最近の消費動向

更新日:2009年8月5日


最近の消費動向(14年3月〜5月期、個別ヒアリング)


 個人消費は総じて低調であるが、一部に動きがみられる。
  当研究所では、現場での消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、旅行代理店、遊園地を対象にヒアリング調査を行った。ヒアリングをした百貨店の平成143月の売上げは、改装効果等で前年を上回った。スーパーも、前年を上回った。旅行代理店は、ゴールデンウィークの予約が国内は前年並、海外の予約は不振であった。遊園地は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの影響で前年度を下回った。
 統計からみると、3月の大型小売店販売額(大阪府)は、4か月ぶりに増加に転じた。このうち、百貨店は春物衣料の好調及び一部の百貨店の改装効果で、4か月ぶりの増加となった。スーパーは、29か月連続の減少となった。コンビニエンス・ストア販売額(近畿)は、既存店が9か月ぶりに増加に転じた。乗用車新規登録・販売台数は、2か月連続の減少となった。家電販売額(近畿)は、家電リサイクル法の駆け込み需要の反動やパソコン販売の不振などにより、前年割れが続いている。
 個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、現金給与総額は1月、2月と前年を下回った。

百貨店

  A社 14年3月の売上げは、前年同月比2.0%増加した。これは、当月に改装を行った効果や、気温が高めに推移したことから季節衣料に動きがあったことによる。
  品目別にみると、衣料品は、全体で1.8%増加した。紳士服、婦人服はともに前年を上回り、紳士服では、セーター、ブルゾン、インポートネクタイが好調で、婦人服では、フリルやギャザーの付いたカットソーやジャケットが好調であった。一方、子供服はベビーウェアが不調だったが、新しく導入したブランドの効果もあり、ブランド物の子供服が好調であった。
  身の回り品は、15.7%と大幅に増加した。婦人アクセサリー、紳士ベルト・革小物、婦人パンプス、バッグに収納できる小振りの晴雨兼用傘、ブランドバッグなどが好調であった。
 食品は、1.0%の増加となった。ホワイトデーが年々活発になってきたことから洋菓子が、暖い日が続いたことからビール・ワインが、行楽に出かける人が増加したことから寿司・弁当・パンが好調であった。
 4月の動きは、衣料品が3月に需要を先食いしたことにより、あまり良くないが、全体としては、関連プロ野球球団グッズや食品の売上げが好調であることから、前年並を維持している。

スーパー

 B社 3月の売上げは、前年同月比2.2%増加した。これは、商品1点当たりの単価が引き続き下落傾向にあるものの、客数、1人当たりの買上げ点数が増加したことによる。
  品目別にみると、衣料品は前年同月比9.3%と大幅に増加した。これは、気温が高めに推移し、季節衣料に動きがあったこと等による。婦人衣料では、七分袖・半袖のカットソー、白色のジャケットやシャツ、ストレッチパンツが好調であった。紳士衣料では、ポロシャツ、新卒用スーツ・ネクタイが好調であった。子供服では、卒業・入学用のフォーマルが好調であった。
  飲食料品は、前年同月比3.1%増加した。天候が良かったので、行楽用弁当に使用されるハム・ソーセージが好調であった。また弁当、中国緑茶も好調であった。一方、野菜・果物は、豊作の影響で相場が下落し単価がダウンした結果、前年同月比2けたを上回る大幅な減少となった。
  家電は、前年度に家電リサイクル法施行前の駆け込み需要があった反動で、全体的に不振であったが、デジタルカメラ、携帯電話、液晶テレビなどに動きが見られた。またマイナスイオン関連商品の空気清浄器、浄水器などが好調であった。
  同社では、今後とも商品の安全・安心を追求するとともに、品質を重視した商品の開発・販売に努めていきたいと考えている。
  4月の売上げは3月に続き好調で、来客数も増加している。特に衣料品が好調である。

旅行代理店

C社 同社の近畿・中国・四国地区のゴールデンウィークの予約状況は、国内旅行がほぼ前年並、海外旅行は前年を大幅に下回る見込みである。
  国内では、東京ディズニーリゾート、北陸、南紀方面の人気が高い。北陸方面の人気が高いのは、開催中の加賀百万石博の集客効果による。
  一方、海外では、中国、オセアニア方面の人気が高いが、ハワイを含むアメリカ方面は大きく落ち込んでおり、アメリカ同時多発テロの影響がまだ残っているものとみられる。また、成田空港の新滑走路供用開始によって、関西国際空港発の国際便が減少した結果、成田空港経由での海外ツアーが増加し、一部の顧客から不便になったとの声が聞かれたとのことである。
  同社の売上げに占める個人客の比率は7割、団体客は3割となっている。職場旅行を廃止する企業が増加する中、個人客の比率が年々高まっている。
  同社では、4月に学校完全週休2日制が実施されたことにより、ファミリー層をターゲットとした体験型の旅行に力を入れていきたいと考えている。また、中高年齢層の旅行需要を掘り起こすため、中高年の顧客を添乗員に活用する動きを活発化させている。これは、登山や写真撮影などの得意分野を生かし、添乗員として働きたい意欲をもつ中高年を募り、添乗員資格取得などの講習を実施し、1回のツアー添乗毎に契約を締結する制度である。

遊園地

 D社 13年度の入園者数は、前年度を大幅に下回った。これは、昨年春に開業したユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下「USJ」)の影響による。同社の場合、入場者に占める団体客の比率が他の遊園地よりも高く、団体客がUSJにシフトした影響が大きかった。なお1人当たりの客単価はほぼ前年並で推移している。
 同社ではターゲットとする客層が必ずしもUSJとは重ならないと考えており、この3月、4月には、ファミリー層の入場者数を拡大するために、子供が楽しめる遊戯施設を新たに導入し、評判は上々である。
 また、同社では、ホームページを充実するとともに、顧客にメールマガジンを配信することによって、顧客とのコミュニケーションを大切にし、リピーターの確保に努めている。



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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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