陵東遺跡

更新日:2021年1月29日

遺跡:陵東遺跡(みささぎひがしいせき)

所在地:羽曳野市島泉八丁目・藤井寺市恵美坂二丁目

種類:集落跡

時代:古墳・古代

主な遺構:竪穴建物、掘立柱建物、井戸、溝など

主な遺物:土師器、須恵器、円筒埴輪、人物埴輪、黒色土器、瓦器、木製品など

遺跡の概要:陵東遺跡は羽曳野市と藤井寺市にまたがる遺跡です。平成17年度に試掘調査を実施したところ円筒埴輪が出土し、また古墳時代の溝を検出したことから新たな埋蔵文化財包蔵地として周知した遺跡です。

当遺跡は中位段丘構成層及び低位段丘構成層の境に立地し、谷の斜面地に位置します。

調査位置

図1 遺跡の位置

調査区全景

写真1 調査区全景(南から)

調査成果:今回の発掘調査は都市計画道路八尾富田林線(藤井寺工区)の着工に先立ち実施しました。陵東遺跡のはじめての発掘調査となります。調査では、古墳時代前期末から中期初頭の竪穴建物1棟、井戸5基、溝1条が見つかりました。これとは別に古墳時代後期の溝が見つかっており、溝の底から人物埴輪が3体出土しました。

3体の人物埴輪は密集して出土しており、北側から男子像・盾持人・力士と考えられます。いずれの埴輪も5世紀後半から6世紀初頭に作られたものと考えられます。

他にも、古代の掘建柱建物が1棟見つかりました。

今回の調査によって古墳時代前期末から中期初頭及び後期前半の様相が明らかとなりました。特に溝から出土した人物埴輪群は、羽曳野市と藤井寺市にまたがり築造されている古市古墳群でもあまり見られない人物埴輪であり、新たな知見を加える成果となりました。

竪穴建物

写真2 竪穴建物(北から)

古墳時代前期末から中期初頭

方形に地面を掘りくぼめ、隅に4本の柱穴と中央部分には炉跡がありました。一辺の長さが4.5m。 

井戸

写真3 井戸(北から)

古墳時代前期末から中期初頭

直径1.3m、深さ1.1mを測る井戸です。井戸の中には土器が多量に廃棄されていました。

人物埴輪群

写真4 人物埴輪群出土状況(西から)

古墳時代後期

溝の底で出土しました。左側から男子像・盾持人・力士の人物埴輪です。

盾持人埴輪

写真5 盾持人埴輪

古墳時代後期

盾持人埴輪は人物の頭部と盾を強調して作られた埴輪です。今回の調査では頭部のみが出土しました。長さ60cm、幅25cm。

力士埴輪

写真6 力士埴輪

古墳時代後期

力士埴輪は裸に髷(まげ)や褌(ふんどし)などを表現した人物埴輪です。今回出土した力士は東部から胸部までの破片で髷(まげ)と鼻がはがれていました。大きさ35cm、頭部の直径は15cm。

掘建柱建物

写真7 掘立柱建物(南から)

古代

2間3間の掘立柱建物で桁行4.5m、梁行3.6mを測る。

 

 

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教育庁 文化財保護課 調査事業グループ

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