安松田遺跡現地公開資料

更新日:2009年11月20日

 安松田遺跡は、府営東羽倉崎住宅の建て替え事業に先立ち実施された試掘調査によって新たに発見された遺跡です。その後、平成15年に第1期建て替え事業、平成18年に第2期建て替え事業に伴い発掘調査が実施されています。今回の調査は、第3期建て替え事業に先立って住棟部分約1,000平方メートルを対象としています。

 調査の結果、これまでの調査でもたくさん見つかっている土坑(地面を掘った穴)が多数検出されました。これらの土坑は、大きいもので径約5m、小さいもので径約0.5mで、形状は、円形のもの、方形のもの、不定形のものなどまちまちです。深さも30から50cmと差がありますが、地山面の明黄褐色の粘土を掘削し、その下位に堆積する灰色粘土に到達すると更には掘削しないようです。埋まっている土は、緻密に詰まった黒色粘土や、やや砂混じりの黄灰色土、これらが互層状に堆積したものや、地山の黄褐色粘土がブロック状に混じるものど、埋まり方にいくつかのパターンが見られます。

 調査区の南東壁面には、赤茶けた焼土や瓦片が詰まった遺構が認められ、付近の土坑には灰が流入したような状況が認められた部分もあります。調査区内からは、あまり焼成が良好とは言えない瓦片が多数出土しており、こうした状況から、付近に瓦を焼いた窯が営まれていた可能性が考えられます。

 全体に土器などの出土遺物は少ないですが、出土した瓦やいくつかの土坑から出土した瓦器などの土器から、これらの土坑は14世紀前半を中心とする中世(鎌倉時代から室町時代)頃に形成されたものとみられます。

 また検出された土坑は、地山層上部の明黄褐色粘土のみを掘削し、下位の灰色粘土は掘削しない状況が認められることや、調査区からは焼成が良くない瓦片が多数出土していることから、これらの土坑は瓦生産の原料となる粘土の採掘坑である可能性が高いものと考えられます。今後、採取した土を分析するなどして、更に詳しく調べていく予定です。

 こうした状況は、往時、付近で採掘される粘土を利用してこの辺りで盛んに瓦の生産が行われていたことを物語っているのかもしれません。

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教育庁 文化財保護課 保存管理グループ

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