最近の消費動向

更新日:2009年8月5日


最近の消費動向(11年12月〜12年2月、個別ヒアリング)

 

 当所では、現場での消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、ホテルを対象にヒアリング調査を行った。平成11年12月における百貨店、スーパーの売上げは、引き続き前年同月比で減少となったが、11月よりも減少幅が縮小した。これは、12月に入って気温が低くなったことから、重衣料に動きが出たことが主な要因とみられる。ホテルは、主に景気低迷を背景としたビジネス関連の宿泊客の減少、法人宴会の減少により、売上げが減少している。

百貨店
 A社
 平成11年12月の売上げは前年同月比2%減で、落ち込み幅は11月よりも減少したものの、依然として低調に推移している。歳暮については、ギフトセンターでは前年の水準を上回ったが、全体の売上げは前年に比べ減少しており、ギフト需要は引き続き法人需要を中心に低迷しているとみている。平均単価は約4,000円で前年とほぼ同じだが、件数は微減となっている。
 品目別に前年同月比をみると、衣料品では前月まで不調であった主力の重衣料に中旬以降動きがみられ始めたが、全体では結局、約1%減の微減となった。紳士服は3%増と、唯一プラスに転じた。なかでも、紳士コート、ヤング向けの衣料品などは2桁増となった。
 洋品は面積の減少もあり不調で2桁のマイナスであった。一方、婦人服は、中高年向けの商品では微増となったものの、若者向け商品が奮わず、1%減となった。また、セーター、ブラウスは不調であったが、スカーフは14%の増加となるなど好調な商品も一部でみられる。子供服はいずれの品目でも減少し、6%減と落ち込みが大きかった。
 身の回り品では、婦人靴が15%増、とりわけブーツは32%増と好調に推移している。しかし、ハンドバッグ、革小物などが10%減となったほか、紳士雑貨も不調で、全体では1%減となった。
 家庭用品では、家具、家電、和・洋食器で10%以上減少するなど、総じて不調であった。
 食料品では、洋菓子などが好調であったものの、生鮮品で落ち込み、全体では2%減となった。おせちは、2000年問題への懸念から自宅で正月を過ごす人が増えたことから、18%増と好調であった。
 このほか、雑貨では、宝石・貴金属で4%増、スポーツ用品で3%増となるなど、好調な商品がみられる一方、一時好調であった化粧品は5%減と失速傾向がみられはじめた。
 今後については、依然として消費の伸びは見込めず、引き続き厳しい見方をしている。1月のクリアランスセールに関しても、出足は好調に推移したが、最終的に前年を割り、苦戦が続いている。 

スーパー
 B社 
前月高めに推移した気温が12月になって平年並みの寒さになったことから、防寒関連の重衣料に動きがみられはじめた。しかし、顧客獲得を目指して、スーパー・百貨店各社が割引セールを一斉に展開したことから、単価は低下し、売上げの大幅増にはつながらなかった。このため、12月の全体での売上げは、全店ベースで3%の減少となった。
 ただ、歳暮では、早期割引、一定額以上の購入者に対する送料無料サービスといった企画を展開したことから、歳暮の購入件数が増加し、11月〜12月の売上げ累計は前年同期比12%増となった。前年と比較して単価はそれほど下がっていないことから、値引品以外の高額商品で動きがみられたものと考えられる。最近では、受取側がカタログで商品を自由に選べるタイプの歳暮や、年末指定で配達する生鮮品の人気が高く、いずれも大幅な売上げの伸びをみせた。クリスマスセールでは2極化の傾向がみられ、一般玩具、食料品などは好調であった一方、服飾関連のギフト、テレビゲームなどは前年の水準を下回った。
 品目別に12月の売上げの前年同月比をみると、衣料品では、婦人用コート、紳士のフリース・トレーナー、ニット帽、セーターで2桁増となったが、それ以外は全般的に低調で、全体では7%減となった。服飾では婦人靴でブーツが堅調である一方、合皮のパンプスなどは不調であった。
 住生活関連では、前年同月比5%減となったが、早期割引サービスを実施したランドセルが60%増、それに関連して文具小物も10%増となった。年賀印刷は、2000年の記念ということもあり、30%増となったが、年賀スタンプは、パソコン等によって年賀状を作成する人が増えていることから、前年を大きく下回った。2000年問題への対応から一部の商品に動きがみられ、コンロ、ガスボンベ、使い捨てカイロ、ポリタンク、電池などは、2桁以上の増加となった。
 食品では、例年に比べて寒さが本格化する時期が遅れたため、鍋関連の食材が不振であった一方、焼肉、さしみ、生鮮品の惣菜などが好調であった。食料品でも2000年問題関連の需要増がみられ、水などの飲料、レトルト食品、缶詰などが大幅な増加となった。さらに、正月の在宅率も高まったことから、おせちも好調であった。この結果、食品全体の売上げは前年の水準を上回った。
 12年1月は消費増加が期待されるハッピーマンデーが実施され、食料品もほぼ堅調に推移しているため、当初売上げ増加が期待されたが、依然として衣料品の動きが鈍く、全体での売上げは低調である。いまのところ消費の顕著な盛り上がりはみられず、消費者の低価格志向も根強いため、同社では今後についても不透明であるとしている。

ホテル
 C社
 大阪市内に立地し、比較的規模の大きいこのホテルでは、11年の売上げは前年比6.4%減となった。全体の売上げの約3割を占める料飲部門では前年比1.7%減の微減にとどまったが、それぞれ約2割、約4割を占める宿泊部門、宴会部門で売上げが落ち込んだことが、全体での売上げ減少につながった。
 宿泊部門の落ち込みに関しては、同ホテルの宿泊客の中心であるビジネス客が減少したことが大きく影響している。これは、長引く不況を背景に、各企業とも経費削減を進め、出張費が押さえられているためである。各ホテルとも客室の稼働率を上げるため、価格を下げる傾向にあり、値下げ競争が激化する一方で、客数は伸び悩んでいるため、売上げの増加にはつながっていない。
 さらに、アジア経済が近年低調であったことや、台湾の震災の影響により、主に東南アジアからのビジネス客や観光客が減少している。海外からの宿泊予約等が容易な外資系ホテルに外国人客が流れる傾向もみられ、一時は全体の宿泊客の約30%を占めていた外国人客の割合は、現在、約20%にまで落ち込んでいる。
 2000年問題への対応のために宿泊したビジネス客は、同ホテルでは当初予想したほど多くないとみており、2000年問題によるホテル需要の伸びは一部のビジネスホテル等に限られているものとみられる。
 宴会部門では、不況を背景に、これまで高単価であった法人需要が減少していることが、売上減少の主な原因となっている。婚礼に関しては、宴会場ではなく、レストランで披露宴を行うケースが増えている。このため、単価は低下しているものの、件数自体は前年比で増えており、レストランでのパーティーなども含めると売上げは増加している。これは、ウエディング・プランの中身を頻繁に変えて、内容の新鮮さをアピールするといった、顧客獲得努力の成果と同社ではみている。
 料飲部門では、低価格を売りにしている外食店に顧客が奪われており、厳しい状態が続いている。客足が好調な店もあるが、価格が低いところが主体であり、収益状況は良いとはいえない。しかし、売上げについては他の部門より落ち込み幅が小さく、この背景にも、同社の積極的なPR活動、特徴的なプランづくりがあるとしている。
 今後について、同社では、宴会、料飲部門でさらに積極的な営業活動を続けるとともに、利益率の高い宿泊部門の落ち込みを押さえるため、土日の個人観光客を増加させるための方策を検討中である。宿泊客のメインである平日のビジネス客に関しても、積極的なPR活動により、稼働率の向上を図りたいとしている。大阪のホテルは供給過剰であるといわれており、限られた需要をめぐって競争は激化しているが、12年春には大阪国際会議場、13年春にはUSJがオープンするということで、来場客によるホテル需要の増加を予想しており、来年に関して比較的明るい見通しをもっている。

このページの作成所属
商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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