乱反射型光拡散シートによるいちじくアザミウマ類の被害軽減について

更新日:2017年3月30日

報告年月日 平成29年1月4日
中部現地情報 No.4

乱反射型光拡散シートによるいちじくアザミウマ類の被害軽減について

 管内の柏原市では、ぶどう直売所を経営する傍ら、直売所の品目としていちじく栽培に取り組んでいる農業者も多い。一方、いちじくの主要害虫であるアザミウマ類は、被害が果実内部であることから一旦果実内に侵入されると薬剤がかかりにくいため効果があがりにくく、また被害状況の確認が難しいため、農業者が薬剤を過剰散布する一因ともなっている。

 そこで、必要最小限の農薬散布でアザミウマ類を効果的に防除できるよう、ほ場内への飛び込み数を抑えるために乱反射型光拡散シートをマルチとして設置し、その効果を確認することとした。

 これまで、「シルバーシート」等光直行型反射シートの設置事例は多く見受けられるが、本シートは光が乱反射して拡散することにより、いちじくの枝が生い茂ったほ場内の少ない光でも、広範囲に光を照らすことができるため、アザミウマ類の行動を制御する効果を得られやすいことが考えられる。さらに、乱反射型光拡散シートはいちじくの着色向上にも寄与できると判断され、慣行栽培以上の品質を確保することも合わせて目的とした。

 結果は、乱反射型展示区での黄色粘着トラップにおける捕獲数が、対照区に比べ激減した。また、サンプル数が少ないため有意性を示すことはできないが、アザミウマ類による果実への被害もなかった。さらに、着色が明らかに向上し、展示した農業者の反応は非常に良かった。

 栽培期間中の殺虫剤の散布回数は、展示区で2剤、対照区で4剤であった。展示区の2回目の散布は、対照区の粘着トラップで捕獲数が激増したため、念のために散布したものであり、初期の1回散布だけでも効果が十分あると考えられる。

 乱反射型光拡散シートの価格は10aあたり約8万円であるが、最低2年は使えるため1年あたりの経費4万円で、設置しない場合に散布する農薬の価格や秀品率から推察すると十分な価値が見込めると思われる。なお、10a当たりのシートの設置時間は、約12時間であった。

 農の普及課では、他地域のいちじく栽培者にも具体的な効果を示すことにより導入を働きかけ、本技術の活用を推進していく。

シート設置時(5/31)の様子    収穫時(8/2)の様子    展示区の収穫時(8/2)の様子    対照区収穫時(8/2)の様子    アザミウマ類の被害(対照区)

このページの作成所属
環境農林水産部 中部農と緑の総合事務所 農の普及課

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