第1章 計画策定の意義   第1節 計画策定の趣旨 第1項 策定の趣旨 わが国の高齢化は、世界に例を見ない速度で進行しており、世界のどの国もこれまで経験したことのない高齢社会を迎えようとしています。 また、大阪府では、今後、全国平均を上回るペースで高齢化が進展し、平成26年には、府民のほぼ4人に一人が65歳以上の高齢者になると予測されています。 こうした中、平成18年の医療制度改革により、高齢者の療養病床が平成23年度を目途に再編成されることとなり、また、平成20年4月から「高齢者の医療の確保に関する法律」が施行され長寿医療制度(後期高齢者医療制度)がスタートするなど、高齢者保健福祉行政を取り巻く状況は大きな転換期を迎えています。 府では、介護保険制度がスタートして以降、三次にわたり高齢者計画を策定し、介護サービスや高齢者保健福祉サービスの具体的な目標量等を定め、関係機関との連携のもと介護保険制度や保健福祉施策の推進に努めてきました。 今後は、高齢者人口の急増に伴う要介護・要支援認定者の大幅な増加、少子化の進展による地域社会の担い手の減少と認知症高齢者や一人暮らし高齢者世帯等の増加といった課題に対応し、誰もがその個性に応じて主体的に暮らすことができる「明るく活力ある高齢社会」を築いていくためには、高齢者が生きがいに満ちた生活を続けることができる仕組みや高齢者の暮らしを地域社会全体で支える体制を整備していく必要があります。 こうした認識のもと、基本的に現行計画の理念や考え方を引き継ぐとともに、平成20年1月に策定した「大阪府地域ケア体制整備構想」が示す施策方向性と整合を図りつつ、平成26年度の目標の達成に向け、すべての高齢者がその個性に応じて主体的に生活をおくることができる「明るく活力ある高齢社会」を築いていけるよう、平成21年度から平成23年度までを計画期間とする「ふれあいおおさか高齢者計画2009」を策定しました。 第2項 計画の性格、法的位置づけ (1)老人保健福祉計画及び介護保険事業支援計画 老人福祉法に定める老人福祉計画は市町村域を越えた広域的な見地から老人福祉事業の供給体制の確保に関して定めることとされており、介護保険事業支援計画は介護保険法に基づき介護保険事業にかかる保険給付の円滑な実施の支援に関して定めることとされています。 また、2つの計画には、高齢者が安心して生活をおくることを確保するという共通の目的があり、相互に連携を図りながら施策を推進することが有効であることから、これらを一体のものとして作成することとされています。 なお、これまで上記2計画とともに策定していた老人保健計画は、平成18年の老人保健法改正(高齢者の医療の確保に関する法律)により策定の義務はなくなりましたが、本計画では、医療等以外の老人保健事業を含む健康増進事業の供給体制の確保とあわせ、従来どおり老人保健福祉計画として定めることとし、高齢者保健福祉サービスや介護サービスをはじめ、その他の関連施策も包含し「ふれあいおおさか高齢者計画2009」を策定しました。 【根拠法令の抜粋】 老人福祉法 (都道府県老人福祉計画) 第20条の9第1項には、都道府県は、市町村老人福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、老人福祉事業の供給体制の確保に関する計画(以下「都道府県老人福祉計画」という。)を定めるものとする。 第20条の9第4項には、都道府県老人福祉計画は、介護保険法第118条第1項 に規定する都道府県介護保険事業支援計画と一体のものとして作成されなければならない。 介護保険法 (都道府県介護保険事業支援計画) 第118条第1項には、都道府県は、基本指針に即して、3年をいっきとする介護保険事業にかかる保険給付の円滑な実施の支援に関する計画(以下「都道府県介護保険事業支援計画」という。)を定めるものとする。 【老人保健福祉計画及び介護保険事業支援計画の関係】  ふれあいおおさか高齢者計画2009の中では、介護保険事業支援計画の、介護サービス量の見込み及び供給体制の確保方策、及び介護サービスの円滑な提供を図るための方策と老人保健福祉計画の高齢者保健福祉サービスの目標量及び供給体制の確保方策の連携を図ることとしています。     (2)市町村計画と府計画 市町村計画は、それぞれの地域における高齢者のニーズや保健・医療・福祉サービス基盤の状況等に基づき、高齢者保健福祉サービスの目標量や介護サービス量の見込みを定めるものです。 一方、府計画は市町村における目標量や見込みをもとにして、広域的な観点から施設整備、人材の養成・確保、介護サービス情報の公表等サービスの円滑な提供を図るために必要な体制の整備について定めるものです。 府では、市町村計画策定に際しての留意点をまとめた「市町村高齢者保健福祉計画策定指針」(平成20年8月)を示し、市町村計画と府計画との整合を図っています。 第2節 計画の基本理念 この計画においては、ぜん計画の考えかたを基本的に継承しつつ、「人権尊重の社会のもと、高齢者が個性と主体性を発揮し、社会の重要な一員として住み慣れた地域で自立した生活をおくれるよう、特に、高齢者の尊厳の保持に配慮しながら支援すること」を基本理念とします。 キャッチフレーズとしては、「ふれあい支え合う明るく活力ある高齢社会」、サブタイトルは、高齢者の尊厳の保持と家庭や地域における自立の支援   第3節 計画の基本視点 わが国では、さらなる少子高齢社会を迎える中で、認知症高齢者や一人暮らしの高齢者が急速に増加すると予想されており、こうしたかたができる限り住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、基盤整備を着実に実施していくことが求められています。 このような中、高齢者保健福祉施策の推進にあたっては、必要なときに必要なところで、必要なサービスを享受しながら、すべての高齢者が生き生きと暮らし続けることのできる社会を目指し、利用者本位のサービス提供、様々な生活上の課題を抱える高齢者の地域生活支援体制の強化とともに、高齢者が知識や経験を活かし、自らの価値観にしたがって能動的・主体的な生活を送ることができる環境作りがますます重要となっています。 また、支援体制の構築や施策の推進に当たっては、「大阪府人権尊重の社会づくり条例」に掲げられているように「一人ひとりが命の尊さや人間の尊厳を認識し、すべての人の人権が尊重される豊かな社会を実現する」ことが何よりも重要であることから、人権に関するこれまでの取組みを踏まえ、啓発や教育の充実を図るとともに、生活習慣・社会環境・人生経験をはじめ障がいの有無や心身の状況等において多様性を持つ高齢者が等しく、かつ尊厳を持って高齢者保健福祉サービスや必要な支援を享受できることが必要です。 府では、このような認識と方針のもと、次の基本視点に立脚して施策を展開します。   (1)人権の尊重 同和問題や障がい者、在日外国人等、ハンセン病回復者に係る人権上の諸問題を踏まえ、すべての人の人権が尊重される豊かな社会づくりを進めなければなりません。 このため、高齢者保健福祉施策の展開に当たっては、人権に関する各種調査等の結果を踏まえ、生活習慣や社会環境、人生経験をはじめ障がいの有無や程度、心身の状況等高齢者一人ひとりの多様な状況に応じ、個性を尊重し、高齢者が主体的に、必要なときに必要なところで、必要な情報やサービスを利用できるよう、各種制度の周知から実際のサービス利用に至るまでのあらゆる場面において、きめ細かなとりくみが必要です。 (2)利用者本位の施策推進 介護保険をはじめとする高齢者保健福祉サービスについて、高齢者が安心して必要なサービスを主体性をもって利用できるようにするため、きめ細かな制度周知の推進とともに、サービス基盤の整備やサービスに携わる人材の養成・確保、身近な地域における相談支援体制の充実が不可欠です。また、こうした利用者のサービス選択を支援するため、事業者の介護サービス情報の公表や事業内容等の評価を通じてサービスの質的向上を図ることが求められます。 (3)社会参加の促進 高齢化が急速に進展する中、高齢期を健やかに、また可能な限り自立した生活を送りつつ生きがいに満ちた生活を続けていけるよう、高齢者が豊富な知識や経験を活かして積極的に社会に参加していくための施策の推進が求められています。 このため、そうねんき、ちゅうねん期以前からの「自分の健康は自分でつくる」意思のもと、「大阪府健康増進計画」を推進しながら、生活習慣の改善により生涯にわたる健康づくりが実現できるよう支援していくとともに、要支援・要介護状態になる前からの介護予防や要介護状態の悪化を防止することが重要です。 また、高齢者が安心して暮らしていけるよう、高齢者の居住ニーズに対応した住まいの供給を推進するとともに、高齢者が長年培ってきた経験や技能などを活かし労働を通じて社会貢献できるよう、雇用・就業対策を推進する必要があります。      (4)住み慣れた地域での暮らしを支援 要介護・要支援認定者の増加が予測される中、高齢者が安心して、必要なときに必要なところで、必要な医療・介護等のサービスを受けながら、できる限り住み慣れた自宅や地域で暮らし続けるための基盤となる地域ケア体制の確立が求められています。 このため、地域包括支援センターが中心となり、介護・医療・見守りなどのサービスを提供する団体などと密接に連携し、様々な課題を抱える地域の高齢者に対して、それぞれの状態に応じ、必要なときに必要なところで、必要なサービスが円滑かつ適切に提供される必要があります。 また、一人暮らしや夫婦のみ世帯の高齢者が、自宅や地域で安心して暮らし続けられるようにするため、幅広い世代の住民の参画を得ながら、様々な地域資源の役割分担のもと、地域の実情に応じた見守りサービスが提供されるなど、支援を必要とする高齢者の暮らしを地域社会全体で支えるしくみづくりを進めていくことが重要です。 第4節 計画の策定体制  この計画の策定に当たっては、保健・医療・福祉の学識経験者等で構成する「大阪府高齢者保健福祉計画推進委員会」の審議を経て、関連施策との連携を図るため府の関係部局で構成する「大阪府高齢者保健福祉施策推進会議」において検討を行いました。 また、市町村とともに「計画見直しワーキングチーム」を設置して計画策定に当たっての課題等を協議し、高齢者保健福祉圏ごとに「圏域調整会議」等を開催して市町村域を越えた広域的な調整等を図りました。 併せて、パブリックコメントを実施し、府民から寄せられた意見も踏まえて計画を策定しました。  第5節 関係計画等との関係 この計画は、府総合計画「大阪の再生・元気倍増プラン」及びそのもとに策定された「将来ビジョン・大阪」のの分野別計画として位置づけられるものです。 また、計画の推進に当たっては、「大阪府人権施策推進基本方針」、「大阪府健康増進計画」、「第2期大阪府地域福祉支援計画」、「大阪府保健医療計画」、「大阪府がん対策推進計画」、「大阪府医療費適正化計画」、「第3次大阪府障害者計画(後期計画)」、「第2期大阪府障害福祉計画」、「大阪府住宅まちづくりマスタープラン」、「大阪府地域ケア体制整備構想」等保健・医療・福祉はもとより幅広い分野における各種計画等との連携を図ります。   第6節 計画の期間 この計画は、団塊の世代が高齢期を迎える平成27年(2015年)の高齢社会を展望しつつ、第5期介護保険事業支援計画の最終年度である平成26年度の数値目標を設定した上で、平成21年度から平成23年度までの3年間を計画期間としています。  また、計画は3年ごとに見直すこととしており、平成23年度中に見直しを行い、5期計画は、平成24年度から平成26年度までの3年間の計画として策定します。 市町村計画についても同一の期間となります。 第7節 計画の進行管理 市町村をはじめ関係機関や関係団体との連携のもと毎年計画の進行管理を行うとともに、府高齢者保健福祉計画推進委員会において目標達成に向けた推進方策等について審議します。 なお、計画の進捗状況は府ホームページや介護保険情報ホームページ等を活用して公表します。 第8節 高齢者保健福祉圏の設定 第1項 高齢者保健福祉圏の考えかた 広域的な観点から高齢者保健福祉圏を設定し、原則として圏内でサービスが完結できることを目指し、介護保険施設等の適正配置に努めます。 第2項 高齢者保健福祉圏の設定 高齢者保健福祉圏は、保健・医療・福祉の連携を図る観点から府保健医療計画に定めるにじ医療圏(一般的な保健医療サービスが完結的に提供される地域的単位)と基本的に合致させることとし、次の8圏とします。    大阪市高齢者保健福祉圏は、大阪市 豊能高齢者保健福祉圏は、豊中市、池田市、吹田市、箕面市、豊能町、能勢町 三島高齢者保健福祉圏は、高槻市、茨木市、摂津市、島本町 北河内高齢者保健福祉圏は、守口市、枚方市、寝屋川市、大東市、門真市、四條畷市、 交野市 なかかわち高齢者保健福祉圏は、八尾市、柏原市、東大阪市 南河内高齢者保健福祉圏は、富田林市、河内長野市、松原市、羽曳野市、藤井寺市、 大阪狭山市、太子町、河南町、千早赤阪村 堺市高齢者保健福祉圏は、堺市 泉州高齢者保健福祉圏は、岸和田市、泉大津市、貝塚市、泉佐野市、和泉市、高石市、 泉南市、阪南市、忠岡町、熊取町、田尻町、岬町 となっています。    第3項 高齢者保健福祉圏ごとの調整 府と圏内の市町村で構成する圏域調整会議において、介護保険施設等の整備状況やサービスの必要量等を踏まえ施設等の整備計画に関する調整を行います。 また、必要に応じて圏域間の調整を行います。