ヘルシーおおさか21(点字広報)第52号音声読上げ用

更新日:2016年10月24日

ヘルシーおおさか21(点字広報)第52号【平成28年10月発行】

テーマ: 「あなたのねむりは大丈夫?」よりよいねむりのためにできること 

1 睡眠で休養が十分とれていますか?

  睡眠不足は、こころとからだの健康をおびやかすだけでなく、脳の機能や行動にも影響し、あなたの仕事や生活の質を低下させます。

健康的で豊かな生活を送るために、よいねむりについて考えてみましょう。

2 よいねむりとは

 よいねむりがとれているかの目安は、平日も休日も、ほぼ同じ時刻にすっきり目が覚め、日中もあまり眠気を感じないことと考えてください。
また、睡眠不足や不眠という「ねむり」に関わる問題について、正しい知識を身につけ、よいねむりのためのコツをつかみましょう。

3 どれくらいねむればいいの? 

 睡眠は、脳やからだの成長に大切な役割があると考えられ、年齢によっても必要な時間は異なってきます。
例えば、赤ちゃんや子どもは、大人より長時間睡眠が必要です。新生児は、短いねむりを繰り返し、一日の大半はねむっています。4歳頃になる
と、昼寝も少なくなり、起きている時間の方がだんだんと長くなり、成長とともに、夜にまとめてねむるようになります。大人になると、子ども
の頃に比べ睡眠時間は短くなり、深い睡眠も少なくなります。高齢になると、夜の睡眠はさらに短く、浅くなり、昼寝が復活することが多いと言
われています。十分な睡眠時間には個人差があり、平均的には、大人で7から8時間です。子どもや若者はそれより長く、高齢者は短めと考える
とよいでしょう。

4 寝だめはできない!  

 休日はいつもより長くねむるという人は多いようです。しかし、人間は寝だめをすることはできません。長時間の朝寝は、体内時計のリズムを
乱し、せっかくの休日を時差ぼけ状態にしてしまいます。
 休日の朝、平日より2時間以上長くねむるという人は、平日の睡眠時間が不足しているのかもしれません。 

5 睡眠不足の影響

 睡眠不足は脳の機能や感情、行動にも影響を及ぼします。具体的には、次のようなことが例としてあげられます。
  ・記憶力が低下して、忘れっぽくなる。
  ・注意力が散漫になって、ミスや事故を起こしやすくなる。
  ・ちょっとしたことにもイライラしたり、怒りっぽくなる。
  ・日中、ボーッとする。頭が働かない。良いアイデアが浮かばない。
  ・疲れがとれない、などです。
 1986年に起こったチェルノブイリ原発の爆発事故や、スペースシャトルの爆発事故などの大事故の背景にも、睡眠不足による判断ミスがあった
ことがわかっています。睡眠不足が社会的な大問題につながってしまうこともあるのです。

6 あなたの睡眠不足度をチェックしてみましょう!

 次の9個の質問に、あてはまるものはいくつありますか?
  1.毎朝起きるとき、複数の目覚まし時計が必要。
  2.朝起きるとき、目覚めが悪くなかなか起きられないことが多い。
  3.座って本を読んだり、音楽を聴いているときに、非常にねむくなることがある。
  4.会議中や何かの集まりや講演会などで、ねむくなることが多い。
  5.飛行機・電車・バス・自動車などに、1時間以上乗っていると非常にねむくなったり、居眠りをしてしまう。
  6.昼間に、コーヒーあるいはお茶(カフェインを含むもの)を4杯以上飲む。
  7.以前より気力がないと感じたり、細かな仕事や家事がおっくうになることが多くなったと思う。
  8. 休日には、いつもより長くねむる。
  9. ビールやワインその他のアルコール飲料を少し飲むと、よくねむれる気がす。
  質問は以上です。3個以上あてはまると、睡眠不足の注意信号、6個以上当てはまると睡眠不足の警告信号です。
  さて、あなたはいくつあてはまりましたか?

7 寝付きが悪い、または夜中に目が覚めるといったことはないですか?

 ねむりと目覚めは、恒常性という生体のバランスを保つ機能によって調整されています。夜間の睡眠の質と量は、日中覚醒している時間の長さ
などによって、自動的に調節されているのです。
 なかなか眠れない、夜中に目が覚めることがあっても、日常生活で何も困ることがなく、ねむくもならないのであれば、あまりこだわらなくて
よいでしょう。しかし、体調が整えにくかったり、日常生活に不都合が出てしまっている人は、「不眠」と言ってよいかもしれません。

8 不眠とその原因

 不眠や不眠症というのは、「頭痛」「腹痛」などと同様、症状につけられる名で、「寝付きが悪い」「途中で目が覚める」「朝早く目が覚める」
「ぐっすりとねむれない」などの夜間の症状と、「ボーッとする」「頭が働かない」などの日中の症状の両方があるときに言います。
 平成25年 国民健康・栄養調査では、睡眠の質の状況として「日中、眠気を感じた」と回答した人の割合が男性37.7%、女性43.0%と最も高く、
多くの人が睡眠に何らかの問題をかかえている事がわかります。
 また、不眠の原因はさまざまです。例えば、
 ・旅行や一時的な興奮、心配
 ・からだの病気や痛み、かゆみ
 ・こころの病気や悩み、ストレス
 ・アルコール、カフェイン、薬の副作用など
 特に慢性の不眠の場合は、今挙げた例のような原因が重なり合っている場合が少なくありません。最近の睡眠薬は、効果も安全性も優れて
いますが、あくまで対症療法です。このため、薬の服用や調節・中止には、医師との相談がとても大切です。
 また、疲れていてもねむれない等の不眠症状は、こころの病の症状として現れることがあります。うつ病になると9 割近くの人が何らかの
不眠症状を伴い、中でも睡眠による休養感の欠如は、最も特徴的な症状と考えられています。

9 よいねむりのコツ

 よいねむりのコツは、体内時計や恒常性といった、ねむりの機能を強化・利用する方法です。不眠の人だけでなく、睡眠不足の人や、よいねむり
ができている人でも、夜のねむりや日中の生活の改善に役立てられます。

その1:体内時計のリズムに合った生活を心がけましょう

・毎朝(休日も)なるべく同じ時刻に起床しましょう。
 よいねむりのための生活を始めるためには、規則正しい起床から始めて、午前中に日光を浴び、体内時計の働きを強化しましょう。日中の活動
によって、活動と休息のメリハリがつき、夜間のねむりも改善します。 

その2:昼寝は短時間で効果的に

 昼寝はあまり長時間になると、夜のねむりを悪くします。特に夕方以降にうたた寝をしてしまうと、夜のねむりをひどく悪化させ、睡眠不足
状態をさらに重ねることにつながってしまいます。体内時計や夜のねむりへの影響を最小限に止める「効果的な昼寝」は、正午から午後3時まで
の間で、30分以下にすると良いでしょう。

その3:嗜好品にも気をつけましょう。

・お酒
 アルコールは眠気を催しますが、睡眠を浅くしたり、目が覚めやすくなったりなど、睡眠の質を悪化させる作用があります。「ねむるため」
にお酒を飲むのは、逆効果なばかりか、アルコール依存にもつながりやすいので注意しましょう。
(ヘルシーおおさか第50号「アルコールと健康」も参考にしてください)
・カフェイン
 カフェインに眠気覚ましの効果があることはよく知られていますが、意外と多くの食品などに含まれており、効果が5から6時間と長時間持続
することはあまり知られていないようです。カフェインを含むものは、夕方以降の摂取は控えるよう心がけましょう。
 カフェインを含む飲料・食品には、コーヒー・紅茶・緑茶・抹茶・ウーロン茶やココア・コーラなどの清涼飲料、チョコレートやガムなど
お菓子の一部、サプリメントや頭痛薬の一部などがあります。

その4:よいねむりのための環境づくり                    

 よいねむりのためには、寝室の環境づくりが重要です。暑過ぎても、寒過ぎても安眠ができないので、部屋の温度や湿度の調節も大切です。
理想的な室温は夏が25℃、冬は15℃、湿度は年間を通して50%といわれています。エアコンなどで温度調節をするときは、冷房は25から28℃、
暖房なら18から22℃を目安に設定します。ただし、冬場の暖房のつけっぱなしは空気が乾燥する原因になるので、加湿器などで湿度を調整しま
しょう。快適に安心できる空間を整え、また、落ちついたねむりやすい雰囲気作りに、お気に入りの寝具や寝巻きを準備するのもよいでしょう。

その5:おやすみ前のクールダウン・リラクゼーション

・一日の終わりの過ごし方
 寝床に入る前の2から3時間は、心身のクールダウンが必要です。仕事や勉強、話し込んだりといった頭や心を使う作業や、外出・運動などの
からだを使う作業は、この時間帯には控えるようにしましょう。
・寝る前のリラクゼーション
 リラクゼーションもねむりの準備に有効です。リラックスには、入浴・香り(アロマ)・音楽など色々な方法があり、自分にあった方法を
見つけることも大切です。
 いずれにしても「リラックスしなければ」と一所懸命になると、かえってうまくいかないものです。あせらず気楽に試してみましょう。

10 さいごに

 よいねむりは、健康生活の基本です。まずは自分の睡眠の状態を知り、自分に合った睡眠環境を整えて、よりよいねむりを目指しましょう。
  
 参考資料:大阪府こころの健康総合センター 2007年11月発行/2010年4月修正 「考えてみませんか?ねむりの健康づくり」

このページの作成所属
健康医療部 健康医療総務課 保健所・事業推進グループ

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