最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(12年6月〜8月期、個別ヒアリング)


 当研究所では、現場での消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、旅行社を対象にヒアリング調査を行った。百貨店、スーパーの平成12年6月の売上げは、売上げ強化策を行った百貨店で前年同月を上回ったものの、他の2社は前年を下回った。特にスーパーの減少幅が大きい。7月は3社ともに前年同月を下回る見込みである。目立った動きとして、百貨店では、ミセス婦人服、宝飾品・美術品、自家需要の食器等の動きが最近数か月好調である。旅行社は、国内旅行、海外旅行ともに好調に売上げを伸ばしており、近畿への入り込みも好調に推移している。
 統計からみると、6月の大型小売店販売額は前年同月比3.5%減で26か月連続減少となったが、6月の自動車登録・販売は3.8%増で6か月連続の増加、6月の家電販売(近畿)は7.0%増で26か月連続の増加が続いている。ヒアリング調査によると、旅行も好調であり、百貨店でも主力の婦人服、景気変動の影響が大きい宝飾品・美術品、自家需要の食器等に動きが出ている。これらのことから、消費は回復の傾向がみられる。


百貨店
 A社
 12年6月の売上げは、前半の天候不順の影響などから2%減となった。引き続き前年比減となる中で、ミセスの高級婦人服や和食器等、部分的に動きが出ている。
 品目別にみると、衣料品は全体で2%減となり、内訳は紳士3%減、婦人2%減、子供6%減等であった。紳士ではフォーマルやトラッド、ヤング向けが、婦人ではミッシー・ミセス向け、高級婦人服等が好調であったものの、紳士服全般、ヤング・OL向けの婦人服、子供服全般では不振が続いている。
 身の回り品はほぼ前年並みで、父の日用ギフト、紳士靴が好調であったものの、ハンドバッグ等の小物は不振が続いている。
 飲食料品は1%減と、先月に引き続き前年を割り込んだ。洋菓子が好調であったものの、ワインブームが終息し、生鮮食品も不振であった。
 家庭用品は3%減と引き続き不振で、特に家電、家具等は不振であった。一方、食器が和洋ともに好調で、この傾向は2〜3か月続いている。和食器は単品買いが多いことから、自家需要用の購買が増加しているとみられる。
 雑貨は、10%減となり、好調だったのは宝石貴金属の外販や化粧品であった。
 7月も前年比減となる見通しで、動きのある商品とそうでない商品の差が鮮明になってきている。  

 B社 12年6月の売上げは、4.5%増となった。これは、前年は5月に行った売上げ強化策を、今年は6月に行ったためでる。目立った動きとしては、宝飾品・美術品、ミセスの婦人服、父の日セールの甚平、サングラスやパラソル等が好調である。特に、昨年の暮れ頃から動きの出てきた宝飾品・美術品がここ数か月かなり好調に推移している。
 品目別にみると、衣料品3.4%増で、紳士服、婦人服、子供服ともに増加となった。身の回り品は8.3%増であった。家庭用品は1.4%増で、うち家具8.9%減、家電25.4%減、その他家庭用品17.2%増で、不振の続く家具、家電は家電売場を縮小したこともあり、大きく減少した。そのほか、食料品4.1%増、雑貨12.6%増と、ほとんどの品目で増加となった。
 7月は前年を数%下回る見通しである。 

スーパー
 C社
 12年6月の売上げは、4%減となった。客単価は6%下落と下落幅が大きかったが、客数は2%増と伸び、一人当たり購買点数も増加した。特に衣料品は、低価格指向の専門店にあわせて価格を抑える傾向にあり、10%以上の下落で下落幅が大きい。地域別にみると、関東、中部では売上げが前年を上回っているのに対して、近畿は6%減と大きく減少している。客単価は地域によって差がなく、客数が近畿は前年を下回っていることから、近畿はオーバーストア気味であることに加え、同社の近畿店舗は古く狭いタイプのものが多く、他社との競争で劣勢にあるとみている。
 一方、中元は早期受付の1割引きセールもあり、ビール、洗剤を中心として出だしは好調である。父の日セールは甚平、機能枕等が好調であった。
 品目別にみると、衣料品4%減、住生活関連6%減、飲食料品2%減となった。
 7月は前年を下回るものの、6月よりも若干上向くとみている。セールについては、3割引では低価格指向の専門店に対抗できず、5割引を行っている。

旅行社
 D社 当社の近畿地区の平成12年上半期の売上げは、前年同期比3%程度の増加となった。
パッケージ旅行の単価は毎年5%程度の下落が続いている。一方、客数は毎年増加しており、売上げは順調に伸びている。客数の伸びの要因としては、旅行好きの人の旅行回数が増加したことが大きいとみられている。
 当社の売上げの内訳は、国内旅行70%、海外旅行30%となっている。また、個人が65%、法人が35%である。需要が拡大する個人旅行に対して、法人需要は縮小の一途で、10年前と比較すると個人と法人の比率が逆転している。客層としては、45才から60才代後半までの熟年層が最も多く、次いでは家族旅行をするファミリー層や20才代後半から30才代の女性である。
 夏の旅行の動向については、海外は予約状況が早く7月中旬時点で、ヨーロッパが前年比20〜25%増、ハワイ10%増、東南アジア20〜25%増と好調である。特に、ヨーロッパはキリスト教の本場でミレニアムの気分が大いに味わえるということで人気が高く、ゴールデンウィーク明けから夏の予約が入っていた。また、ハワイは旅行者の半数が家族であるが、父母、子供に加えて祖父母を含めた三世代割引を利用した旅行の予約が増加した。一方、東南アジアは、高級ホテルの豪華な部屋に宿泊しエステ等を楽しむプランで、20才代後半〜30才代の女性を中心に人気が回復してきた。
 国内旅行は、ここ5〜6年の間、申込みの出足が遅く、旅行日の前1週間以内になってからでも申込みがあるなど、直前の申込みが増加しており、夏の旅行の動向は不明の部分が多い。とはいえ、夏の家族旅行は、年間の家族行事の中にしっかりと食い込んでいて、好調が予測され、前年比5%増程度となるのでないかとみられる。旅館での金魚すくいを組み込んだ企画等、家族全員で体験できる内容が盛り込まれた企画に人気がある。また、沖縄はサミットの影響で7月は前年比20%減となったものの、8、9月で10〜20%増の見込みである。
 近畿地区は、本四架橋の完成が続き近年好調に推移している。来年にはユニバーサルスタジオジャパンが開業するなど、日帰りや家族層、若年層の見学が増え手軽な商品の好調が予測され、また、他地区からの観光客も大幅に増加すると予測される。

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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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