最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(13年12月〜14年2月期、個別ヒアリング)

                            

 当研究所では、現場での消費動向を把握するため、百貨店、中古自動車販売店、酒販店、遊園地を対象にヒアリング調査を行った。ヒアリングをした百貨店A社の平成13年12月の売上げは、歳暮受注前倒しの影響で1%の減少となった。中古自動車販売店B社の販売台数は、年々減少傾向にある。乗り換え年数の長期化で、廃棄処分となる下取車が多く、中古市場に供給される良質の車が不足している。酒販店C社は、消費者の低価格志向を客数の伸びで補い売上げを伸ばしている。遊園地D社の13年度の客数は前年を若干下回る見込みである。百貨店E社の14年1月の売上げは、一部のセールの不調などから前年を若干下回った。
 統計からみると、12月の大型小売店販売額(大阪府)は、百貨店、スーパーともに前年を下回り、再び減少に転じた。百貨店は12月の歳暮受注が伸びなかったことが響いた。一方、スーパーは26か月連続の減少となった。コンビニエンス・ストア販売額(近畿)は、全店増、既存店減という状態が続いている。乗用車新規登録・販売台数(大阪府)は、軽乗用車の新車効果もあり若干前年を上回ったものの、これまでけん引してきた小型乗用車の減速で、力強さを欠いた動きとなった。家電販売額(近畿)は、パソコンの低迷などにより、9か月連続で前年を下回った。近畿の減少幅は他地域と比較して大きく、品目別にみても、ほとんどが他地域を下回っている。これには、協会非加盟家電量販店の出店活発化による競争激化が影響しているとみられる。
 個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、現金給与総額(大阪府)は、10、11月と前年を下回った。

百貨店
 A社 
同社の13年12月の売上げは、前年同月比で1%の減少となった。これは、歳暮受注が11月からの早期割引で前倒しとなり、12月全体としては期待した伸びがなかったためである。一方、入店客数は前年を2%上回った。客数の増加は近隣に開業した大型商業施設の集客効果も寄与していると、同社ではみている。
 衣料品は、気温の低下、店舗の改装効果や営業時間の延長効果などから、婦人服、紳士服ともに前年を上回り、全体で10%の増加となった。特に、コートやジャケットなどの防寒衣料が好調であった。婦人服では、中高年層を中心に動きがあり、海外高級ブランドも好調であった。紳士服では、クリスマス用品を中心に動きがあった。
 食料品は、3%の減少となった。おせち料理やクリスマスケーキが好調であったものの、歳暮受注の減少や狂牛病の影響が続く牛肉など生鮮品の不振が足を引っ張った。
 14年1月は、福袋が好調な滑り出しとなり、クリアランスの出足も堅調な動きとなっている。

中古自動車販売店
 B社 
同社の国内販売台数は、年々減少傾向にある。要因としては、乗り換えまでの年数が長期化していることが挙げられる。中古自動車は、乗り換えに伴う下取りにより供給されるが、このところ、下取車は廃車となるまで使用されていることが多く、中古市場に供給される良質の車が減少している。一方、転勤などの都合で車を手放す買取りの場合は、比較的良質な車が供給されるが、件数は多くない。
 また、高齢化の影響で運転をやめる人が増加したり、少子化の影響で免許を取得する人が減少するなど、ドライバー数が頭打ちの傾向にあると同社ではみている。また、価値観やライフスタイルの多様化により、都市部の若年層にとって、車のステイタスシンボルとしての価値が薄れつつあるともみている。
 売れ筋は、諸費を含めて100万円以内で購入できる車が多く、不況による影響が大きく表れている。
 採算は、展示場や人件費などの経費負担が重く、厳しい状況が続いている。採算の悪い都市部の店舗を閉鎖し、車が生活の足となっている地域へ出店していく予定である。
 さらに、海外に需要を求める動きを強めており、各国の実情の相違や信用取引の問題などの課題を抱えているが、大きく世界市場に向けて躍進を目指している。

酒販店
 C社 
同社は、消費者の低価格志向を客数の伸びで補い、売上げを伸ばしている。売れ筋は焼酎や発泡酒だが、これは日本酒やビールからのシフトによるところが鮮明で、消費者の低価格志向は強い。ワインでは1000円前後の商品に人気がある。
 ワインの客層は最近広がっており、女性や若年層の購入も多い。また、同社はワインのネット販売も行っており、順調に推移している。ネット販売では、圧倒的に関東からの注文が多く、ワイン消費の地域特性が鮮明となっている。
 流通再編の流れの中で、酒販業界も厳しい競争にさらされており、廃業していく企業も多い。来年施行される酒販免許の規制緩和により、業界再編が加速するとみられている。同社では、酒は嗜好性の強い商品であり、販売には専門知識を要するとみており、この点に活路があると考えている。
 また同社は、飲料ボトルのリユースによる低価格商品の販売など、積極的な事業展開を計画している。

遊園地
 D社 
13年度の客数は、改装効果のあった前年を若干下回る見込みであるものの、ほぼ例年並みで推移し ている。13年春に開業した大型テーマパークの影響はあるものの、同社は団体客の比率が少ないことから客数の減少幅は小さい。
 客層は沿線住民を中心にファミリー、若者、年配者と幅広く、リピーターも多い。
 客単価は例年並みで推移しているものの、アトラクションのフリーパスの利用が増加している。

百貨店
 E社 
13年は好調に推移し、前年を上回る売上げとなった。海外高級ブランドが好調で、バッグやアクセサリー、10万円から20万円の紳士スーツ、腕時計、洋食器などに動きがあった。また、こだわりの品に人気があり、自家需要の和食器、高級魚や高級料亭の味など、良いものを少量購入する動きがみられる。一方、廉価の商品も堅調で、2000円前後の紳士シャツなども底堅い動きとなっている。子供服もお出かけ着を中心に堅調に推移している。
 1点当たり単価は依然として低価格化の傾向にあるものの、客単価は前年を若干上回る動きとなっている。これは、購買意欲をそそる商品、売り場作りが功を奏した結果であると考えている。
 14年1月の売上げは、一部のセールの不振や冬物の動きがやや鈍化したことなどから、若干前年を下回った。

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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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