所在地:茨木市安威(あい)二丁目
種類:城館跡
時代:弥生時代から中世
調査期間:平成25年 5月から8月
主な遺構:竪穴住居跡など
主な遺物:須恵器、土師器、鉄器
安威城跡(あいじょうあと)は安威川(あいがわ)右岸の沖積地に位置する遺跡です。主要地方道茨木亀岡線(いばらぎかめおかせん)の建設工事に先立ち、平成23年度調査区の南側を対象として5月から発掘調査を開始しました。
調査の結果、古墳時代後期後半(6世紀後半)に属する竪穴住居跡が1棟発見されました。平面形が一辺約4メートルを測る隅丸(すみまるの方形をしており、住居内からは高坏(たかつき)、甕(かめ)などの土師器、刀剣類の中茎(なかご)とみられる鉄製品が出土しました。その一方で、この住居跡からはこの時期の竪穴住居跡にはよくみられるカマドは検出されせんでした。
カマドが検出されなかった理由としては、本調査区の北側で行ったH24年度の調査において、屋外にて炊事を行っていた痕跡(屋外炉)が発見されていることと関連があると考えられます(参考:H24年度安威城跡の調査)。
また近隣における過去の調査では、古墳時代後期の集落は土石流(どせきりょう)によってできた礫層の上に形成されたことが明らかとなっています(参考:H24年度安威城跡の調査2)。本調査区ではこの礫層は南にいくにつれて深くなっており(南にむかって傾斜している)、その上に砂層が堆積していることが分かりました。今回発見された竪穴住居跡はこの砂層を掘り込んで作られていました。礫層よりは掘り込みやすい砂層の場所を選んで住居を構えたことがうかがわれます。
このように今回の調査によって本遺跡における古墳時代集落のあり方に新たな知見が加わることとなりました。
(写真1)発見された竪穴住居跡
(写真2)竪穴住居跡から出土した高坏(たかつき)
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教育庁 文化財保護課 調査事業グループ
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