最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(13年9月〜11月期、個別ヒアリング)


 個人消費は、一部に動きがあるものの、総じて低調である。
 当研究所では、現場での消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、外食業を対象に、ヒアリング調査を行った。ヒアリングをした百貨店の平成13年9月の売上げは、気温の低下が早かったこともあり、衣料品が好調で、前年を上回った。スーパーは、客数の減少に加え、狂牛病の影響で牛肉関連の落ち込みが大きかったこともあり、前年を下回った。中華料理店は、持ち帰りが好調で、前年を上回った。ファミリーレストランは、夏以降売上げが減少している。狂牛病の影響は、10月に入ってから強まっている。米テロや大手スーパーの経営破たんの影響は、ヒアリング先企業では大きくなかったものの、今後の消費者心理への影響が心配とする声が多かった。
 統計からみると、9月の大型小売店販売額(大阪府)は、3か月ぶりに前年同月比増加に転じた。これは、百貨店がプロ野球優勝セールや改装効果、さらに気温低下で秋物が動いたことなどにより、大きく増加したことによる。一方、スーパーは23か月連続で前年を下回っている。コンビニエンス・ストア販売額(近畿)は、全店増、既存店減が続いている。乗用車新規登録・販売台数(大阪府)は、小型乗用車の伸び率が減速したことから、11か月ぶりに前年を下回った。家電販売額(近畿)は、パソコンの低迷などにより、6か月連続で前年を下回った。近畿の減少幅は他地域と比較して大きいが、これには、統計に載らない協会非加盟家電量販店の出店活発化による競合激化も影響していると考えられる。個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、現金給与総額(大阪府)は、7、8月と若干前年を上回ったものの、弱い動きが続いている。
 また、テロの影響で、海外旅行を控える動きが大きく、関西国際空港では、テロ後1か月間の国際線旅客数は、前年同期と比較して3割減少した。その一方で、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、好調に推移している。


百貨店
 A社 同社は、平日は中高年の利用が多く、休日はファミリーの利用が多い。そして、売上げに占める食料品の比率が高く、食料品の購入客の多くは、中高年である。
 8月の売上げは、身の回り品や家電催事が好調であったものの、衣料品や食料品が前年を下回り、2.3%の減少となった。客数は5%減少し、駐車台数は2%減少した。
 9月は、衣料品に動きがあり、身の回り品も引き続き好調で、前年同月比2.5%の増加となった。客数は0.6%減少したものの、駐車台数は、特殊要因もあり10.5%増加した。
 品目別にみると、衣料品は5.5%の増加となった。紳士服が、既製服を中心に動いて大幅増となり、婦人服も前年を上回った。子供服は、催事効果もあり堅調に推移している。  身の回り品は、8.5%増と全般に好調で、紳士靴にも動きがあった。
 食料品は、狂牛病の影響で牛肉が落ち込んだことなどにより、1.2%の減少となった。牛肉の売上げは、15%減少し、減少分の内半分程度は豚肉や鶏肉に流れた。敬老の日には、高級料亭の弁当に動きがあった。
 家庭用品では、家電催事が好調であった。
 10月は、食品催事が好調であるのに対して、婦人服は前年並み、紳士服は前年を下回る動きとなっている。狂牛病の影響は、10月に入って一段と強まり、牛肉は大きく落ち込んだ。

スーパー
 B社 13年9月の売上げは、近畿圏の全店で前年同月比2.8%減、既存店で5.8%減となった。近畿の落ち込みは、首都圏よりも大きい。客単価は前年を上回り、下げ止まりの傾向にある一方で、客数は減少している。これが近畿の落ち込みの要因となっている。
 品目別にみても、食品、衣料品、住生活ともに、売上げが減少した。
 食品では、狂牛病の影響で牛肉の落ち込みが大きく、レトルトカレーや焼肉のたれも動きが止まった。一部は豚肉や鶏肉へ流れたものの、これらは牛肉と比べて単価が低いため、売上げを確保するには至らなかった。一方、水産物は好調で、まぐろ、カニなどに動きがあった。気温の低下で、白菜、ポン酢など鍋物関連にも動きがあった。また、惣菜の焼き鳥や少量目のサラダも好調であった。
 衣料品では、秋物が動き、婦人ジャケット、紳士スーツなどが好調であったものの、全般に不振であった。
 住生活では、機能枕などに動きがあったものの、全般に不振であった。また、狂牛病の影響でペットフードの動きが止まった。
 狂牛病の影響は、10月に入ってから強まっており、10月末には、牛肉の売上げが7割減少した。

外食業
 C社 大阪を中心に近畿圏で中華料理店を展開する同社の売上げは、13年9月の全店ベースで、前年同月比1.6%増となった。年間を通して、前年実績を上回る動きが続いている。
 同社の業態は、持ち帰りとレストランに大別され、持ち帰りのウェイトが高くなっているのが特徴である。この持ち帰りが好調で、レストランは前年実績を若干下回っている。レストランでは、既存店が苦戦し、新規店舗は健闘している。また、全国展開している点心の宅配が、好調である。
 客単価は、持ち帰り、レストランともに、若干下落傾向にあり、これを客数の伸びで補っている。ここ数年、客数の減少が続いたレストランは、9月に入り、若干持ち直しの兆しがみられる。
 狂牛病問題による客数への影響は特にみられない。ただ、レストランでは、メニューの選択時に気にする客はいる。 また、中華料理では、郊外型ファミリーレストランが新規出店によって売上げを伸ばしているところもあるが、同社では、郊外型店舗との違いは手作りの調理にあると考えている。
 同社では、客をいかに楽しませるかということを念頭において、付加価値をつけていきたいと考えている。

 D社 同社は、近畿を中心にファミリーレストランを展開している。洋食主体のレストランと和食主体の居酒屋風レストランを軸に展開しており、現在、特に居酒屋風レストランを積極的に出店している。
 売上げは、夏までは堅調に推移したが、8月以降は減少傾向が続いている。売上げ減少の要因は、洋食レストランでは客単価の下落で、居酒屋風レストランでは客数の減少である。居酒屋風レストランは、客単価が一般的なファミリーレストランの二倍程度と高いため、顧客が来店頻度を減らしているとみられる。また、郊外型回転寿司の出店活発化や牛丼の低価格化が夏に本格化したことも影響しているとみられる。
 客層の変化はなく、洋食レストラン、居酒屋風レストランともに、ランチタイムはビジネスマンや主婦、ディナータイムは、日曜・祝日にはファミリー、平日には若いグループが多い。
 今後は、居酒屋風レストランの業態で競争が激化するとみられるが、食材調達や調理、接客などをしっかりと行うことにより、他社との違いを出していく方針で、特に、魚介類の鮮度にはこだわっている。また、洋食レストラン、居酒屋風レストランともに、不採算店については閉鎖をしていく予定である。さらに、低価格志向の実験店舗として、客単価が洋食レストランよりも100円程度低いイタリアンレストランの出店を行い、現在のところ好調に推移している。


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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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