54ページ 第5章 進学や就労について 1.進学について 障害のある子どもの可能性を最大限に伸ばし、将来、自らの選択に基づき地域で自立した生活を送ることができるよう、障害の状況に応じた教育を推進するとともに、本人や保護者の主体性や選択を最大限尊重し、一人ひとりの希望に応じた進学や就労の実現に努めることが重要です。 可能性を伸ばし、自立した生活を送るために * 各学校は、進学や就労に関する情報を積極的に収集し、本人や保護者に対して十分な情報提供を行うこと。 * 校内の進路相談は、支援学級担任・通常の学級担任・進路担当教員等により積極的に行うこと。また、本人や保護者の要望を十分に受けとめながら、入学当初から始めること。 ○進学や就労のイメージ図 中学校  視覚支援学校・聴覚支援学校・支援学校(中学部)   矢印 高等学校 高等学校(自立支援推進校) 高等学校(共生推進校) 視覚支援学校・聴覚支援学校・支援学校(高等部) 専修学校(高等課程) 等 矢印 大学 専門学校 視覚支援学校・聴覚支援学校(高等部専攻科)等 矢印 職業訓練校 福祉施設 就労支援施設 事業所等 矢印 就労等 55ページ (1)高等学校について 府立高等学校では、子どもの興味・関心や適性・進路希望に応じて学校を選択したいというニーズに応えるため、「普通科」、「総合学科」、「専門学科」等の学科を設置しています。 また、全日制、多部制単位制、定時制、通信制など多様な課程から学びかたや学ぶ時間帯を選択することもできます。 子どもや保護者との出会いづくり、学校体制づくり、関係機関等との連携、支援教育等の基本的なことについては、第2章、3章、4章に記載していますので、参考にしてください。 ○なかまづくり 府立高等学校においては、「ともに学び、ともに育つ」教育が進められています。知的障がい生徒自立支援コースと共生推進教室が制度化され、自立支援推進校と共生推進校が設置されています。 知的障がいのある生徒が高等学校で学ぶということでは、当該の生徒の教育内容は言うまでもなく、周囲の生徒とのなかまづくりがとりわけ重要です。 事例 エイ高校(自立支援推進校)の入学当初からのなかまづくり * エイ高校では、入学する生徒が決まった段階で、その生徒の出身中学校の協力を得て、入学式が行なわれる前に、同じ中学校から入学してくる生徒に対して「学年の生徒に入学した生徒のことを早く理解してもらえるよう、ともに活動しよう」ということを呼びかけました。 * 入学後、すぐに行なわれる新入生と在校生の対面式においては、これらの同じ中学校出身の生徒たちが前に立ち、全校生徒へ知的障がいのある生徒の紹介を行ないました。これらの生徒を中心に、知的障がいのある生徒を支えるボランティアサークルを組織しました。この組織は学年単位で組織されており、2・3年生の呼びかけで新入生歓迎の行事に取り組むことをはじめ、様々な行事を企画し、実行していきました。また、この組織は、校内だけでなく、地域の障がい者団体などが主催する行事にもボランティアとして参加するなど、校外においても活躍しています。 * 障がいのある生徒と障がいのない生徒が、学校生活の中でおこる様々なことがらを、互いに協力し合って、解決していくことが大切であり、障がいのある生徒を支援するということだけではなく、ともに考え、行動していく中で、互いに理解し、ともに成長していきます。 56ページ 今度は私がまるまるさんの心の支えになれたら(生徒作文) ……(前半略)……2年では、まるまるさんと同じクラスになりました。喋りかけても初めは反応がなく困っていましたが、関わっていくうちに笑ったり変な顔をしたり、私の名前を覚えてくれたりと距離が近くなってきました。私が言うことに正直に返してくれるし、自分が嫌な部分を、はっきり伝えてくれるまるまるさんがだんだん好きになり、私にとって大きな存在になっていきました。 うれしい事に3年でもまるまるさんとは同じクラスでした。席が後ろで話す機会が多く、いろんな話をしました。友だちの話、お母さんの話、まるまるさんが飼っている犬の話から、人の死という話までも何でも話します。知的な障がいがあるというまるまるさんですが、たくさん話をしていて感じたのは、まるまるさんは普段私が見落としている物事を良く見ているということです。まるまるさんは、自分たちよりもっとゆっくりしたスピードで生活しているのかなと思いました。そういうおおらかさが私も欲しいと思い、いやされるような気持ちで接しているうちに、話しやすい相手になっていきました。 3ねんせいになって、私たちにとって3年間で一番大切なイベントの一つであるたいいくさいで、私は緑ブロックの主将をやる事になりました。やる気十分でなった主将でしたが、想像以上に大変で心身ともに苦痛を感じるようになっていました。思っているように動けない自分の無力さへの苛立ちや、周りに迷惑をかけている情けなさでイライラし、また、プライドの高い私にとって、その事を相談できる相手も少ない自分でもどうしていいかわからないくらい精神的に不安定な状態でした。そんな中で正直に私の意見に答えてくれるまるまるさんには、思っていることがなんでも話せて、すごく救われました。 まるまるさんも応援リーダーとして、ダンスを頑張っていました。私たちが疲れてじっと座っていたら「ダンス踊らんのー?」とか言ってくれて、それだけで前向きな気分になれました。皆がイライラしている中も、まるまるさんは目があうと笑顔を返してくれて、ほっとしました。 たいいくさいの最後に緑ブロックだけで集まって後輩たちに感謝の気持ちを伝えた時、自然に涙が出てきました。私をじっと見ていたまるまるさんの目にも涙が光っているのをみた時、もう自分の涙を止められなくなってしまいました。 本当に一生忘れることのできないおもいでです。 障がいのある仲間と関わってきて私が感じたのは、障がいがあってもなくても、友だちという点では何も変わらないということです。障がいがあるということも含めて全部まるまるさんです。障がいがあるから仲良くしましょうとかではなく、私は素直にまるまるさんが大好きで、これからもたくさん話がしたいし、卒業しても関係がとぎれないようにしたいです。それでまるまるさんが何かのことでしんどく感じた時は、今度は私がまるまるさんの心の支えになれたら……と思っています。 57ページ ○高等学校における教育課程・成績評価等について 教育課程の編成については、障がいのある生徒をはじめとして、様々な生徒が在籍している今日の高等学校の現状に即して、平成21年に告示された高等学校のしん学習指導要領(施行は平成25年度)において、次のような配慮すべき事項が示されています。  参考 【第1章総則第5款5(6)】    「 各教科・科目等の指導に当たっては、教師かんの連携協力を密にするなど指導体制を確立するとともに、学校や生徒の実態に応じ、個別指導やグループ別指導、繰り返し指導、教師間の協力的な指導、生徒の学習内容の習熟の程度等に応じた弾力的な学級の編成など指導方法や指導体制を工夫改善し、個に応じた指導の充実を図ること。」 【第1章総則第5款5(7)】 「学習の遅れがちな生徒などについては、各教科・科目等の選択、その内容の取扱いなどについて必要な配慮をおこない、生徒の実態に応じ、例えば義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための指導を適宜取り入れるなど、指導内容や指導方法を工夫すること。」 【第1章総則第5款5(12)】 「生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに、指導の過程や成果を評価し、指導の改善をおこない学習意欲の向上に生かすようにすること。」 また、大阪府教育委員会は、平成13年9月に府立高等学校長あてに、「府立高等学校における障がいのある生徒に対する学習指導及び評価について」(教委教務第514号)を通知し、府立に学ぶ障がいのある生徒の学習指導や評価の在り方について基本的な考え方を示しました。 特に、障がいのある生徒については、個々の障がいの状況を考慮して教育課程の編成や授業方法など、それぞれの生徒に応じた検討を行うことが重要です。 ○通知文抜粋 教委教務 第514号 平成13年9月12日 府立高等学校長 様 教育振興室長 府立高等学校における障害のある生徒に対する学習指導及び評価について(通知) 本府において、障害のある児童・生徒の教育については、一人ひとりの障害の状況等に配慮 しつつ、その可能性を最大限に伸ばし、積極的に社会参加・自立する人間の育成を図ることを ねらいとして、これまで推進してきたところである。 近年、府立高等学校においても、障害のある生徒が多数学んでおり、障害の有無にかかわら ず、「共に学び共に育つ」という理念に基づいて教育を行うことが求められている。 このことをふまえ、各学校においては、下記の点について十分留意の上、障害のある生徒に 対する学習指導及び評価を行うよう教職員に周知願います。 58ページ 記 1 障害のある生徒の指導については、教職員の共通理解を図るとともに、その障害の種別や程度等  に応じて、特別な配慮のもとに、可能性を最大限に伸ばすよう、きめ細かく行うこと。 2 生徒一人ひとりの実態に即した適切な指導を行うため、障害の状況を把握し、家庭、専門医等と も連絡を密にして、指導目標を設定するとともに、指導内容・指導方法を工夫すること。 その際、盲学校、ろう学校及び養護学校における学習指導方法等も参考にすること 3 教育課程の編成については、「学校設定教科・科目」の開設、教科・科目の選択や単位数の増減 などについて弾力的な対応を行うこと。また、生徒の障害の状況によって、教育課程の変更を行う 必要が生じた場合には、教育委員会と協議を行うこと。 4 評価に当たっては、評価のあり方や評価の方法を生徒の障害の状況に即して検討するとともに、 指導の目標に照らして生徒の変容を多角的、総合的に評価すること。その際、特に、知識の量のみ を測るのではなく、生徒の学習の過程や成果、進歩の状況などを積極的に評価すること。 5 評価の通知については、生徒が自らの学習過程を振り返り、新たな自分の目標や課題を設定し意 欲的に学習に取り組めるよう、必要に応じて、その形式・方法及び時期等を工夫すること。 6 進級・卒業の判定について、本通知文の趣旨をふまえて、ないきの見直しを行うなど、柔軟な対応 を行うこと。 ○社会的自立を目標とした高等学校での「個別の教育支援計画」の作成 高等学校では、卒業後の自立した社会生活に必要な力を育成するために、入学時からキャリア教育の観点を取入れた「個別の教育支援計画」、「個別の指導計画」、「個別移行支援計画」の作成と活用に取り組みます。 キャリア教育の観点を取り入れた「個別の教育支援計画」は3つのステップで作成します。また、「個別移行支援計画」は、卒業後の社会生活での自立と就業支援の観点を自己マネジメントりょくの育成の観点から作成します。 > 高校生活支援カード > 個別の教育支援計画 > 社会生活支援カード(個別移行支援計画)  ○ステップのイメージ図   ステップ1 状況の把握 高校生活支援カード        地域、関係機関との連携                      卒業後の目標  本人・保護者のニーズ                    学校生活への不安                    配慮や支援の内容                    評価の要望   配慮の必要がある場合はケース会議等の開催   個別の教育支援計画の作成   ステップ2  気づき・連携 個別の教育支援計画  ○障害等の状況  ○本人・保護者のニーズ            ○関係機関との連携  ○支援の目標(優先課題)            ○支援の内容            ○評価(評価の時期)            ○保護者の署名    個別の指導計画  ○教科の指導・支援方針・内容            ○生徒の状況            ○支援の目標            ○支援の内容            ○評価の観点            ○評価(評価の時期)  59ページ 《高等学校入学者選抜》 入学者選抜には、2月に行われる私立高校入学者選抜、公立前期入学者選抜と、3月に行われる公立後期入学者選抜などがあります。 障がいのある生徒の高等学校入学に関しては、入学者選抜において、障がいがあるという理由で、不合理な取扱いがされないよう配慮をしています。詳しくは、中学校等を通じて、私立高校、高等学校を設置する教育委員会に相談してください。(配慮事項についてはP64参照) (2)自立支援推進校・共生推進校について 大阪府では、知的障がいのある生徒の高等学校での学習機会の充実を図るため、「ともに学び、ともに育つ」教育を推進しています。自立支援推進校・共生推進校では、授業(クラスでの一斉授業、しょうしゅうだん授業、個別授業を個々の生徒の状況に応じて設定)や学校行事、部活動等を通じて知的障がいのある生徒が障がいのない生徒と交友を深め、高校生活を送っています。(校名についてはP64参照) ・自立支援推進校 高等学校のカリキュラムや授業内容を工夫し、知的障がいのある生徒が、障がいのない生徒とともに高校生活を送り、交友を深めています。 また、生徒の多様な進路希望をふまえ、卒業後の地域社会での自立に向けた取り組みをおこなっています。 高等学校の卒業証書が授与されます。 学校名については、『大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項』に記載しています。                              ・共生推進校 職業学科を設置する知的障がい高等支援学校に入学しますが、生徒は日々、共生推進教室を設置する高等学校に通い、授業や学校行事、部活動等を通して高等学校の生徒と交友を深めます。また、週に1回程度、本校である高等支援学校で職業に関する専門教科を学び、卒業後の就労を通じた社会的自立を図るため、職業かん、勤労かん等を育成しています。 高等支援学校の卒業証書が授与され、共生推進教室設置校からはともに学んだことを示す証書が発行されます。 学校名については、『大阪府立知的障がい高等支援学校職業学科入学者選抜実施要項』に 記載しています。 1 部活動など 運動部:バスケットボール部 野球部 卓球部 サッカー部 ダンス部 剣道部 ソフトボール部 陸上部 水泳部 バドミントン部 ハンドボール部 硬式テニス部 など 文化部:野菜クラブ パソコン部 漫画研究部 書道部 吹奏楽部 美術部 ボランティア部   囲碁将棋部 クッキング部 華道部 園芸部 ESS部 茶道部 など 各校において様々な部で活躍しており、運動部において硬式野球部でレギュラーとして公式戦でも活躍する生徒や、剣道部でだんいを取得するなどして活躍する生徒がいるほか、文化部においても多くの生徒が障がいのない生徒とともに部活動に励んでいます。中には、全国障害者スポーツ大会へ出場した生徒や、パラリンピックの強化選手に選出されるなどした生徒もいます。 また、生徒会役員に立候補して当選し、生徒会活動で活躍している生徒もいます。   60ページ 2 就労支援 府教育委員会、商工労働部、福祉部等と学校が連携して企業開拓から職場定着に至る一貫した就労支援に取り組んでいます。平成23年度は、自立支援推進校と共生推進校の卒業生30人のうち18人が就労をしており、就労率は60%でした。 1年じから1週間程度の職場実習を体験し、3年じには2週間程度の実習を経験することが多く、数多くの職場実習を経験することによって、自らの適性を把握することができ、就労及び職場定着につながっています。 3 成果 平成23年度自立支援コース・共生推進教室の卒業生、保護者及び自立支援推進校・共生推進校のそつぎょうせいにアンケートをとったところ、自立支援コース生・共生推進教室生の97%が学校生活を肯定的に捉えており、保護者は100%が肯定的に捉えています。 ともに学んだ高校生も86%が良かったとしており、否定的な意見は4%でした。(10%はその他) ○平成23年度自立支援コース・共生推進教室卒業生アンケートより アンケート集計の円グラフ     自立支援コース・共生推進教室での学校生活はどうでしたか     よかった 70%   まあまあよかった27%  あまりよくなかった0%     よくなかった 0%  その他3% ○平成23年度自立支援校・共生推進校卒業生アンケートより     自立支援コース・共生推進教室が設置されている学校で学んだことをどのように感じていますか     よかった 46%   まあまあよかった40%  あまりよくなかった3%     よくなかった 1%  その他10% 61ページ (3)視覚支援学校・聴覚支援学校・支援学校について 障害(視覚障がい、聴覚障がい、知的障害、肢体不自由、病弱)のある生徒を対象に、府立視覚支援学校、府立聴覚支援学校、府立支援学校に高等部が設置されており、入学者の決定にあたっては、検査をおこなっています。また、職業学科のある知的障害高等支援学校では、入学者選抜を実施しています。(整備計画についてはP64参照) ○就労支援について * 知的障がい支援学校高等部「職業コース」 大阪府では、高等部卒業後の進路の充実のため、知的障がい支援学校高等部に、「職業コース」を設置しています。本人の状況に応じた高等部入学後の教育課程のひとつとして位置づけています。 * 職業学科のある知的障害等支援学校 就労を通じた社会的自立をめざす、職業学科のある知的障害等支援学校(たまがわ高等支援学校等)を設置しています。通学区域は大阪市内を除く大阪府全域としています。 (4)大学・専門学校等について 各大学や専門学校等においては、事前相談体制の構築・充実に努めるとともに、事前相談の時期や方法について十分配慮し、他の入学志願者に比べて不利にならないようにするなど、大学入試の改善が進められ、受験の機会が拡大されてきています。 ただし、特別措置が設けられていると言っても、入学を希望する大学や専門学校等と事前に連絡をとり、当該大学等が定めている期日までに、十分協議する必要があります。 さらに、入学した場合に必要となる条件整備等で実質的に就学が可能かどうかの判断も必要です。 なお、「全国障害学生支援センター」が、全国の主な大学に、障がいのある生徒のための入学試験情報や入学後の講義、学生生活の情報について調査した結果を「大学案内2008障害者版」にまとめています。 平成23年1月実施の大学入試センター試験から、受験特別措置の対象として、従来の視覚障がいや聴覚障害、しんたい障がい、病弱に加えて「発達障がい(自閉症,アスペルガー症候群、広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠如多動性障がいのため特別な措置を必要とする者)」が新たに加わりました。この特別措置により、集団での試験により様々な困難が予測される発達障がいのある生徒にとって、不安が軽減されることが期待されます。 主な配慮事項は次の通りです。 ・ 試験時間の延長(1.3倍)  ・ チェック解答  ・ 拡大文字問題冊子の配付(一般問題冊子と併用) ・ 注意事項等の文章による伝達 ・ 別室の設定  ・ 試験しつ入口までの付添者の同伴 〜「平成25年度大学入学者選抜 大学入試センター試験 受験特別措置案内」5受験特別措置内容一覧 【オ】発達障害 より一部抜粋 〜 62ページ これらの、受験特別措置申請に必要な書類として、「医師による診断書(発達障害関係1))と「状況報告・意見書(発達障害関係2))が必要となっています。医師の診断書に加えて、高校における定期試験等でどのような特別措置をおこなっていたかを示す具体的内容を状況報告・意見書に記載して提出することが必要条件とされています。 そして、そのエビデンス(根拠)として、可能な範囲で個別の教育支援計画や個別の指導計画の提出も求められています。つまり、高等学校における個別の教育支援計画や個別の指導計画に基づいて進められてきた具体的な配慮(例えば、定期試験等でどのような配慮や支援があれば本人の力が発揮でき、公平に評価できるのか等)の実績から、大学入試センター試験の特別措置の実施が検討されることになっています。  2.ちゅう・高等学校等からの就労について 生徒の障害の状況等や、本人及び保護者の進路に対する考え方により様々な進路選択があります。進学か就職かといった進路選択の他に、福祉的支援の活用の検討を含め、様々な意思決定や手続きが必要です。 また、進路指導においては、就労体験や職場体験などを計画的に行う必要があります。 さらに、卒業後、本人を支える最も身近な人は保護者や家族であることから、学校から情報を伝えるだけでなく、本人や保護者自身が、関係機関から直接、より専門的な情報を収集することができるよう支援する工夫も必要です。 (1)就職、就労支援施設 障がいのある生徒が就職を希望している場合は、学校所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に連絡し、連携を密にしたうえで懇談することが必要です。また、障害者職業センターでの職業評価や相談等の手続きも公共職業安定所で行うことができます。障害者職業能力開発校を希望する場合には、公共職業安定所との懇談が必ず必要です。 加えて、本人が就職を希望する場合は、公共職業安定所への求職登録が必要です。 (2)障害福祉サービス 福祉施設への入所の場合は、障害者自立相談支援センター(知的障害者更生相談所・しんたい障害者更生相談所)に相談しておく必要があります。また、知的障害者更生相談所では、最終学年であれば、進路全般について相談を受けることができます。 福祉施設の利用については、居住地の福祉事務所や市町村の障害福祉課の管轄になるため、保護者に相談を勧め、学校も当該機関と連携をとる必要があります。就職を希望する場合も今後の福祉施設の利用の可能性を考えると同様に相談した方がよいでしょう。 また、地域の事業所の状況把握については早めにおこなっておく必要があります。 3.福祉・医療・労働等の関係機関との連携について 障がいのある子どもたちが、社会の一員として、将来的に自立し、社会参加するための支援は、就学前から就学中、卒業後にいたる長期的な視点で体系的に計画されるべきものであり、教育のみならず、福祉・医療・労働等、様々な側面からのとりくみが必要となります。そのためには、日ごろから関係機関との連携が不可欠です。 また、支援にかかわる人々は、障がいのある子どもの状況やニーズなどに関する情報を共有化し、それぞれの支援が有機的につながっていくことが重要となります。 なお、「障害者基本計画」(平成14年12月)では、「障害のある子どもの発達段階に応じて、関係機関が適切な役割分担のもとに、一人一人のニーズに対応して適切な支援を行う計画(個別の支援計画)を策定して効果的な支援を行う」ことが示されています。 63ページ ○連携のイメージ図(学校を中心に連携) 1 ●保健所 府民の健康づくりをはじめ、専門的なケアが必要な未熟児、しんたい障害児、難病や精神障害に関する相談をおこなっています。 ●保健センター 主に母子保健にかかる乳幼児健康診査、保健指導や健康相談をおこなっています。 ●大阪府子ども家庭センター 子どもと家庭に関する様々な相談(障がい、保健、健全育成、非行等)をおこなっています。 ●家庭児童相談所 福祉事務所が行う相談業務のうち、子どもの成長発達や家庭内の様々な問題の相談をおこなっています。 ●障害者自立相談支援センター(知的障害者更生相談所・しんたい障害者更生相談所) 18才以上のしんたい障害者及び知的障害者の専門的な相談指導及び判定等をおこなっています。 2 ●大阪府こころの健康総合センター 思春期のこころの悩みの相談や精神科治療をおこなっています。 ●障害者歯科保健 診療施設 障害者に対する歯科診療を実施する公的医療機関 3 ●大阪府教育センター ●市町村の教育相談所 ●公立支援学校 4 ●障害者団体 ●ボランティアグループ ●NPO団体等 5 ●ハローワーク 就労に関する手続きや相談に応じます。 ●職業能力開発校 身体及び知的障害者にその能力に適応した職種についての職業能力を習得させ、職業的自立を図るとともに、産業の発展に寄与する技能者を養成します。 64ページ 情報・資料 ※このページの情報は冊子かいていじのものです。最新情報はそれぞれの要項等を参照してください。 ■ 自立支援推進校・共生推進校 一覧 1 自立支援推進校(府立高校9校・大阪市立高校2校)(平成25年度入学者選抜より) 校名 府立園芸高等学校  府立阿武野高等学校 府立くにじま高等学校 府立枚方なぎさ高等学校 府立八尾翠翔高等学校 府立西成高等学校 府立松原高等学校  府立堺東高等学校  府立貝塚高等学校 大阪市立桜宮高等学校 大阪市立東淀工業高等学校 2 共生推進校 (平成25年度より府立高校5校)(平成25年度入学者選抜より)   校名 府立ほくせつつばさ高等学校  府立千里青雲高等学校 府立あしま高等学校 府立ひらおかしょうふう高等学校 府立久米田高等学校 ■ しょう・中学部、高等部のある知的障支援学校及び職業学科のある知的障害等支援学校の整備計画 「府立支援学校施設整備基本方針」(平成21年3月策定) 平成25年度開校   摂津支援学校、とりかい高等支援学校 平成26年度開校予定 泉北・泉南地域支援学校(仮称)、泉北・泉南地域高等支援学校(仮称) 平成27年度開校予定  きたかわち地域支援学校(仮称)、きたかわち地域高等支援学校(仮称)、 中・南河内地域支援学校(仮称) ■高等学校入学者選抜 平成25年度公立高校入学者選抜の配慮事項 ○配慮事項一覧表 種類 1 学力検査時間の延長 対象者 1 点字による受検者 2 強度の弱視者で、良い方のめの矯正視力が0.15未満の者 3 たいかんの機能障害により座位を保つことができない者又は困難な者 4 両上肢機能の障がいが著しい者 5 その他、障がいの状況により、時間延長の必要があると認められる者 内容 1 各検査教科等に規定した学力検査時間の1.5倍 2から5 各検査教科等に規定した学力検査時間の約1.3倍 けんさしつ  べっしつ 種類 2 代筆解答 対象者 障害により、筆記することが不可能又は困難なため、代筆による解答を希望する者 内容 (1) 代筆解答のみ (2) 代筆解答及び学力検査時間の延長(約1.3倍) けんさしつ べっしつ 対象者 上記「代筆解答」を認められた者で、前期選抜総合学科(クリエイティブスクールを除く。)、ちゅうこういっかん選抜、後期選抜全日制総合学科(クリエイティブスクール)又は多部制単位制1・2部(クリエイティブスクール)を志願し、自己申告書の代筆を希望する者 内容 自己申告書の代筆 種類 3 かいじょしゃの配置 対象者 障がいの状況により、受検に際してかいじょが必要と認められる者 内容 (1) かいじょのみ (2) かいじょ及び学力検査時間の延長(約1.3倍) <注> かいじょの内容については、別途、高等学校を設置する教育委員会と協議する。 なお、かいじょしゃについては、検査室内に原則として中学校教諭を1名配置する。 けんさしつ べっしつ  種類 4 英語のリスニングテストのひっとうテストによる代替  対象者 原則として、両耳の聴力レベルが30デシベル以上の者で、補聴器を使用しても語音が明瞭に聞き取れない者 内容 ひっとうテストによる代替  けんさしつ リスニングテストのみべっしつ  裏表紙 大阪府 教育委員会事務局 市町村教育しつ しょうちゅう学校課 平成25年3月発行 郵便番号 5 4 0 8 5 7 1 大阪市中央区大手前2丁目 電話番号 0 6 6 9 4 1 0 3 5 1