○子どものトラウマとこころのケア リーフレット 【内容】  トラウマとは、個人では対処できないような突然の衝撃的なできごとを体験すると、こころに傷を負います。 このようなこころの傷のことをトラウマといいます。 ・トラウマの原因になるようなできごと  身近な人の突然の死  戦争・人為災害・虐待  自然災害・犯罪被害  ドメスティック・バイオレンスなどの目撃  事件や事故  大きな喪失体験 子どもはトラウマを受けたとき、大人以上に激しい衝撃を受けることがあります。 ・子どもに見られるトラウマ反応の特徴  子どもは発達過程にあるため、大人と異なる反応を示すことがあります。  ○こころの反応   ・一人でいるのを怖がる   ・怒りっぽい、イライラする   ・急に興奮する   ・自分を責める   ・無力感、疎外感を感じる  ○かだらの反応   ・発熱、食欲不振、腹痛、吐き気、頭痛など   ・下痢、排泄の失敗、頻尿   ・夜泣き、眠れない、恐い夢を見る   ・かゆみなどの皮膚症状  ○生活・行動の変化   ・多動、多弁、集中困難   ・沈黙、無表情、泣くことができない   ・赤ちゃん返り、甘えが強くなる   ・反抗、乱暴   ・大人の気を引く行動   ・トラウマの原因となった「できごと」に関連した遊びを繰り返す   ・現実にはないようなことを言う   ・友達・学校への無関心、ひきこもり ・年齢による現れ方の特徴  ○乳幼児期   安全な環境が壊れることで、特に大きな影響を受けます。   乳児でも不安定になり様々な反応を示すことがあります。  ○学童期   気持ちを言葉でうまく表現できないので、不安や恐怖心を行動の変化として   あらわします。  ○思春期   大人に似た気持ちの変化を経験します。自分を責めたり「できごと」の理不尽さ   に対する怒りを、反抗、粗暴な行動・非行などの形で表現することがあります。      これらは、ひどいショックを受けたときに、どの子どもにも起こりうる反応です。   大部分は時間の経過と共に、徐々におさまってきます。反応のしかたや回復の   仕方は、子どもによって異なります。 ・PTSD(外傷後ストレス障害)とは?   トラウマの中でも、特に、生命が危険になるような恐ろしいできごとを  経験したり目撃した際に、次の症状が起こることがあります。  起こることがあります。  ○侵入症状   トラウマとなったできごとが急に頭に浮かぶ など  ○回避症状   出来事を思い出させるような人・場所・場面などを避ける など  ○気分・認知の変化  「誰も信用できない」といった思いを持つ など  ○過覚醒症状   寝付けない、怒りっぽくなる など 子どもの場合、できごとを表現する遊びを繰り返したり、はっきりしない内容の恐ろしい夢を   見たりすることがあります。   こうした症状が1か月以上持続し、それにより顕著な苦痛、社会生活や日常生活に支障がある場合、   PTSD(外傷後ストレス障害)の可能性があります。   PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、トラウマ反応の特別な形なので、   診断は専門機関で慎重になされます。 ・専門機関への相談が必要なとき  ・十分に睡眠がとれない  ・不安や恐怖感が強い  ・不登校やひきこもりの状態が続く  ・死にたいと訴える、死のうとする  ・薬物やアルコール乱用、ゲームへののめりこみ    医療機関で治療を受けることによって、トラウマによる多くの反応や症状が緩和されることもあります。  様子が気になるときには早めに受診をしましょう。 ・保護者及び身近な方へ  子どものトラウマ反応は「わがままな行動」と誤解されることも少なくありません。  周囲の大人がトラウマによる反応を正しく理解し、適切に対応することが大切です。  ○子どもを安心させてましょう   ・できるだけ安全な生活を取り戻し、安心できるようにしましょう。   ・子どもが理解できる言葉で事実を話しましょう。   ・一人にしないようにし、家族でゆったりとした気持ちになれる時間を    作りましょう。   守られている、という感覚は回復の助けになります。    ○話をじっくり聞きましょう   ・子どもが話したいとき、じっくり耳を傾け子どもの気持ちを受けとめ    ましょう。無理に聞きだすことはありません。   ・悲しみ、怒り、不安を感じることは普通のことであると話しましょう。   ・子どもの質問には、繰り返し、簡潔に答えましょう。   ・自分を責めている子どもには「あなたが悪いのではない」と話しましょう。   気持ちを受け止めるだけでも、子どもは「安心感」を取り戻していきます。 ・子どもの活動の場をできるだけ確保しましょう  無理にさせる必要はありません。子どものペースに合わせましょう。  ・友達とのコミュニケーションや、スポーツの場に参加し、楽しく過ごす   ことは信頼関係の回復につながります。  ・子どもの長所や得意なところを認めてほめましょう。 ・自分自身へのいたわりも大切に  ・休養をしっかりとりましょう。  ・信頼できる人に相談しましょう。  ・「何とかしなければ」と思い込んで一人でがんばりすぎないように   しましょう。  ・自分を責めすぎないようにしましょう。 ・身近な方々もトラウマを受けます  トラウマを受けた子どもに接したり、そのできごとの話を聞くだけで、  保護者やきょうだいなど身近な方にもトラウマ反応が生じることがあります。  身近な方々も十分な休息や仲間との支え合いが大切です。反応が強まるときには  専門機関に相談しましょう。 大阪府こころの健康総合センター  〒558-0056    大阪市住吉区万代東3-1-46   TEL:06-6691-2811(代)   FAX:06-6691-2814   HP:http://kokoro-osaka.jp/ 2011年1月発行 2023年8月改訂