最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(16年3月〜5月期、個別ヒアリング)

                              

 個人消費は一進一退で推移しているものの、持ち直しの動きが続いている。
 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、旅行代理店を対象にヒアリング調査を行った。ヒアリングをした百貨店A社の平成16年3月の売上は前年を下回った。スーパーB社も前年を下回った。旅行代理店C社の平成16年1月〜3月の売上げは、イラク戦争や重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響から回復傾向となったが、前年を下回った。

百貨店

A社 16年3月の売上げは、前年同月比4.8%減少した。これは、うるう年や曜日の影響に加えて気温が高く春物衣料の好調等により2月が増加した反動によるものである。 
 品目別にみると、衣料品は、5.6%減で、紳士服・洋品、婦人服・洋品及び子供服・洋品のいずれもが前年を下回った。紳士服・洋品は、スーツが不調であったものの、ジャケット、スラックスが好調であった。婦人服・洋品は、スプリングコートなど一部に好調な商品もみられるものの、春物衣料全般に不調であった。子供服・洋品は子供服、ベビー用品ともに不調であった
 身の回り品は5.2%減であった。ホワイトデー関連で婦人アクセサリーやスカーフなど好調であったが、婦人靴、婦人バックは、催事が前年を下回り、売上げを落としているブランド品の影響も加わって不調であった。婦人傘は、パラソルは好調だが雨傘は不調であった。トランク等旅行用品もスーツケースの不調が続いているが、キャリーは好調であった。
  ホワイトデー関連商品は、婦人雑貨が好調で前年を上回った。
 食料品は3.4%減少した。菓子、生鮮食品、和洋酒など食料品全般に前年を下回っており、特に鳥インフルエンザの影響で鶏肉商品は大きく落ち込んでいる。
 化粧品は国産化粧品が好調だが、外資化粧品は不調であった。

  
スーパー

 B社 16年3月の売上げは、前年同月比7.8%減少した。これは、土日祝日が前年に比べて1日少なかったことや、気温が高く春物衣料の好調等により2月が好調であった反動によるもので、2・3月の合計でみると、前年同月比2.6%減少である。
 品目別にみると、衣料品は天候の影響による春物衣料の不振により前年を下回った。紳士服・洋品はスーツやスラックスは不調であったが、ジャケットは好調であった。婦人服・洋品はショート丈のスプリングコートは好調であったが、その他は不調で、子供服・洋品も不調であった。
 食料品は、7.1%減少した。鳥インフルエンザの影響で鶏肉商品は大きく落ち込み、鶏卵も減少した。牛肉もBSE問題の長期化で相場高となり減少し、その反動で豚肉は増加した。野菜は相場変動の影響で減少したが、果物は増加し、水産物も全般的に好調であった。和洋酒は焼酎を中心に好調が続いている。ひな祭り関連商品の和菓子や洋菓子、ちらし寿司が好調で、ケーキなどは高額商品がよく売れた。
 家電品は、液晶テレビやDVDなどのデジタル家電は好調が続いており、冷蔵庫、調理家電やマッサージ器などの健康関連商品等全般的に好調であった。
 医薬品は、花粉症対策の目薬、鼻炎薬等が花粉の飛散が少なかった影響で不調であった。健康食品は引き続き堅調である。
 16年4月の売上げは、食料品の不調が続いており、購入商品数の減少などにより低調な状況が続いている。


旅行代理店

C社 同社の近畿地区(2府3県)の売上げは、国内旅行、海外旅行ともに回復基調にあるが、今年1〜3月の販売実績は前年比92%で、国内旅行、海外旅行ともに前年を下回った。国内旅行は前年比94%、海外旅行は前年比90%で、販売高における国内旅行と海外旅行の構成比はおよそ3対1である。国内旅行では、個人旅行や一般団体旅行はSARSの影響から回復傾向にあり好調であったが、昨年海外から国内にシフトし好調であった学生団体旅行の低迷が影響した。海外旅行は、主催旅行、個人旅行はSARSの影響から回復傾向にあり好調であったが、団体旅行の不振が続き前年を下回った。
 ゴールデンウィーク期間中(4月24日〜5月5日)は、休日の並びが良く、個人消費が回復基調にあることに加えて、前年はイラク戦争やSARSの影響による旅行の手控えがあり、その反動などの要因で、アジア、ハワイ、アメリカ本土を中心に人員ベースで前年比355%となり、前々年比も上回った。国内旅行についても、遠方の沖縄や東京ディズニーリゾート、宿泊企画が好調で前年比123%となった。
 4、5月の予約状況も好調で、4月〜6月の販売高も前年を上回る見込みである。特に海外旅行が好調で、人気があるのは、ハワイ、アメリカ、ヨーロッパ方面である。国内旅行も順調で、東京ディズニーリゾートや伊勢志摩方面、沖縄などに人気がある。伊勢志摩方面は目的地までの交通費や観光施設の入場券など様々な特典がセットになったプランが好調である。落ち込みが続いていたユニバーサル・スタジオ・ジャパン関連商品も回復傾向にある。
 旅行価格はほぼ前年並みで推移している。
 今年1月から、大阪府内の店舗を個人販売専門店とし、個人旅行に特化した展開を行い、国内・海外の主催旅行の販売拡大に取り組んでいる。海外旅行では、チャーター便を利用したツアー、趣味や目的に合わせたツアーなどを実施し、国内旅行では、最小催行人員2名のツアーなどで催行率を高めるなど、商品競争力の強化に努めている。
 団体旅行では、新しい組織を創設し、イベント、会議などにおける新たな団体需要を生み出し、一般団体旅行や教育旅行の強化や専門性を高めた営業展開で販売強化を図りたいとしている。
 また、インターネット販売にも積極的に取り組んでおり、インターネットによる申し込みも増加している。
 4月末日をもって会員制の旅行組織を別会社に営業譲渡した。この組織は会員数も伸び、販売高も順調に推移しており、国内のバスツアーや海外ともに1月〜3月、4月〜6月(見込)とも前年比を上回っているが、この営業譲渡は、今後の営業戦略として従来型の総合的な旅行業からプロデュース業への転換をコンセプトにした事業戦略への取り組みと、事業特性に合った組織体制にすることにより、競争力の強化とならびに譲渡による財務基盤の安定化を図るためである。
 全体的に旅行業界の状況は回復傾向にあるが、今後も厳しい状況が続くことも予想され、他社との販売競争も激しくなっている。
 今後もテーマ性を重視したオリジナル商品や多様化する顧客のニーズに応じた商品の提供など旅行内容の充実による商品競争力の強化や主催旅行のブランド名を高めることによる販売強化を図り、加えて、社員教育、特にカウンターでの接客態度の向上や、来店者が気持ちよく過ごせるような店舗改装などのサービス面の強化を行い、売上げ、収益の増加を図りたいとしている。


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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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