所在地:八尾市西久宝寺
種類:集落跡
時代:弥生時代から江戸時代
調査期間:平成26年 9月から11月
主な遺構:溝、水田畦畔(けいはん)など
主な遺物:須恵器、土師器
久宝寺遺跡は八尾市南久宝寺1丁目を中心に広がる縄文時代晩期から近世にかけての大規模な複合遺跡です。今回の発掘調査は久宝寺緑地における雨水排水管の敷設工事に伴い、平成23年度から継続的に実施されてきた一連の調査の最終調査区に該当します。平成25年度までに実施したA調査区からE調査区に引き続き、F調査区およびG調査区を実施しました。
【F調査区】
平成24年度に実施したE調査区の延長部分で、掘削範囲の大半は既存の排水管等の施設により削られていましたが、E調査区と同様に古墳時代前期に属する水田畦畔(けいはん)を発見しました(写真1)。
この水田はE調査区をはじめ、付近における発掘調査で広く確認されているもので、古墳時代前期には、この周辺で広く水田耕作を行っていたことが明らかになっています。また古墳時代前期の水田は、その後の洪水による土砂の氾濫によって堆積した厚い砂に覆われていることも付近で広く認められており、G調査区においてもこの砂層を確認しました(写真2)。G調査区では、これら周辺での調査成果を追認することができました。
(写真1)F調査区の土層(どそう)断面
(写真2)F調査区洪水砂層中に発見された土器
【G調査区】
G調査区は久宝寺緑地の心字池(しんじいけ)のすぐ北側にあたります。F調査区でも確認された、古墳時代前期の水田面を広く覆う、洪水砂層中までが調査の対象範囲でした。この洪水砂層の上面で中世から近世にかけての遺構を発見しました。
確認された遺構は、溝や土坑(どこう)でいずれも耕作に伴うものと推測されます(写真3)。またこの砂層の上には、砂混じりの粘土層が堆積しており、この粘土層の上面でも近世の溝や水田畦畔(けいはん)を発見しました。古墳時代の洪水砂層の上では、近世に至るまで、連綿と耕作が行われていたことが明らかとなりました。
(写真2)G調査区洪水砂層上の遺構
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教育庁 文化財保護課 調査事業グループ
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