大阪府土木部交通道路室、平成17年5月)」の適用箇所以外では2%)を標準とする。また、路面排水のため計算により決まる間隔で歩車道境界石として、穴あきブロックを設置する。
 道路集水桝部には穴あきブロックを設置する。

1−2−3 「重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」の適用について

 「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」に基づき、市町村が作成する移動円滑化基本構想の中で定められた重点整備地区において実施される道路特定事業については、「重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」によるものとする。実際の運用に当っては、同基準に基づき道路特定事業の整備を行う際の考え方を示した「道路の移動円滑化整備ガイドライン」((財)国土技術研究センター)を適用すること。なお、その詳細は同基準を参照されたい。
 以下に、本歩道標準構造と同基準における主な相違点を示す。

  1. 歩道等の舗装は、雨水を円滑に浸透させる構造(透水性)とする。(第5条)
  2. 歩道の横断勾配は、1%以下とする。(第6条)
  3. 車両乗入れ部の横断勾配1%以下を満たす部分の有効幅員は、2m以上とする。(第10条)
  4. 乗合自動車停留所の歩道の車道に対する高さは、セミフラットの場合でも15cmを標準とする。
                                                     (第17条)
資 料

 重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準
                         国土交通省令第104号、平成13年6月26日
 道路の移動円滑化整備ガイドライン:(財)国土技術研究センター、平成15年1月30日
 歩道の一般的構造に関する基準等について:国土交通量(通達)、平成17年2月3日
 歩道透水性舗装設計の手引き(案):大阪府土木部交通道路室、平成17年5月

<歩道設置標準図>

標準 (セミフラット形式)

画像です。歩道設置標準図(セミフラット形式)

画像です。歩道設置標準図(セミフラット形式)

標準 (マウンドアップ形式)

歩道設置標準図(マウンドアップ形式)

画像です。歩道設置標準図(セミフラット形式)

(参考図) 歩道の有効幅員Wが規定の幅員を確保出来ないような場合の防護柵等の設置については、下図を
参考とすること。
(設置例 1. 2及び5に適用)

参考図

適用範囲 (設置例1.2)

  1. 改築事業および交通安全事業において、規定の車道幅員・路肩を確保することが可能な場合、又、市街地等の人家連担地域及び車両出入口部連担区間に適用。(セミフラット形式、マウンドアップ形式を併用する。)
  2. 路肩の構造、路面排水の処理方法は本図を標準とする。
  3. 路盤t=100は再生クラッシャランの使用を標準とする。

注) 歩道の有効幅員が1.5m未満となるような場合は防護柵等を原則として設置しない。

設置例3-1

設置例3-2

適用範囲

  1. 規定の路肩および車道幅員を確保することが不可能である場合。
  2. 防護柵等の路上施設は車道ブロック前面より25cm控えて設置すること。
  3. 路盤t=100は、再生クラッシャランの使用を標準とする。

注) 歩道の有効幅員が1.5m未満となるような場合は防護柵等を原則として設置しない。

設置例4-1

設置例4-2

摘用範囲

  1. 規定の路肩を確保することが不可能であり、かつ側溝を利用する場合。
  2. 防護柵等の路上施設は車道ブロック前面より25cm控えて設置すること。
  3. 路盤t=100は、再生クラッシャランの使用を標準とする
  4. 側溝蓋にグレーチング蓋を使用する場合は、細目グレーチング蓋とすること。

注) 歩道の有効幅員が1.5m未満となるような場合は防護柵等を原則として設置しない。

適用範囲

  1. 盛土箇所に歩道を設置する場合。
  2. 平坦地である前後区間において、規定の路肩を確保することが不可能な場合は、本区間路肩を確保する
    ことが可能でも車道幅員を広くすることは望ましくなく、この場合は設置例3,4,6(図1−2−4,5,7)に準じて検討すること。
  3. 路外が危険な区間には、歩行者の路外転落を防ぐためP種の防護柵を設置してもよい。
     (防護柵設置要綱による)
  4. 路盤t=100は、再生クラッシャランの使用を標準とする。

歩道設置標準図の設置例 6

適用範囲

  1. 市街地等の人家連担地域でマウンドアップ形式及びセミフラット形式が設置できない場合。
  2. この場合ブロックは、可能なかぎり連続して設置するものとする。
  3. 側溝蓋にグレーチング蓋を使用する場合は、細目グレーチング蓋とすること。

歩道設置標準図の設置例7

適用範囲

  1. 市街地等の人家連担地域でマウンドアップ形式及びセミフラット形式が設置できない場合。
  2. 上図は規定の路肩が確保できない場合であるが、確保できる場合の横断構成は設置例1(図1−2−1)
     に準ずる。
  3. ガードレールは土中式を原則とする。ただし、地下埋設物等により施工に支障を来たす場合は、コンク
    リート基礎とすることができる。
  4. 側溝蓋にグレーチング蓋を使用する場合は、細目グレーチング蓋とすること。

このページの作成所属
都市整備部 道路室道路環境課 交通安全施設グループ

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