最近の消費動向

更新日:2010年12月3日

最近の消費動向(個別ヒアリング)(9月期)

 

   個人消費は、基調として消費者の買い控えや低価格志向が続いている。22年9月の大型小売店の売上高は前年同月を下回ったが、そのうち、スーパーは22か月ぶりの増加に転じた。

    大阪産業経済リサーチセンターでは、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー各2社、商店街1を対象にヒアリング調査を行った。

  百貨店では、増床効果が続いているものの、猛暑が続いたため、秋物の定価商品の動きが鈍かった。スーパーでは、猛暑で秋物商品の売上げが伸び悩む一方で、夏物関連商品は大きく伸びた。商店街では猛暑が影響して、来街者が減少傾向であった。ただ、衣料品店や円高の好影響を受けている業種では、海外からの仕入れが増えており、売上げも増加傾向となっている。

   百貨店

   A社A店

   9月の売上状況をみると、増床効果が続いているため増加した。ただ、猛暑が続いたため、全社ベースではマイナスに寄与した。この時期に動き出す秋物の定価商品の動きが鈍かった。また、顧客単価は、低下した。

    商品別の動きをみると、衣料品全体では大きく増加したが、紳士服は苦戦した。猛暑の影響で、秋物の定価商品が伸び悩んだ。洋品・雑貨は減少した。好調だった夏向けの機能性肌着もやや落ち着いた。

    婦人服は、増床効果により大きく増加した。特に、ヤング、ヤングアダルトが好調であったほか、羽織物(室内冷房の冷えすぎへの対応として)、日傘、手袋、サングラスなどが増加した。しかし、秋物重衣料が苦戦したほか、婦人ブーツが伸び悩んだ。

   子供服は、増加した。

   食料品は、9月前半は生鮮魚類は調理の手間を消費者が敬遠したため減少し、調理済み焼き魚などが好調であった。また、北海道物産展などの催事を開催したため、海産物が好調であった。

   化粧品はUV(紫外線)、ホワイトニング関連を中心に増加した。

   宝飾、貴金属は、やや増加した。一方、美術品は、一部外商で好調(手頃な価格の商品が売れる)であったものの、株式相場低迷で苦戦した。

    ファッション系小物類は残暑で秋物の定価商品の動きが悪く、夏の特価商品が売れたものの、金額面では減少した。

    家具は減少したが、介護関連需要とみられる電動ベッドの動きがよかった。

    なお、中国人観光客への販売は、引き続き増加しているが、9月はやや落ち着いた動きとなった。

    B社B店

    9月の売上は、猛暑の影響を受け秋冬物ファッションの定価商品の動きが鈍かったことで、前半は苦戦したものの15日以降、気温が低下し、秋らしくなってきたことや、カード顧客対象に割引クーポン配布などの販促施策が奏功し、ミセス・シニア層のファッション衣料などの秋冬ものが盛り返し前年同月比で増加し好調であった。来店客数は、昨年の改装オープンの反動で減少した。

    また、今月は、質流れ品販売やネット通販サイトとのコラボレーションなどの催事が、売り上げ増に寄与した。

    商品別の内訳をみると、衣料品については、紳士服関連は減少した。バッグ、スーツケースは好調だったものの、他の商品の落ち込みを補うまでには至らなかった。また、従来はカジュアル系が好調で、ビジネス系は不振であったが、ネクタイが減少したほかは、スーツが大きく増加し、紳士靴、バッグ、革小物、ワイシャツなども増加した。一方、カジュアル系では、ポロシャツが増加したが、ジャケット、ブルゾン、ボトムス、Tシャツなどは減少した。

    婦人服をみると、ヤング・キャリアは、前半の伸び悩みが響いて減少した。ヤングは不振で、Olなどのキャリアは増加した。ドレス、ブラウス、パンツなどが増加、ジャケット、コート、セーター、カットソーなどが減少した。また、羽織物が、後半動いたほか、ロングニットカーディガンが好調であった。また、割引クーポン関連の売上げは、対象顧客、ブランドが増加したことから好調であった。

   ミドルシニア(婦人)は、増加した。商品別では、ヤング・キャリアとほぼ同じ動きとなった。後半は、ジャケット、スカートに動きがみえ始めた。

   子供服は、後半に持ち直し増加した。ランドセルは昨年より2週間早く販売を開始し、増加が続いている。

   宝飾品は、大きく増加した。特に、割引クーポンの適用範囲が広がったブライダルジュエリーの牽引で宝飾品が大きく増加した。

   化粧品は、前年並みであった。前半は猛暑のため落ち込んだが、後半は基礎化粧品が急増したほか、ボディケアも増加した。スキンケアは前年並み、メイクなどは減少した。

   アクセサリーは、前年並みであった。ブライダル関連の動きが鈍かったが、値頃感のある商品が増加した。

   シーズン雑貨は、猛暑がプラスに作用し、大幅増加となった。パラソル、手袋、帽子が増加し、ネックウエアが減少した。

   食器は、増加した。ブランド食器が大きく増加したほか、洋食器、和食器とも好調であった。

   食料品については、猛暑の効果があったものの前年改装の反動で来店客数が減少したため、全体では減少した。冷麺、アイスクリームなどが好調であった反面、さんま、梨など季節食材が気温の影響で入荷が減ったこともあって減少したほか、菓子が、前年の改装で売り場が拡張された反動で大きく減少した。

   商品別の内訳をみると、酒類は前半、主力の赤ワインが伸び悩んだものの、後半持ち直したため増加した一方で、惣菜は前年並み、生鮮食品、菓子は減少した。

   スーパー

   A社

   9月の売上げは、8月から続く猛暑が影響し、秋物商品の売上げが伸び悩む一方で、夏物関連商品が大きく伸びた結果、既存店舗は前年同月比でほぼ横ばいとなった。来店客数、買上点数は前年並み、顧客1人当たり買上単価は若干の下落となった。

   商品別の内訳をみると、衣料品関連は大幅に減少した。9月まで長引いた猛暑の結果、秋物衣料が不振であった。秋物衣料品、鞄・靴・服飾品などの販売促進を強化したものの、不発に終わった。靴下、パンスト、帽子(8月に需要が集中した)も低調であった。

   ただ、機能性アンダーウエアはベーシックタイプを中心に横ばいとなったほか、学生体育衣料(子供用体操服など)は、増加した(前年は、新型インフルエンザの影響で運動会が中止になったため、体操服が大きく減少となった反動とみられる)。傘、レインコートなどの雨具は、9月下旬の急激な天候の変化の影響で好調であった。また、就職活動に使われる婦人向けスーツや、アダルトカジュアル向け紳士衣料も増加したほか、幼児教育用玩具やアウトドアスポーツ関連品も好調であった。

   食料品は堅調に推移し、客数、買上点数も前年を上回り、買上単価も前年とほぼ同水準となった。ただ、増加品目と減少品目で明暗が分かれ、売場配置には苦心する状況となった。例年この時期はアイスクリーム、飲料などは8月に比べ需要が一段落するが、本年は、高水準の需要が続いた。

   内訳をみると、アイスクリーム、飲料、冷凍食品、ビール、麺類、果物(スイカ、ぶどうなど)、生鮮魚類が好調であったほか、惣菜(寿司、フライものは若干減少)、サラダなども増加した。特に、高齢者向けに少量パックが好調であった。野菜類は、前年並みで推移した。

   一方、牛肉は、銘柄牛を中心に不振であったほか、ハム、ソーセージ、米、調味料なども不振であった。アイスクリームに需要が流れた菓子類なども減少した。

   なお、たばこが10月の値上げを前にした駆け込み需要が発生し、大幅に増加した。

   住居関連はやや減少した。エアコンが大幅に増加した。家電は押しなべて好調であったが、それまで高水準を維持してきた単価の高い液晶テレビがやや伸び悩み、調理家電も不振であった。

   その他、行楽関連、ペット関連、タオル、健康関連器具、化粧品(日焼け止め、ビューティケアなど)、消耗品(ティッシュなど)、介護用品などが好調であったが、医薬品(医薬部外品など)が不振であった。

   B社

    9月の販売状況をみると、前年同月で増加した。これは、猛暑が総じてプラスに働いたことや、エコポイント制度変更が告知されたことに伴う液晶テレビなどの家電に対する需要増がみられたほか、たばこも値上げ前の駆け込み需要が発生するなどの要因が重なったことによる。

    顧客単価は前年を上回り、来店客数も販売促進を強化した結果、ほぼ前年並みとなった。

    商品別の内訳をみると、衣料品は、中旬まで売上げ構成割合の高い靴・服飾のセールが苦戦し、洋品も猛暑の影響により秋物が苦戦した。ただ、下旬以降気温が低下し、優待セールなどにより、子供向けを中心に秋物に動きがみられた。

   食料品は、猛暑の影響で飲料、アイスクリームなどが大きく増加した。また、野菜も天候不順による不作を受けて相場が高くなった影響で、キャベツ、レタス、トマトなど主要な野菜が金額ベースで軒並み増加した。ただ、数量ベースでは伸び悩みがみられた。さらに10月のたばこの値上げを控えて駆け込み需要が発生し、売上げが大幅に増加した。

   住居関連では、猛暑の影響でエアコンが大幅に増加した。さらに、汗取りシート、ステンレスボトルが増加したほか、エコポイント制度変更に伴う、液晶テレビの駆け込み需要もみられた。また、テレビ通販で紹介されたフィットネス・マッサージ機、柔軟剤、殺虫剤、電動自転車、モップ、クッション、タオルなどが増加、炊飯ジャー、空気清浄機、ヘアカラー、防虫剤、スリッパ、トイレ洋品、中敷カーペット、カーテンが減少した。

   商店街

   当商店街は大阪の中心部に近く、飲食店、サービス業が比較的多い。

   9月の物販店舗・飲食店の状況をみると、8月と比較して来街者が減少傾向であった。売上げ状況は、個別店舗によってまちまちではあるもののリーマン・ショック前に比べると、6割前後の水準となっている。

   ただ、衣料品店や円高の好影響を受けている業種では、海外からの仕入れが増えており、売上げも増加傾向となり、収益も増加している。

   観光客向けの業態を展開している小売店は、今年に入り、好調を維持しているとみられる。また、スポーツ用品店では、昨年に比べ来店客数は増加しており、女性客の増加が目立つ。ただ、顧客単価はやや低下傾向にある。健康関連需要が高まっており、特にランニング関連衣料・用品などが増加している。中小規模の小売業店舗では、店員の接客能力を高め、大手チェーン店と差別化を図っている。

 

大阪府の消費に関する経済指標
(単位:百万円、台、%)
   22年     
   4月5月6月7月8月9月
大型小売店計販売額130,848133,039131,891154,126129,763126,651
 (前年同月比)-4.1 -3.0 -6.8 0.4 -2.3 -1.2
    うち百貨店販売額60,884 61,760 61,230 79,737 56,375 57,979
 (前年同月比)-4.1 -1.5 -11.7 1.4 -3.9 -3.6
    うちスーパー販売額69,963 71,279 70,662 74,389 73,388 68,672
 (前年同月比)-4.1 -4.2 -2.0 -0.6 -1.0 1.1
コンビニエンス・ストア販売額(近畿)販売額97,135 100,053 99,281 109,223 110,338 113,690
 (前年同月比 既存店ベース)-3.8-4.0-2.8-0.4 0.1 12.3
 (前年同月比 全店ベース)-0.9-0.90.22.4 2.6 14.8
乗用車新車販売台数15,757 15,687 19,609 21,472 19,180 22,138
 (前年同月比)29.0 21.4 14.3 9.7 38.0 2.9
家電販売(近畿)(前年同月比)4.3-3.4-1.611.416.5-
資料:大型小売店販売額近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」。前年同月比は店舗調整済の値。
コンビニエンス・ストア販売額近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」(参考資料)。
乗用車新車販売台数(社)日本自動車販売協会連合会、(社)全国軽自動車協会連合会。
家電販売額近畿経済産業局「近畿経済の動向」。

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商工労働部 商工労働総務課 

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