幼児教育推進指針 平成31年4月 大阪府・大阪府教育委員会 目次 はじめに・・・1 1.基本的な考え方                [1]基本理念・・・2 [2]基本方向・・・3  (1)幼稚園・保育所・認定こども園等の教育機能の充実  (2)家庭・地域における教育力の向上 2.推進のための具体的方策            [1]幼稚園・保育所・認定こども園等の教育機能の充実・・・5  (1)教育・保育内容の充実    ア)教育・保育課程の編成    イ)教育・保育内容の取り扱いに係る留意事項    ウ)健康・安全への取組みと危機管理体制の整備    エ)障がいのある子どもに対するきめ細かな対応の推進    オ)海外から帰国した子どもや外国にルーツのある子どもの支援    カ)教員・保育士の資質向上のための研修・研究の充実    キ)自己評価等と情報提供の推進    (2)発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実・・・10    ア)幼稚園・保育所・認定こども園等と小学校の連携    イ)認定こども園制度の普及・促進    ウ)預かり保育の充実 [2]家庭・地域における教育力の向上・・・11  (1)教育コミュニティづくりの主体的な推進  (2)保護者の学習機会の充実  (3)子育て支援と相談体制の充実  (4)教育・保育を受ける権利の保障 推進にあたって・・・13 用語解説・・・14 幼児教育推進指針の概要・・・20 はじめに 近年の子どもの育ちの課題として、基本的な生活習慣や態度が身に付いていない、他者との関わりが苦手である、自制心や耐性、規範意識が十分に育っていない、運動能力が低下していること等が指摘されている。その社会的背景として、少子化、核家族化が進行する中で、子どもどうしが集団で遊びに熱中し、時には葛藤しながら、互いに影響し合って活動する機会が減少するなど、様々な体験の機会が失われていることなどの問題があると考えられる。 国においては、平成18年の教育基本法及び平成19年の学校教育法の改正、また、幼児教育に関する総合的な行動計画である「幼児教育振興アクションプログラム」や「保育所における質の向上のためのアクションプログラム」が策定され、これらを踏まえ、大阪府は平成22年に幼児教育推進指針を改訂した。その後、国において、平成27年にはすべての子どもに質の高い教育・保育、子育て支援をめざす子ども子育て支援新制度を開始し、さらに「幼稚園教育要領」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の改訂や「保育所保育指針」の改定が行われ、平成30年4月から施行された。 このような幼児教育をめぐる状況の変化を踏まえ、このたび平成14年に策定(平成22年に改訂)した幼児教育推進指針を、関係部局が連携して改訂することとした。 本指針は、幼児教育を「幼児期の子ども(以下、「子ども」という。)の教育を担う機関(幼稚園・保育所・認定こども園等)をはじめ、家庭や地域における子どもに対して行われる教育」としてとらえ、幼稚園・保育所・認定こども園等の教育機能の充実と家庭や地域の教育力の向上を図り、これからの幼児教育を一層推進していくための方向性と方策を示すものである。 今後、具体的方策の実施にあたっては、国の幼児教育施策等を踏まえ、幼児教育の主たる担い手である市町村や設置者の理解と協力を得ながら、推進するものとする。 1.基本的な考え方 [1]基本理念  幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである。子どもは、生活や遊び等の具体的な活動を通して生きる力の基礎となる心情、意欲が育ち、習慣や態度を身に付ける。人間としての発達や社会の変化に主体的に対応し得る能力の育成等を図る上で、この時期に児童期、青年期の健やかな成長・発達を実現するための基盤として、「他者への基本的信頼感」、「自律性」、「自発性」を培う必要がある。 「他者への基本的信頼感を培う」 子どもは、大人によって生命を守られ、愛され、信頼されることにより、情緒が安定するとともに、他者への信頼感を持つ。そして、身近な環境に興味や関心を持ち、自発的に働きかけるようになるなど、次第に自我が芽生える。 また、子どもは、大人との信頼関係をもとにして、子どもどうしの関係を持つようになる。この相互の関わりを通じて、身体的な発達及び知的な発達とともに、豊かな人権感覚の基礎となる自己肯定感や他人を大切にする心、生命の尊さに対する感性を育成し、基礎的な人間関係の形成に必要な資質を培っていくようになる。 「自律性を培う」 子どもは、発達状況や生活リズムにあわせて、自ら基本的な生活習慣を身に付けていこうとし、自分で自分を律することに喜びを感じ、自信を持つ。その過程を周囲の大人たちが励まし、支援することにより、子どもは活動の達成感から自分の力に対して自信を持ち、自律性を得ていくようになる。 「自発性を培う」 子どもは、様々な活動を通して自信を持つことにより、自己主張をすることができるようになり、自発性が生まれてくる。また、子ども自身の興味・関心に基づく自発的な活動が他者から肯定的に評価されることにより、自尊感情が高まり、意欲的に物事に取り組むようになる。  幼児期にこれらの力を培い、子ども一人ひとりがかけがえのない存在として尊重され、それぞれの個性や能力を活かしていくため、子どもの最善の利益を念頭に置き、発達に応じた様々な体験や多様な人との交流を一層推進していく必要がある。 そのため、子どもの育ちに直接影響を与える幼稚園・保育所・認定こども園等が、それぞれの教育機能等を高め、市町村をはじめ、地域・家庭が協働することにより、子どもの主体的な活動や豊かな育ちと学びの充実をめざすことが重要である。 [2]基本方向 (1)幼稚園・保育所・認定こども園等の教育機能の充実 幼稚園・保育所・認定こども園等は、幼児教育を担う機関としての役割を有している。教育・保育内容については「幼稚園教育要領」や「保育所保育指針」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」に基づき整合性が図られており、育みたい資質・能力の三つの柱である「知識及び技能の基礎」、「思考力、判断力、表現力等の基礎」、「学びに向かう力、人間性等」を一体的に育むよう努めるとともに、今後一層、それぞれの内容の充実を図るとともに、互いに連携して、情報や課題を共有することが重要である。 そのため、教育課程の編成及び保育の計画の作成にあたっては、「幼稚園教育要領」や「保育所保育指針」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」に示された新たな内容や留意事項を踏まえ、子ども一人ひとりが主体的に活動し、人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育むよう、教育・保育環境を構成する必要がある。加えて、園内・園外研修の充実や自己評価等の推進を図るなど、教育機能の充実に向けて取り組むことが重要である。 また、発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実に向けて、幼児期の教育から小学校教育への円滑な接続のための連携として、授業や学校行事での小学生との交流については多くの幼稚園・保育所・認定こども園等で実施されているところであるが、幼稚園・保育所・認定こども園等と小学校が「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を共有する等して、教育課程の編成及び保育の計画の作成について意見交換を行うなど今後さらなる取組みが望まれる。 (2)家庭・地域における教育力の向上  家庭は「子どもの学び・育ちの原点」である。とりわけ、子どもは、保護者の愛情を基盤とした安心感を持つことにより、他者を信じ、自分自身の生命や価値を実感することができるようになる。 しかしながら、社会の急激な変化等により、地域における人間関係の希薄化や家庭教育力の低下が問題視され、家庭教育(子育て)に不安や負担感を感じる保護者が約7割にのぼることから、あらためて、保護者が自信と責任を持って家庭教育に取り組むことができる環境を整備し、機運を醸成することが重要である。 さらに、子どもの豊かな育ちを支えるためには、社会情動的スキルやいわゆる非認知的能力を幼児期に身に付けることの重要性を踏まえ、幼稚園・保育所・認定こども園等での体験が家庭や地域での生活に活かされ、また、家庭や地域で子どもが経験したことが幼稚園・保育所・認定こども園等での生活に活かされていくことが重要である。 そのため、市町村には地域における家庭教育支援体制を構築することが求められており、府としては市町村における多様な学習・交流機会が提供されるよう支援する。 また、子どもたちの生きる力を育むとともに、学ぶ力の向上をめざして、学校・家庭・地域が一体となった「教育コミュニティ」づくりの一層の推進が必要である。幼稚園・保育所・認定こども園等は、地域における幼児教育機能としての役割や子育て家庭を支援する拠点としての役割を担うという観点から、子育て相談や園庭開放等、保護者の育ちの場と地域における交流の場としての機能を高めていくことが重要である。 その際、幼稚園・保育所・認定こども園等は、家庭や市町村、保育や子育て支援に関わる地域の機関及び団体と密接な連携・協力を図り、地域の自然、人材、行事、施設などの資源を積極的に活用し、子どもの生活体験がより充実したものとなるよう配慮することが求められる。 2.推進のための具体的方策 [1]幼稚園・保育所・認定こども園等の教育機能の充実 (1)教育・保育内容の充実 子どもは、生活の中で、自分の興味や欲求に基づいた直接的・具体的な体験を通して、人格形成の基礎となる、豊かな心情、物事に自分から関わろうとする意欲や健全な生活を営むために必要な態度が培われる。 このため、幼児期から児童期、青年期へと続く子どもの長期的な発達を見通し、子どもの豊かな心や生きる力の基礎を培うため、幼稚園、保育所、認定こども園、学校、家庭、地域等の協働により総合的に幼児教育を充実していくことが求められている。 府としては、教育・保育内容の充実のために、関係部局が連携しながら、幼児教育センターを拠点とし、幼児教育アドバイザーの育成や教職員に対する研修機会の充実などを通じて、幼児教育の質の向上を図るとともに、各市町村の取組みについて、情報収集し、協議会、研修会等を通して情報提供に努める。 ア)教育・保育課程の編成 「幼稚園教育要領」や「保育所保育指針」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」は、幼児教育の質の向上に向けて、教育・保育内容の整合性が図られた。教育課程の編成及び保育の計画の作成にあたっては、子どもの人権に十分配慮するとともに、一人ひとりの人格を尊重し、幼児教育の目標に照らして幼児期にふさわしい生活が展開されるよう、遊びを通しての総合的な指導や一人ひとりの特性に応じた指導を重視しなければならない。 イ)教育・保育内容の取り扱いに係る留意事項 「体力向上の基礎を培う取組み」 生涯にわたって、健康を維持し、積極的な学習活動や社会的活動に取り組み、豊かな生活を送るために、幼児期においては、自ら体を動かそうとする意欲を育てることが重要である。 そのため、幼児期に見通しをもって行動できるよう基本的な生活習慣を身に付けるとともに、体を動かす機会や環境を充実させ、子どもが十分に体を動かす気持ちよさを体験し、習得しておくことが望ましい基本的な動作(走る、跳ぶ、投げる等)や安全についての理解を深め、危険回避能力を身に付けるための取組みの推進が求められている。 「食に関する取組み」 子どもが豊かな人間性を育み、生きる力を身に付けていくために、子どもの健康を支える基盤となる「食」は大変重要である。そのため、幼児期における望ましい食習慣の定着を図る、「食」に関する取組みを積極的に進めていくことが求められる。 その際、幼稚園・保育所・認定こども園等と家庭が連携し、食べることの喜びや楽しさを味わい、食の大切さに気付き、食べることを楽しむ気持ちを育成することが重要である。 また、こうした取組みを進めるにあたっては、健康でいきいきとした生活を送る基礎となる「食を営む力」を培うことを目標とし、食育に関する計画や環境を整え、食物アレルギーや障がい等の配慮を含めた一人ひとりの子どもへの対応に留意して実施しなければならない。 さらに、保護者が「食」の重要性を理解し、食事を作ることや、子どもと一緒に食べることに喜びを持てるよう、食に関する体験や相談・助言の機会を提供することが望まれる。加えて、地場農産物を給食で使用するなど身近な農産物を活用することは、食の大切さを感じる契機となることから、地産地消の取組みを進めることも望まれる。 「協同する経験を重ねる取組み」 同年齢や異年齢の子どもに認められる体験をし、自分のよさや特徴に気付き、自信をもって自ら行動できるようにするとともに、子どもが互いに関わりを深め、他の子どもと試行錯誤しながら活動を展開する楽しさや共通の目的が実現する喜びを味わうことができるようにすることが重要である。 そのため、教員・保育士は子どもそれぞれの人との関わりにおける経験の違いを把握して、適切な援助を行うことが大切である。 「規範意識の芽生えを培い育てる取組み」 幼稚園・保育所・認定こども園等では、集団生活を通して、子どもが他者との関わりを深めることによって規範意識が芽生える。このことを考慮し、子どもが教員や保育士との信頼関係に支えられて自己を発揮する中で、互いに思いを主張し、折り合いを付ける体験をし、きまりの必要性等に気付き、自分の気持ちを調整する力が育つようにすることが重要である。 「思考力を育てる取組み」 子どもは、遊びの中で周囲の環境と関わり、しだいに周囲の世界に好奇心を抱く。試行錯誤を行う中で、物事の法則性に気付き、自分なりに考えることができるようになる過程を大切にする必要がある。特に、他の子どもの考え等に触れ、新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい、自らの考えをよりよいものにしようとする気持ちが育つようにすることが重要である。 「言葉による伝え合いを大切にする取組み」 言葉は、身近な人に自分の感情や意志等を伝え、それに相手が応答し、その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていくものである。子どもが自分の思いを言葉で伝えたり、言葉に対する感覚を豊かにし、教員・保育士や他の子ども等の話を興味を持って注意して聞くなど、言葉による伝え合いができるようになることが重要である。 そのために、教員・保育士は子どもどうしが関わる機会を増やし、自らが相手の話の内容を理解したいという気持ちが持てるように、話の内容や話を聞く場の環境の構成を工夫することが望まれる。   ウ)健康・安全への取組みと危機管理体制の整備 子どもの生命と心の安定が保たれ、健やかな生活が確立されることは、日々の保育における基本となるため、一人ひとりの子どもの健康状態、発育及び発達状態に応じて、心身の健康の保持増進を図り、危険な状態の回避等に努めるとともに、疾病等への対応を踏まえ、保育する必要がある。その際、子ども自らが、健康と安全に関する技術を身に付け、心身の健康増進と健やかな生活を確立していくことが大切である。 また、疾病予防については、一人ひとりの子どもの状態に応じて、進めていくことが必要であり、保護者が子どもの疾病について理解を深めるとともに、感染予防に心がけるために、適切な情報を伝え、啓発していくことが大切である。また、子どもの発達の特性や発達過程を踏まえ、起こりやすい事故を想定し、事故防止に努めることが求められる。 さらに、防犯・安全対策や感染症対策等の危機管理体制を確立し、子どもが安心して保育を受けられる環境の整備に努める必要がある。 エ)障がいのある子どもに対するきめ細かな対応の推進 学校教育法の改正により、幼稚園において、障がいのある子どもに対して障がいによる学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うことが規定された。また、「幼稚園教育要領」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」においても、障がいのある子どもについて、集団の中で生活することを通して全体的な発達を促すことに配慮することや、長期的な視点で子どもへの教育的支援を行うために、個別の教育支援計画を作成し活用することに努めるとともに、個々の子どもの実態を的確に把握し、個別の指導計画を作成し活用することに努めるものとされた。更に、保育所についても、 平成29年に公示された「保育所保育指針」において、障がいのある子どもに対して、子どもの状況に応じた保育を実施する観点から、家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなど適切な対応を図ることとした。 そのため、「ともに学び、ともに育つ」教育のより一層の推進に向け、家庭や医療、福祉等の関係機関と連携し、幼稚園・保育所・認定こども園等において、乳幼児期から学校卒業後までを見据えた、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を作成する必要がある。更に、これを日々の教育・保育で活用するなどして、障がいのある子ども一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな支援の充実を図るため、適切な合理的配慮を提供するとともに、障がいのある子どもが入園した際には、周りの子どもとよい出会いを築き、子どもどうしをつないでいくことも必要である。 また、すべての障がいのある子どもに対して、一人ひとりの指導や支援の連続性を確保し、就学前から義務教育段階へのスムーズな移行に資するため、幼稚園、保育所、認定こども園等と小学校等との連携を、より一層深めることが大切である。 障がいが重度・重複化、多様化している状況を踏まえ、幼稚園・保育所・認定こども園等においては、障がいに対する職員の理解を深めるための研修の充実、専門家による巡回相談の活用、また市町村においては、教育、医療、保健、福祉等の関係部局や関係機関による協力体制の構築を図るとともに、特別支援教育支援員の配置等、園所内における支援体制の整備に努めることにより早期からの一貫した支援が行われることが重要である。 オ)海外から帰国した子どもや外国にルーツのある子どもの支援 海外から帰国した子どもや生活に必要な日本語の習得に困難のある子どもについては、安心して自己を発揮できるよう配慮するなど、個々の子どもの実態に応じ、指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うことが必要である。 また、外国にルーツのある子どもの教育・保育については、異なる文化・習慣・価値観等を持った人々がそれぞれのアイデンティティを保ちながらともに生きる社会の実現をめざし、一人ひとりの子どもが自分のルーツを大切に思うことができるよう環境づくりを進めるとともに、周りの子どももそのことを理解できるよう互いに認め合う機会をもつことが重要である。 カ)教員・保育士の資質向上のための研修・研究の充実 幼児教育においては、教員・保育士が子どもを大切に思い、日頃から子どもと心が通い合うようにすることが大切である。また、子どもや保護者にかかわっていくためには教員・保育士に対して専門性が求められ、自ら資質向上に努める必要がある。 そのため、幼稚園・保育所・認定こども園等においては、日常の課題、子どもの育ちや背景の理解、人権の尊重について定期的・継続的に協議する体制づくりを行い、研修・研究を充実させるとともに、市町村においては、その環境整備に努める必要がある。 府としては、幼児教育センターを拠点とし、子どもへの理解を深め、子どもの人権を大切にする教育・保育の実践力の向上と、様々な人権問題について正しい理解と認識を深めることを目的とした研修を今後も関係部局が連携して実施していく。実施にあたっては、その内容及び参加体験型等の研修方法の充実に取り組むとともに、幼児教育等に取り組む機関が実施する研修への参加について、より広く情報提供し、教員・保育士の主体的な研修参加を促進する。 幼児教育センターにおいては、「研修」、「調査研究」、「情報提供」の3つの機能を果たし、大阪府域内の幼児教育の質の向上を図る。また、教育センターのカリキュラムNAViプラザでは、指導法等についての相談への対応や情報提供、教職員の自主的・主体的な研修活動の奨励・支援、特色ある実践について、情報収集及び成果の普及を行うなど、教職員の教育活動を支援する。 キ)自己評価等と情報提供の推進 幼稚園・保育所・認定こども園等においては、教育・保育の水準の維持・向上のため、子どもの健やかな成長を育む観点から、自己点検・自己評価を充実するとともに、保護者や地域への情報提供に取り組むことが求められている。 これらの評価を行うにあたって幼稚園・認定こども園等では、園長等の方針の下に、園務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ、相互に連携しながら、教育課程や指導の改善を図るものとする。また、各園所等が行う評価については、教育課程の編成、実施、改善が教育活動や運営の中核となることを踏まえ、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各園所等の教育活動の質の向上を図っていくこと(カリキュラム・マネジメント)と関連付けながら実施するよう留意するものとする。保育所等では、保育の計画に基づく保育、保育の内容の評価及びこれに基づく改善という一連の取組みにより、保育の質の向上が図られるよう、全職員が共通理解をもって取り組むことに留意するものとする。実施にあたっては、保護者アンケート等の結果を考慮し、重点的に取り組むべき目標や計画を具体的かつ明確に定めることが必要となる。さらに、学校関係者評価の実施とその結果の公表・説明により、幼稚園・保育所・認定こども園等と家庭・地域の連携協力による園所づくりを進めることが望まれる。 また、保育所は、保護者とのパートナーシップのもとで、子どもの健やかな育ちを保障し、より良い保育を展開していくために、自らの保育実践について多様な視点で振り返ることが求められる。また、自己評価に積極的に取り組むことにより、組織的・継続的により良い保育を作り上げていく必要がある。 (2)発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実 子どもの生活の連続性、発達や学びの連続性を踏まえ、遊びを中心とした具体的な活動から学ぶ幼児期の教育から、教科学習が中心の小学校以降の教育への円滑な移行をめざすために、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえ、幼稚園・保育所・認定こども園等と小学校との連携を強化しながら双方の教育の質の向上を図る必要がある。 ア)幼稚園・保育所・認定こども園等と小学校の連携 子どもが小学校生活に期待感を持ち、一人ひとりが活き活きと自分らしさを発揮できるようにするために、小学校における子どもの体験入学や、小学生と一緒に遊ぶ等の交流についても促進する必要がある。  また、教員・保育士による合同の研修会、保育参観や授業参観等の交流を行い、情報の共有やそれぞれの教育課程、保育課程についての理解を深めることが必要である。 そのため、市町村においては、これら相互の連携がより円滑に展開されるように、幼児教育の振興に関する協議機関を設置することが求められている。 府としては、幼児教育センターを拠点とし、幼児教育に関する様々な課題について調査・研究を行い、幼稚園・保育所・認定こども園・小学校等の取組みの充実を図り、小学校への円滑な接続を促進していく。 なお、「幼稚園幼児指導要録」や「保育所児童保育要録」、「幼保連携型認定こども園園児指導要録」、「認定こども園こども要録」については、発達や学びの連続性を確保するために、有効に活用することが大切である。 イ)認定こども園制度の普及・促進 認定こども園は、就学前の子どもに対し幼児教育・保育を一体的に提供するとともに、地域における子育て支援の取組みを充実させる新たな選択肢として導入された制度であり、その特性を活かした取組みを進めることが重要である。 また、様々な家庭環境の教育・保育の課題への対応や、地域における多様な保育のニーズに対応することが期待されることから、教員・保育士の資質の向上、地域の子育てに関する人材の育成に努めることが求められている。 府としては、子ども・子育て支援新制度に関する国の動向も注視しつつ、既存の認定こども園での取組み内容や、利用者の動向も踏まえ、市町村と連携しながら引き続き認定こども園制度の周知と普及・促進に努める。 ウ)預かり保育の充実 幼稚園における預かり保育については、地域の実態や保護者の要請により教育課程に係る教育時間の終了後等に、希望する者を対象に行う教育活動である。預かり保育の実施は、待機児童の抑制にも寄与するものであり、設置者が、保護者のニーズや各園、市町村の状況を踏まえて推進することが望まれており、その支援策の拡大が図られてきたところである。 預かり保育を行う際は、異年齢の子どもと遊んだり、高齢者を含む地域の人々と交流したり、家庭や地域で体験する子どもの健やかな成長には大切なことであることを踏まえ、預かり保育の計画を作成することが大切である。また、家庭との緊密な連携、地域の実態や保護者の事情とともに子どもの生活のリズムも踏まえた実施日数や時間等の弾力的な運用、適切な指導体制の整備に努め児童の福祉の向上を図る必要がある。   [2]家庭・地域における教育力の向上 (1)教育コミュニティづくりの主体的な推進 市町村や学校・園所等、その他の行政機関、地域の住民等、「教育コミュニティ」づくりに関わるすべての人が主体的に取り組んでいくことができる組織・体制づくりが大切である。とりわけ「教育コミュニティ」への幼稚園・保育所・認定こども園等の参画を促進し、多様な地域住民や団体等とのネットワークを拡大することで、概ね0歳から15歳までの子どもを対象とした、地域の子どもを地域で育てる取組みを推進することが重要である。 (2)保護者の学習機会の充実 保護者が自らの役割に気づき、それを果たせる環境を醸成するため、幼稚園・保育所・認定こども園等が、地域の子育て(家庭教育)支援の拠点としての機能を持つとともに、市町村には地域における家庭教育支援体制を構築することが求められている。 そのため、幼稚園・保育所・認定こども園等においては、親学習を始めとする子育てなどに関する各種講座の開催や相談事業等の取組みを充実していくことが重要である。 府としては、親学習のさらなる実施促進を図るなど、市町村における家庭教育(子育て)に関する多様な学習機会・交流機会の拡充を支援する。また、「家庭教育手帳」をホームページに掲載するなど、子育てに関わる情報の提供も行う。加えて、市町村に対して、地域における家庭教育(子育て)支援のネットワークの拡大・充実を図るため、関係機関等との連携・協働による支援体制づくりに関わる効果的な事例の情報提供を行う。   (3)子育て支援と相談体制の充実 保護者の気持ちを受け止めつつ、安定した親子関係や養育力の向上をめざして幼稚園・保育所・認定こども園等においては、園庭開放や子育て相談の実施等、日常的な子育て相談や支援の取組みを推進するとともに、幼児教育に関する情報交換の場の提供や行事の工夫等により、保護者どうしの交流や、子どもと大人との交流活動を充実する必要がある。 相談体制については、今後も府、市町村、設置者、関係団体がそれぞれの役割を確認しつつ、連携・協力しながら、地域の子育て支援に関する施策等を活用し、地域の課題に応じた支援体制を構築することで、子育てしやすい地域づくりを行っていく必要がある。 府としては、私立幼稚園等におけるキンダーカウンセラーの配置や私立の保育所における、「育児相談員」の配置を支援し子育てに関する相談体制の充実に努めるとともに、地域の関係機関への連携強化を図っていく。 また保育士については、地域の子育て家庭への相談活動に加えて、その活動内容を高齢者や障がい者などに関するものにまで広げ、子育て支援の充実や、児童・地域福祉の一層の向上のため「地域貢献支援員(愛称:スマイルサポーター)」として府が認定し、その活動を促進することにより、地域に対する相談体制の充実に努める。 (4)教育・保育を受ける権利の保障 全ての人々が社会に主体的に参加できるようにするために、全ての子どもに教育・保育の機会均等の実現を図り、生涯学習の基礎となる生きる力を育むことが必要である。 そのために、法の下の平等、個人の尊重という普遍的な視点に立つとともに、女性、子ども、障がい者、同和問題(部落差別)、在日外国人等の固有の課題についてそれぞれの状況に即した教育・保育の実現を図ることが必要である。 また、近年の子どもを取り巻く人権の課題として、児童虐待や子どもの貧困問題があげられ、児童虐待の背景の一因として、貧困や保護者の社会的孤立などが考えられる。 平成26年「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の施行および「子どもの貧困対策に関する大綱」の閣議決定では、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る子どもの貧困対策がきわめて重要であることが示されている。平成27年3月に策定した「大阪府子ども総合計画」においても「子どもの貧困対策計画」を事業計画の一つとしている。 そのため、全ての子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会の実現をめざし、スクールソーシャルワーカーの活用や福祉との情報共有など、関係機関と連携した、子どもの貧困対策を総合的に推進する必要がある。 推進にあたって 児童期、青年期の健やかな成長と発達を実現するための基盤として、幼児教育は重要であり、幼稚園・保育所・認定こども園等をはじめ、家庭や地域の教育力を充実していくための取組みを推進することが求められている。 とりわけ、幼児教育の主たる担い手である市町村には、公私立連絡協議会や関係部局及び有識者を含む幼児教育の関係者からなる審議会等の協議機関を設置し、地域における幼児教育の推進体制を構築することが求められており、教育保育内容や指導方法・環境の改善に向け、多様な学習・交流機会が提供されることが望まれている。そのため、市町村は子ども・子育て支援新制度に基づき、職員の配置や処遇改善等を通じた、幼児教育・保育・子育て支援の更なる質の向上を推進するとともに、それぞれの実態に応じて施策を講じ、幼児教育アドバイザーを活用し、園内外の研修の充実を通して幼児教育の質の向上を図ることが重要である。その際、教育委員会と首長部局が連携し、公私の別や施設種を超えて、幼児教育アドバイザーの活動がより充実したものとなるよう配慮することが求められる。 府としては、このような市町村の取組みをさらに推進し、幼児教育の充実に努めるとともに、本指針についても幼児教育に関する状況や大阪府子ども総合計画及び大阪府教育振興基本計画の進捗状況を踏まえ、随時見直しを行う。 用語解説 1.幼稚園教育要領 文部科学省が示す幼稚園の教育課程の基準。平成20年改訂後、平成29年3月31日学校教育法施行規則改正とともに、改訂を公示し、平成30年4月1日から施行。今回の改訂では、「環境を通して行う教育」を基本とすることは変わらないとしつつ、育みたい資質・能力を明確化、小学校教育との円滑な接続、幼児理解に基づいた評価の在り方、特別な配慮を必要とする幼児への指導などが総則で追記された。 2.保育所保育指針 保育所における保育内容や運営等について定めたもの。平成21年の改定後、「保育所保育指針の改定に関する議論のとりまとめ」(平成28年12月21日)を受けて、新たに公示され、平成30年4月1日より適用。改定の内容として、3歳未満児の保育に関する記載の充実、保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ、健康及び安全の記載の見直し、保護者・家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性、職員の資質・専門性の向上が盛り込まれた。 3.幼保連携型認定こども園教育・保育要領 幼保連携型認定こども園の教育課程その他の教育及び保育の内容に関する事項を定めたもの。平成27年4月施行後、数年の実践によって得られた知見と幼稚園教育要領と保育所保育指針の改正内容に反映させるべく、平成29年3月内閣府・文部科学省・厚生労働省告示第1号をもって改訂を公示、平成30年4月1日施行。改訂の内容として、幼稚園教育要領と保育所保育指針との整合性が図られ、教育と保育が一体的に行われることが、教育・保育要領全体を通して明示された。 4.教育コミュニティづくり 教育や子育てに関する課題を学校、家庭、地域の団体・グループ等が共有し、課題解決に向けた協働の取組みを通じて、新たな人のつながりをつくり出すもの。府では、平成12年度から地域教育協議会や学校支援地域本部などの体制づくりを推進し、地域と学校のパートナーシップに基づく「連携・協働」の活動として「教育コミュニティ」づくりに取り組んできた。平成29年3月に改正された社会教育法で位置づけられている「地域学校協働活動」は、これまで府が取り組んできた「教育コミュニティ」づくりに含まれる活動である。 5.園庭開放 幼稚園や保育所・認定こども園における、子育て支援活動の一環として保護者と子どもを対象に、園庭を開放し、子どもの遊び場、保護者どうしの交流の場とするもの。 6.地産地消の取組み 地産地消とは、地元でとれた農産物(「地産」)を、その地域で消費する(「地消」)ことをいう。作る人の顔が見え、新鮮で安全な農林水産物を消費者に届けることができるほか、農のある地域環境の保全意識を高めることができることから、全国的にも「地産地消運動」が広がりつつある。     7.個別の教育支援計画 障がいのある子ども一人ひとりのニーズを正確に把握し、中・長期的な観点で乳幼児期から学校卒業後までを見据えて、関係機関と連携を図りつつ、一貫して的確な支援を行うことを目的として作成する計画。 8.個別の指導計画 障がいのある子ども一人ひとりの障がいの状態等に応じたきめ細かな指導が行えるよう、幼稚園、学校等における教育課程や指導計画、障がいのある子ども一人ひとりの個別の教育支援計画等をふまえて、学期ごと又は年間の具体的な指導目標や内容・方法等を盛り込んだ計画。 9.専門家による巡回相談 教育委員会の職員、教員、心理学の専門家、医師等の専門家が、各学校を巡回して教員等に指導内容や方法に関する指導・助言(障がいのある子どもについての個別の教育支援計画及び個別の指導計画に関する助言を含む。)を行うもの。 10.特別支援教育支援員の配置 特別支援教育支援員とは、障がいのある子どもに対する幼稚園等・学校生活上の介助や学習活動上の支援などを行う職員をいう。特別支援教育支援員の配置については、国において、平成19年度から地方交付税による財政措置がなされており、平成21年度からは障がいのある子どもへの支援体制の構築のため、公立小・中学校に加え公立幼稚園まで財政措置が拡充されている。 11.カリキュラムNAViプラザ(愛称:カリナビ) 教員の自主的・主体的研修の奨励・支援などを目的とし、授業力アップ等のための相談、授業実践等の教材化・普及などの支援体制を整備するとともに、教職をめざす学生に対する相談・支援等を行う。平成19年4月に大阪府教育センターに開設。 12.学校評価  幼稚園における学校評価については、平成19年の学校教育法及び学校教育法施行規則の改正により自己評価・学校関係者評価の実施・公表、評価結果の設置者への報告に関する規定が新たに設けられた。 【自己評価】・・・各学校の教職員が行う評価 【学校関係者評価】・・・保護者、地域住民等の学校関係者等により構成された評価委員会等が、自己評価の結果について評価することを基本として行う評価 【第三者評価】・・・学校と直接関係を有しない専門家等による客観的な評価。教育活動等の成果を検証し、学校運営の改善と発展を目指すもの   保育所における自己評価については、平成21年度保育所保育指針の改定において新たに努力義務として定められたものである。また、関係者評価のシステムは導入されていないが、大阪府が認証した評価機関による第三者評価については、平成17年度から実施されている。   13.幼稚園幼児指導要録 幼児の学籍並びに指導の過程とその結果の要約を記録し、その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿となるもの。幼稚園教育要領及び特別支援学校幼稚部教育要領の改訂に伴い、小学校等における児童の指導に生かされるよう、最終学年の記入にあたって「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を活用することに留意するよう要録の改善要旨が示された。 14.保育所児童保育要録 保育所と小学校との連携を図るためのひとつの方法として示された保育所から就学先の小学校に送付される子どもの育ちに関する資料。平成30年4月1日より適用される保育所保育指針において、保育所と小学校の連携に関し、最終年度の記載にあたり「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を活用することに留意するよう要録の改善要旨が示された。 15.幼保連携型認定こども園園児指導要録 園児の学籍並びに指導の過程及びその結果の要約を記録し、その後の指導及び外部に対する証明などに役立たせるための原簿となるもの。平成29年幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂に伴い、小学校等における児童の指導に生かされるよう、最終学年の記入にあたって「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を活用することに留意するよう要録の改善要旨が示された。 16.認定こども園こども要録 幼保連携型以外の認定こども園における、園児指導要録に相当する資料。認定こども園の諸類型により、「幼保連携型認定こども園園児指導要録」、「幼稚園幼児指導要録」、「保育所児童保育要録」を読み替える等して作成することとされている。 17.認定こども園制度 幼稚園の機能と保育所の機能を併せ持ち、保護者が働いている、いないにかかわらず教育・保育を一体的に受けられる制度。また、子どもを育てているすべての家庭が子育て支援などの支援を受けられる。認定こども園における幼稚園幼児指導要録及び保育所児童保育要録に相当する資料として「認定こども園こども要録」がある。 18.預かり保育(教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動) 通常の教育時間の前後や長期休業期間中などに、地域の実態や保護者の要請に応じて、幼稚園や当該幼稚園の園児のうち、希望者を対象に行う教育活動。平成27年より適用の「一時預かり事業の実施について」が一部を改正され、平成30年4月1日より、「子育て安心プラン」に基づき幼稚園における満3歳未満の受け入れについて新設、3歳から5歳児に対する預かり保育の長時間化等を推進するための補助の拡充が盛り込まれた。 19.親学習 子育て中の保護者を対象とした「親としての心構えや、子どもと接する時に大切にすること等を主体的に学ぶ学習」や、親への準備期としての小学生から高校生を対象とした「親と子の関係や親となることについて考える学習」等をいう。 20.地域学校協働活動 地域の高齢者、成人、学生、保護者、PTA、NPO、民間企業、団体・関係機関等の幅広い地域住民等の参画を得て、地域全体で子どもたちの学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」をめざして、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う様々な活動。平成29年3月の社会教育法の改正により法律に位置づけられた。 21.家庭教育手帳 乳幼児期から中学生の子どもを持つ保護者に向けて文部科学省が作成しているもので、家庭での教育やしつけに関して、それぞれの家庭で考えるべきことをまとめたもの。平成20年度版までは冊子として配布していたが、平成21年度以降は、大阪府のホームページ(地域教育振興課のページ)に掲載し、ダウンロードができるようになっている。 22.キンダーカウンセラー事業 私立幼稚園等において、臨床心理士など臨床心理に関して知識・技術を有するカウンセラーが、地域の方々から子育てなど様々な相談を受け、アドバイスを行なう事業。大阪府では、私立幼稚園等と家庭・地域との連携事業として、平成15年度から全国に先駆けてキンダーカウンセラー事業を実施する私立幼稚園等を支援している。 23.育児相談員 平成10年度に創設された大阪府「育児相談員」制度により認定証を交付された者で、地域の子育て家庭等に対し育児相談等を行うことにより子育て支援を行う。認定証交付の要件としては、保育所勤務経験が5年以上の者で一定の研修をすべて修了した者。 24.地域貢献支援員(愛称:スマイルサポーター) 平成21年度に新設された「地域貢献支援員(愛称:スマイルサポーター)」制度により府知事から認定証を交付された者で、地域の子育て家庭への相談活動に加えてその活動内容を高齢者や障がい者等に関するものにまで広げ、子育て支援の充実や地域の関係機関との連携強化を図る。認定証交付の要件としては、「育児相談員」のうち、一定の研修を修了した者。 25.幼児教育センター 都道府県等が広域に、幼児教育の内容・指導方法等に関する調査研究、幼稚園教諭・保育士・保育教諭や幼児教育アドバイザーに対する研修機会の提供 (幼児教育アドバイザー候補者の育成を含む)や相談業務、市(区)町村や幼児教育施設に対する助言・情報提供等を行う地域の拠点のこと。 26.幼児教育アドバイザー 府が幼児教育アドバイザー育成研修の受講により認定し、幼児教育の専門的な知見や豊富な実践経験を有し、域内の幼児教育施設等を巡回、教育内容や指導方法、環境の改善等について指導を行う者のこと。 幼児教育推進指針の概要 【基本理念】 児童期、青年期の健やかな成長・発達を実現するための基盤として幼児期に「他者への基本的信頼感」「自律性」「自発性」を培う 【基本方向】 幼稚園・保育所・認定こども園等の教育機能の充実 家庭・地域における教育力の向上 【推進のための具体的方策】 [1]幼稚園・保育所・認定こども園等の教育機能の充実 (1)教育・保育内容の充実 ア)教育・保育課程の編成 イ)教育・保育内容の取り扱いに係る留意事項 「体力向上の基礎を培う取組み」 「食に関する取組み」 「協同する経験を重ねる取組み」 「規範意識の芽生えを培い育てる取組み」 「思考力を育てる取組み」 「言葉による伝え合いを大切にする取組み」 ウ)健康・安全への取組みと危機管理体制の整備 エ)障がいのある子どもに対するきめ細かな対応の推進 オ)海外から帰国した子どもや外国にルーツのある子どもへの支援 カ)教員・保育士の資質向上のための研修・研究の充実 キ)自己評価等と情報提供の推進 (2)発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実 ア)幼稚園・保育所・認定こども園等と小学校の連携 イ)認定こども園制度の普及・促進 ウ)預かり保育の充実 [2]家庭・地域における教育力の向上 (1)教育コミュニティづくりの主体的な推進 ・教育コミュニティへの幼稚園・保育所・認定こども園等の参画を促進 ・地域のこどもを地域で育てる取組みの推進 ・地域が学校を支援する取組みを進めるため、地域学校協働活動の促進 (2)保護者の学習機会の充実 ・幼稚園・保育所・認定こども園等が行う各種講座や相談事業等の  充実 ・市町村における家庭教育(子育て)に関する多様な学習・  交流機会の拡充 ・地域における家庭教育(子育て)支援のネットワークの拡充 (3)子育て支援と相談体制の充実 ・園庭開放や子育て相談の実施など、日常的な子育て相談  や支援の取組みの推進 ・保護者どうしの交流や、子どもと大人との交流活動の充実 (4)教育・保育を受ける権利の保障 ・児童虐待や子どもの貧困問題に対する、必要な環境整備と教育  の機会均等を図る子どもの貧困対策 ・スクールソーシャルワーカーの活用や福祉との情報共有、関係機  関と連携など、子どもの貧困対策を総合的に推進 【推進にあたって】 幼児教育の主たる担い手である市町村での、地域の実情に応じた取組みの推進 ・公私立連絡協議会や審議会などの協議機関の設置 ・市町村の幼児教育プログラム等の策定や見直し 等 2014 大阪府もずやん 大阪府幼児教育センター (大阪府教育センター 教育庁市町村教育室小中学校課 教育庁私学課 福祉部子ども室子育て支援課) 〒558−0011 大阪市住吉区苅田4丁目13番23号 大阪府教育センター内 TEL 06(6692)1882(代表) / FAX 06(6692)1898 / URL http://wwwc.osaka-c.ed.jp/oyk-c/