最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(15年12月〜16年2月期、個別ヒアリング)

                             

 個人消費はこれまで一進一退で推移しているものの、方向としては持ち直しの動きが続いている。
 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、自動車販売会社を対象にヒアリング調査を行った。ヒアリングをした百貨店A社の平成15年12月の売上は前年を上回った。スーパーB社は前年を下回った。自動車販売会社C社の15年度上半期の国内販売台数は前年を上回った。
 統計からみると、12月の大阪府の大型小売店販売額は、2か月連続の減少となった。このうち、百貨店は歳暮ギフトの早期受注の反動や、暖冬による冬物衣料の不振で2か月連続の減少となり、スーパーも2か月連続の減少となった。コンビニエンス・ストア販売額(近畿)は、既存店が10か月連続のマイナスとなった。乗用車新規登録・販売台数の11月は減少となったが、12月には再び増加に転じた。家電販売額(近畿)は、5か月連続の増加となった。
 個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、現金給与総額(大阪府統計課調べ)は、10、11月とも前年を上回った。また、冬季一時金の妥結状況をみると、妥結額は3年振りに前年を上回った。

百貨店

A社 15年12月の売上げは、前年同月比1.1%増加した。これは、昨年に開業した新店舗の売上げによるもので、既存店では3.6%の減少となった。既存店の減少は、歳暮ギフトの早期割引による受注の前倒しや暖冬の影響で冬物衣料が不振だったこと、さらに、セール前の買い控えなどによるものである。
 品目別にみると、衣料品は、4.3%減で、紳士服・洋品、婦人服・洋品が前年を下回ったが、売場を拡大した子供服・洋品は前年を上回った。紳士服・洋品は、セーターが好調であったが、防寒ものの肌着や靴下が不調であった。婦人服・洋品は、ウールコートが不調であったが、非ウールのショートコートが前年を大きく上回り、カシミヤ製品も好調であった。子供服・洋品は好調で、特に女児服やブランド品のベビー用品が好調であった
 身の回り品は9.7%減であった。紳士装飾品はマフラー、手袋が好調で、紳士靴はビジネスシューズが好調であったが全体としては不調であった。婦人アクセサリーは不調で、婦人靴はロングブーツが好調であったが、全体としては不調であった。トランク等旅行用品も海外旅行の減少の影響であった。
 食料品は2.6%増加した。歳暮ギフトの早期受注の反動減があったものの、洋菓子、和菓子ともに好調で、和洋酒はワイン、焼酎が好調で、生鮮食品も精肉、鮮魚、野菜が好調であった。
 化粧品は国産化粧品が前年を上回り、特に国産の新ブランドが非常に好調であった。
 食堂・喫茶は、改装を行った店舗については前年を上回ったが、全体としては不調であった。

 
スーパー

 B社 15年12月の売上げは、前年同月比4.3%減少した。これは、天候不順等により衣料品、食料品ともに季節商品が大きく落ち込んだことが影響しているが、中旬の冷え込みで防寒肌着や暖房機器は盛り返した。また、ボーナス商戦も盛り上がりに欠けた
 品目別にみると、衣料品は3.5%減少した。中旬の冷え込みで盛り返したものの、暖冬の影響で全般に不振が続いており、月間では前年を大きく下回った。婦人服・用品はロングのダウンコートが前年を大きく上回り、ジャケットやパンツ、肌着など好調なものもあるが、全体としては不調で、紳士服・用品も不調であった。子供服・用品は男児、女児ともに好調であったが、ベビーは不調であった。
 食料品は、6.0%減少した。野菜は相場下落の影響が大きく、価格低下により減少となった。精肉は、牛肉の需要の回復していたが、アメリカでのBSE(牛海綿状脳症)の発生による影響で再び減少となった。鮮魚も減少が続いている。惣菜は、スナックや弁当類が引き続き好調で、酒類も全体的に好調であった。クリスマス関連食品やクリスマスケーキは好調であった。
 家電品は、液晶テレビやワイドテレビ、DVD等の高単価品や大型家電が引き続き好調であるのに加えて、食器乾燥機、加湿機などの小型家電も好調であった。
 歳暮は早期割引で12月は減少となったが、全体としては若干の増加が見込まれる。
 16年1月の売上げも厳しい状況が続いている。

自動車販売会社

C社 同社は軽自動車を中心に小型自動車等を販売している。
 15年度上半期の国内販売台数は前年を上回り、売上高についても前年を上回った。これは、14年末から販売を始めた新型車が好調に推移したためである。その後も、販売台数は引き続き前年を上回っていたが、11月には前年を下回った。しかし、12月には再び前年を上回った。これは、昨年11月末に新販売になった軽乗用車が好調に推移したためである。
 軽自動車の需要が伸びている。これは、新規格車になって安全性や快適性などの品質が飛躍的に向上したことで、軽自動車に対する信頼性が高まったこと、普通・小型自動車と比べて価格や維持費が手頃なことがあげられる。購入者の6〜7割が女性であり、最近はシニア層の需要も増加傾向にある。また、経費削減のため、営業車を軽自動車に買い換えるなど、法人需要も伸びている。従来は、全国ベースで乗用車の4台に1台が軽自動車であったが、最近では3台に1台が軽自動車となり、全自動車台数の32〜33%を占めている。
 車種別にみると、軽乗用車の販売台数は好調に推移しているが、商用車は減少傾向にある。これは、商用車を利用する店舗の減少や商用車を所有せず配送委託を行う店舗が増えたことなどによる。福祉車両やエコロジー車両の販売台数も徐々に増加している。また、環境にやさしい車の開発にも積極的に取り組んでおり、乗用車への拡大を進めている。
 同社では、中古車販売も行っているが、自動車保有年数が長くなっており、走行距離の少ない高品質の中古車が品薄の状況である。
 軽自動車に対する需要はあるが、保有年数の長期化や景気の状況などから、軽自動車市場規模の大幅な拡大が望めないことから、今後も各社の新車販売競争がさらに激しくなると予想される。このような状況のなか、販売台数の増加を図る様々な取組み行われている。顧客のニーズにあった商品開発や新型車の販売をはじめ、販売店では、顧客獲得のため展示会や試乗会を毎週末に開催し、新聞広告やチラシ、はがきや電話による案内などによって来客者の積極的な獲得に努めている。また、展示会における売上げが全体の半数以上を占めることから、将来的には、全日営業、毎週土日に展示開催を目指している。販売台数の大幅な増加が期待できないため、新車販売による収益だけでなく、それに伴う用品・部品の販売や、車検、点検、一般整備、保険などの周辺部門を充実させ、総合的な収益の確保を図っている。今後もこれら周辺部門を一層拡大し、収益を確保していきたいとしている。


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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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